フルートおじさんの八ヶ岳日記

美しい雑木林の四季、人々との交流、いびつなフルートの音

蓼科から見た夕映えの八ヶ岳

2012-10-24 | 八ヶ岳

昨日は雨だったが一夜明けると、今朝もまた、素晴らしい青空が広がっている。その分冷え込みが一段強まって、外気温は2度まで下がった。薄らと雪が積もった赤岳は朝日があたって、荘厳に浮かんでいる。

今日は水曜日だが、フルートのレッスンがないので、午後からドライブを楽しんだ。八ヶ岳をぐるっと回って原村~蓼科~白樺湖の方面を走る。1時過ぎになって、お腹が減ってきたので白樺湖の手前の「だんべえ」という蕎麦屋に入る。全く初めての店だ。看板には「石臼挽本手打ち」と書いているので、それに惹かれたというわけだ。

私はざる蕎麦、妻は温かいキツネ蕎麦(メニューにはたタヌキ蕎麦というのもあった。)を注文する。蕎麦が出てくるのを待っていると、壁に「ちまきあります」と貼っているのを発見した妻は、自分もちまきを作っているので「どんな味かな」とつぶくや、「ちまきふたつ!」と声をかけた。「ダ○○ット」が思うほど進まないのも、むべなるかなである。(いや、食べたのは一つずつです)

「石臼挽本手打ち」というだけあって、蕎麦の味、舌触りなかなかいける。出汁もカツオの味が効いて、関西人としては嬉しいではないか。

白樺湖の湖岸を走ってみると、閉店している旅館も見受けられ、時代の変化を感じさせられた。平日なので観光客もおらず、静かな秋の湖をしばし楽しむ。眼前には春に登れなかった蓼科山が、ゆったりと佇んでいた。

そこから、蓼科方面に道を取る。車はほとんど走っていない。途中に「女の神展望台」というところがあった。2台のカメラを三脚にセットして立っている人がいたので、尋ねると、夕焼けの蓼科を狙っているとのこと。そこからは南アルプスや中央アルプスが一望できて素晴らしい眺めだ。

とりわけ、陽が斜めに射しかかってきた蓼科、八ヶ岳は、何ともたとえようのないほどの美しさだった。


ひと手間かけた和食の味わい

2012-10-22 | 趣味

八ヶ岳清里の雑木林は、少しずつ秋の色が濃くなってきている。オトコヨウゾメの葉は独特なワインレッドに染まり、実が赤く輝いている。


今まではほとんどそこにあることすら気がつかなかったムラサキシキブが、細かな紫の実をたわわにつけて、「お、そこにいたのか」と急に存在感が出てきた。

気持ちの良い秋の一日は、森の中をあてもなくさまようのは本当に楽しいものだ。

今日は妻は、朝から料理教室にいっている。ひと手間かけて身体に良い和食を作るとのこと。朝のうちから料理をつくり、それを昼に皆で一緒に食べて、色んなお話をするという。3時過ぎに帰ってきた。

今日作った料理の写真を見る。豚肉とゴボウの角煮、キュウリ・大根・ニンジンの即席漬け、辛子レンコン・トマトバジル・サツマイモクリームチーズなどのサラダ、秋刀魚の有馬煮、アボガドと大根のワサビ和え、それに、七茸汁だ。

私としては七茸汁を味わいたかったが、もちかえることはできず、それ以外、それぞれ少しずつ、家に持って帰ってきてくれたので、私もそのおすそわけをいただくことができた。う~んやはり和食は、しっとりと身体になじむ味がするな。


京都の友人夫婦、また来てください

2012-10-21 | 人々との交流

いい天気が続いている。今日は外気温6度、室温17度、湿度36% 。19日の夕方、京都から古い友達の夫婦がやってきて、20日のコンサートに参加していただいた。私たちがバタバタしていたので、あまりごゆっくりしていただく間もなく、もう京都に戻る日が来た。

朝食にはお土産に持ってきていただいたカマスの干物を食べる。香ばしくて実に美味しい干物だった。北杜市にいて何が不自由するかというと、魚の干物にいいものがないことであるが、今日は久しぶりにそれを味わうことができて嬉しかった。

朝食後は、友達夫婦と一緒に清泉寮へ行く。清泉寮にはかなりの観光客が来ていた。あまり天気が良すぎて、富士山は望めなかった。久しぶりに清泉寮のアイスクリームを食べる。この景色を見ながら食べると、美味しくなるのだ。お菓子作りが好きな友人の奥さんが「美味しい!」と喜ぶ。

本館の方に人が集まっているので、何かなと見に行くと、クラシックカーのイヴェントのようで、通過証明書のようなものを貰って、1台1台が走り去って行った。

その後、東沢大橋(赤い橋)の紅葉を見に行く。ここは大変な人出で、車を止めるのがやっとだった。まだわずかに紅葉の最盛期には早いようだが、雲ひとつない見事な青空を背景に八ヶ岳の裾野は赤や黄色に染まってきていた。側のドウダンツツジはもう真っ赤になっていた。お二人とは、またの再会を約束して、そこでお別れした。

昨日のコンサートでかなり疲れたので、今日は、どこにも行かずに我が家に戻ることにする。庭の木々の紅葉がかなり進んできて、森の中に居るだけで何と心地よいことか。


そして ミューズが微笑んだ

2012-10-20 | フルート

 今日も素晴らしい天気だ。外気温5度、室温15度、湿度40%。キリリと冷え込んだ冷気が心地よい。

 いよいよ、その日がやってきた。思えば、チェンバロ製作者久保田彰さんに、八ヶ岳にお越しいただいたのは、5月22日だった。八ヶ岳の美しい景色、澄み切った青空、紅葉の森にチェンバロの音を響かせていただけませんかとご依頼した。それから5か月間にわたって、演奏者・スタッフが一丸となって、今回の「ミューズの調べ」コンサート、の準備を進めてきた。それが、今日コンサート当日を迎えることとなったと思うと、心がときめかざるを得ない。

朝食後、早速、7時過ぎから9時過ぎまでフルート練習をする。私自身も「ちゃみたくハウス音楽教室」の生徒の一員として、コンサート前に日ごろの練習の成果を発表することになっている。演奏曲は、バッハ管弦楽組曲第2番から「ポロネーズ」「メヌエット」「バディネリ」の3曲だ。ややこしいパッセージの運指を最初は遅く、次第に速いテンポでひたすら繰り返した。まぁ、それなりに仕上がったので安心した。

美しく装ったウリハダカエデが私たちの出発を見送ってくれた。

コンサート会場「セレナーデ」に、演奏者・スタッフが10時に全員到着。チェンバロの調律が始まった。

早速「ゲネプロ」だ。プログラムに沿って、本番通りに進行していく。演奏者は最後の入念なチェックをする。12時終了。

昼食休憩後、スタッフは直ぐに、各々の持ち場に就く。受付の準備が整った。

1時になると、Fさんと先生によるシューベルト「鱒」の二重奏で、生徒の発表会が始まった。続いて、Fさんが平澤直子さんのチェンバロ伴奏でラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」を落ち着いて演奏した。

次は、私の番だ。「ポロネーズ」は、今朝運指練習をした甲斐があって、指と肩の力が抜けて意外とスムーズに演奏できた。「メヌエット」は、良くも悪くもこれ以上の演奏はできない。「バディヌリ」を吹き始めると、何故か指に力が入ってきて、どうしてもそれを戻すことができない。とうとう、聴かせどころで、落ちつきを失ってしまって、わけのわからない音を出してしまった。練習では、できていたところなので残念である。改めて人前で演奏することの精神力の無さを痛感する。

続いてKさんFさんのリコーダー二重奏「グリーンス・リーブズ」、二人ともよく練習していて、落ち着いた演奏だった。最後は、私とFさんのフルート二重奏で「Home Sweet Home」を演奏した。これもまあまあの出来だったかな。

私の出番が終わって、肩の荷が下りた。コンサート本番が始まる頃には、ホールは満席になったので、あとから椅子を運び込むと言う一幕もあった。

先ずは武藤哲也さんのリコーダー演奏、A.ダニカン・フィリドール ソナタ二短調。ゆっくりしたテンポの出だしから、最後のFugueまでチェンバロとリコーダーの温かい音が心地よく響いた。

次はL・ヴィンチのフルート・ソナタニ長調 鈴木卓さんから「レオナルド・ダ・ヴィンチ」ではなく、「ダ」がありませんとの解説で、会場の雰囲気は和んだ。

続いて、久保田彰さんから「チェンバロの話し」を10分間にわたってお聞きした。鍵盤楽器だが、チェンバロは、ギターと同じようにひっかいて演奏するが、ピアノは叩いて演奏する楽器であること、フランス革命でチェンバロは王侯・貴族の富の象徴として破壊され尽くされたこと、今日、古楽器ブームに乗ってチェンバロへの関心が高まってきていることなど、落ち着いた分かりやすい説明だった。

その後、矢島吹渉樹さんのチェンバロ独奏だ。バッハ平均律第Ⅱ巻より「プレリュードとフーガ一番ハ長調」、チェンバロの優雅で美しい音色が静かに、時に華麗にホールに響き渡った。

前半最後は、鈴木卓さんのバッハフルートソナタロ短調BWV1030。この曲は、フルートソナタとはいうものの、チェンバロの聴かせどころも多く、二つの楽器が絡み合った実に聴きごたえのある演奏だった。

3時過ぎに前半が終了して30分の休憩に入った。ホール内カウンターでコーヒー・紅茶・野草茶とクッキーのサービスが用意されいる。これは、増田珈琲館・清里ホームサービスさんのご協力によるものである。観客の皆さんは、香り高いコーヒーを啜りながら、しばし緊張感から解放され、寛いだ雰囲気を楽しまれていた。

第2部はフルートの演奏が続く。まずは、フルート2本とチェンバロの3重奏でテレマンのスケルッツオだ。vivaceの速いテンポで二本のフルートがぴったり呼吸の合った、楽しい演奏だ。

 

続いて、E.HovlandのCantus1という、チェンバロとフルートの現代曲だ。現代曲らしい、時には不気味さのある、不確実な現代を感じさせる曲だ。

次は、宮城道雄「春の海」。チェンバロが、同じ弦を弾く琴の音との近似性があることから、まさにぴったりと言った響きだった。それに導かれて歌いだしたフルートの響きがいい。
やや早めのテンポで中間部が終わると、最後はまた、ぐっとテンポを落とした、雅な響きとなった。演奏が終わるとホールは期せずして、感動のどよめきが聞こえる。

最後は、おなじみ、ジュナンの「ヴェニスの謝肉祭」だ。親しみやすい旋律の変奏がフルートが繰り出す華麗な技巧に彩られて、次々と聴こえてくることの心地よさ、これには唸らざるを得ない。演奏が終了するや「ブラボー」の声が上がったのもうなずける。

鳴りやまぬ拍手を受けて、鈴木さんはバッハ「シチリアーノ」、イベール「間奏曲」を演奏。楽器をもたずに舞台にでてきた武藤さん、「チェンバロはピアノに、リコーダーはフルートに同じように追いやられたが、今日、その良さが見直されてきた」と軽妙な語り口。演奏がないのかと思いきや、胸ポケットからリコーダーを持ち出し、グノーのアベマリアを澄んだ音色で演奏すると、客席から大きな拍手が巻き上がった。
最後は、鈴木麻美・卓さんのタンゴ「ラ・クンバルシータ」の華やか演奏で締めくくられたが、ホール内の拍手はいつまでも鳴りやまなかった。観客の皆さんから、口々に「本当に良かった」「聴きごたえがあった」などの言葉がもれ聞こえてきて、このコンサートにかかわってきた者の一人として実に嬉しかった。

演奏終了後は、スタッフだけではなく、Kさんの友人など多くの人達のご協力を得て後片付け、掃除などを手際良く行うことができた。

会場の後片付けが終わると、レストラン「睦」さんでの打ち上げが待っている。今回のコンサートを主催したキムラヤガーデンズ&TKボタニカルズさんから、演奏者・スタッフの方々に対してお礼の言葉があった後、チェンバロ工房の久保田さんの発声で「乾杯!」となる。お客さん達から、「素晴らしかった!」「楽しいコンサートだった」などの嬉しい言葉をいただいたことから、なんとも美味しいビールとなった。

演奏者・スタッフの皆さん方の「コンサートを成功させよう!」との、心を一つにした熱い思いとハーモニーが、見事に花を咲かせたものと思いたい。最後に、チラシを快く配布したり置いていただいたお店、ペンション、ならびに「ミューズの調べ」コンサートに足をお運びいただいた観客の皆様方に心からお礼の言葉を述べさせていただきます。本当にありがとうございました。

今、八ヶ岳は美しい紅葉で真っ盛りだ。

 


「ミューズの調べ」コンサートのリハーサルが終わる

2012-10-19 | フルート

今日はいよいよ明日に迫る「ミューズの調べ」コンサートのリハーサルだ。昨日、東北旅行の帰途に友人夫婦が立ち寄ってくださった。奥さんとお会いするのは何年ぶりになるであろうか。懐かしい再開である。沢山のお土産を持ってきていただいて恐縮することしきりだ。宮城県塩釜市の佐浦酒造の(純米吟醸)「浦霞禅」は、後ほど呑ませていただくと、なんとも言えない芳醇な味わいだった。

 冷え込みが強くなってきたこともあり、今季初めて薪ストーブに火を入れる。煙突掃除をきっちりやった後の薪ストーブは、直ぐに赤々・パチパチと燃え始めた。この香り!この暖かさ!

外気温は6度。山々を見ると赤岳には初めて薄く雪が積もっていた。

北岳も真っ白に輝いている。

お二人には、今日はリハーサルが控えているので少し慌ただしい感じの朝食になって申し訳なかった。

お二人をお送りしてから、コンサート会場の甲斐大泉「セレナーデ」に向かう。

11時スタッフ全員が集合、直ちに、会場の整備、椅子並べなどを行う。

同時に久保田チェンバロ工房さんのチェンバロを運び込む。

調律が始まると、美しく、雅やかなチェンバロの響きがホールに響きわたった。ホールの音響効果がよく、思っていた以上に大きな響きが聞こえてくる。

1時からは、「チャミ卓ハウス音楽教室」の生徒が幾分緊張した面持ちでリハーサルを行う。それが終わると、本番のリハーサルだ。出演者の皆さんは、リラックスした雰囲気でリハーサルを行っていく。曲の雰囲気、テンポ、あるいは演奏のタイミング、チェンバロの鍵盤は上下どちらを使うか、といったことなど、入念にチェックをされていた。

出演者の方々のリハーサルは、長く続くようなので、スタッフは先に帰らせていただく。帰り道の「八ヶ岳高原大橋」(黄色い橋)から望んだ富士山は、明日のコンサートの成功を約束するかのように、あくまでも大きく、堂々として、かつ気品があった。