古稀からの手習い 水彩ブログ

人生の第4コーナー、水彩画で楽しみたいと思います

蓋此身髪 四大五常・・・(松本芳翠先生の「草書千字文」を臨書)

2018-05-28 06:59:30 | 書道
松本芳翠先生の“草書 千字文”の臨書、2枚目です。
初回と同じく、web上にアップされている8字ごとのお手本を半切大に展開したものです(今回も5枚)。
(千字文本体では第37句から第46句までの10句・40字)

蓋此身髪 四大五常
恭惟鞠養 豈敢毀傷
女慕貞絜 男効才良
知過必改 得能莫忘
罔談彼短 靡恃己長

私は書道を書くにあたって、これは仮名も同じですが、
読めもせず、意味も判らず書くのは、これくらい空しく感じるものはありません。

そこでまず簡単ではありますが、その意味からいきますと、各行のポイントになる用語は

<身髪は“身体髪膚”、四大は“地水火風”、五常は“仁義礼智信”>
<惟は“よく考える、鞠は“育てる”、毀傷は“そこないきずつける”>
<慕も効も“見習う”>
<過は“過ち”、莫は“なかれ”、女男の対比(女が先には意味があるのか?)>
<罔も靡も“なかれ”、他人の短所、自分の長所の対比 恃つは“当てにして待つ”>
ということのようです。

次に読み方ですが、草書体は始めたばかりで、ぱっと見たところ、読むことすらできません。
このお手本も初めて見たときは、はっきり読めるのは女や男など1/3ぐらいで、他は全く読めないか、似た字と迷うか、でした。
そこでそれぞれの字の崩し方などを、別の資料もかじりながら一応目を通して練習に望みました。
崩し方については、ある程度の原則を知った上で、後は数でいくしかありません。
これでも前回の一枚目よりは少しは読めるようになった気でおります。



ところで、今回取り上げた個所には、何やら儒教的な文言が多く並んでいます。
高校時代に漢文で孔子を習ったとき、“結構いいことを言ってるな”と感心したものです。
確かに、社会生活を送る上での大事な徳目であったり、人間の修養目標であったり、
日本の社会に大きな影響を与えたのは間違いないでしょう。

でも(儒教や孔子のことを詳しく勉強しているわけではありませんが)、一歩引いたところからこれをみれば、
当時の天子とやらを頂点とする秩序や身分差が前提にあります。
結局は「統治者が統治しやすくするための教え」という側面も色濃くあるのではないか、と思われます。

中国共産党は、文化大革命でこの孔子の儒教精神を徹底的に否定しました。
にも拘わらず、というか案の定というか、数年前これを見直し、国民にこの思想を勧めはじめたとか。
皮肉にも、自らを絶対的と言っていた中国共産党も、その統治には“孔子を利用する”ということです。
これはこの思想には、統治者サイドが統治をしやすくなる“教え”を一杯内包しているからでしょう。

また「孔子学園」なる組織が、日本を含む世界各地で展開されているとのこと。
wikiなどによると、ここでは儒教を広めるのでは無く、
党の幹部ですらこの組織を“中国共産党の宣伝機関”と認めていると。

孔子が知ったら、“おいおい、共産党が仁とか礼かよ、それはないよ”と驚くでしょうのか、
はたまた“中国という国はそもそも、そういう国だよ”と嘯(うそぶ)くのでしょうか。



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2 コメント

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Unknown (mori)
2018-05-28 07:19:40
コメントにある字と比較しながら、この字はこうなるんだと思いながら見比べるのも大変なのに、格調高く堂々と収まっているのに感心します。いやいやどの道も求めれば限りなく奥深いものだと改めて感じました。
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Unknown (さがみの介)
2018-05-28 20:14:25
説明してもらっても理解が難しい古典を草書で書く、などとてつもない挑戦ですね、字ではなく絵画のようなイメージで墨字のバランスを楽しむほうが見る者は気楽です(不埒者!)
一方、中国共産党の解説はとても分かりやすく参考になります。(頭が固くなっていますので・・・)
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