雲騰致雨 露結為霜
金生麗水 玉出崑岡
私が初めて草書なるものに挑戦したのが
松本芳翠先生の草書千字文(2,018.5.14付拙ブログ)です。
そこでは40字ほどでしたが、今回はそのうちの16字を羊毛筆を使って書きました。
先生の、web上にアップされている8字ごとのお手本2枚を、
半切大に書写させていただいたものです。
先生の、web上にアップされている8字ごとのお手本2枚を、
半切大に書写させていただいたものです。
字の大小、線の太細、潤渇などは少々ではありますが、自己流なところもあります。
羊毛筆は昨夏から使い始めましたが、現在も悪戦苦闘中です。
同筆は、柔らかい線やかすれ等が表現できる一方、
運筆の途中、筆が曲がったり捻じれたりして、中々元に戻らないのが特徴です。
それを元に戻すのが課題で、どうやらそのコツは、
「転折部などで筆を立てて態勢を整え直すこと」にあるようで、
今回もそこに重点をおいて練習しました。
かなり大きく曲がった筆も、立てると筆先がある程度戻ってきてくれるから不思議です。
そのチャンスを利用するわけですが、
その戻り方は、筆の開き具合やねじれ方、墨の残量などによって千差万別です。
そして、その筆を整える狙いは何か、言うまでもなく、次の線(運筆)への準備のためです。
細かい技術的なことになり恐縮ですが、
このために筆先をまとめたり、現にある筆先の状態を利用したりするわけで、
ここでの微妙な筆先の整え加減がポイントなのかなと。
上の16字の中にも、転折部位は細かく見れば100個所以上もありそうで、
その都度、上の所作を繰り返すのですから、結構神経を使いました。
“筆先がどうなっているかを意識的に確認する”なんてことは
羊毛筆をやって初めて気が付いたことでした。
ここが自然にできるよう身体に覚え込ませるには、
只々、書き込みを重ねるしかなさそうです。
意味は、Wikisource千字文(日本語訳)様というサイトによりますと、
<雲が起こり雨をもたらし、露が凍れば霜柱立つ>
<金を産すは麗水(れいすい)の岸 玉を出すのは崑崙の山>
<雲が起こり雨をもたらし、露が凍れば霜柱立つ>
<金を産すは麗水(れいすい)の岸 玉を出すのは崑崙の山>
「転折部などで筆を立てて態勢を整え直す」は多分どの筆も同じなんでしょうが、羊毛筆はそれが極度に求められると言うことなんでしょうね。またそれによって思わぬ味も出るのでしょう。それに敢えて挑戦され、見事に克服されていることに敬服するのみです。
説明を読まなくては何が書いてあるのか分からないし、技術的なものはなかなか理解できないのですが、とてつもなく難しいことに挑戦し続けている姿が見え尊敬するのみです。
自分の今年の課題、住所、氏名くらいバランスの取れた文字を書くことにします。