(半切1/3大)
をみな(那)へしう(有)し(志)ろめた(多)く(九)もみゆるか(可)な
あれ(連)た(多)るやどに(尓)ひとり(利)たてれ(礼)ば(盤)
女郎花後ろめたくも見ゆるかな 荒れたる宿にひとり立てれば
(後ろめたい・・・不安だ、気がかりだ 宿・・・家、すみか)
秋の七草の一つ“おみなえし”、この花になぜ“女郎花”という字をあてるのか、
今まで深く考えずにきていました。
どうやら“おきな(男)”、“おみな(女)”の“おみな”からきているようで、
これに“へし” (古語の“圧(へ)す”)がつき、
女性も圧倒するほどの美しい花という説がありました。
また、“女郎”も今風の意味ではなく、昔は女性一般をいう用語として使用されていたとのことです。
古語辞典(三省堂)によれば、和歌では、“をみなへし”は多く女性に例える、ともありました。
ところで“きみ(君)”の語源も“おきな”、“おみな”からとも。
つまり君には男女のことを言う意味もあり、
日本神話の男女神“イザナキ”、“イザナミ”につながると。
本作、字形は出来るだけ“関戸本古今集(伝藤原行成筆 桑田三舟編)”にあるのを、
また文字群の大まかな配置は桑田先生の他の(この歌ではない)作品を参考にしました。
また文字群の大まかな配置は桑田先生の他の(この歌ではない)作品を参考にしました。
軸線の流れや文字・線の太細、墨継ぎは自分なりに、です。
以上、講釈を垂れましたが、恥ずかしながら無粋な私、
“をみなへし”を見たことがない・・・つまりどんな花か知らないのであります。
早速ネットで女郎花の写真を調べてこの花だと知り、今更ながら自分の無知無関心さにあきれるばかりです。
書は筆の流れと言い、全般のバランスと言い、素晴らしいですね。今、朝ドラで主人公が火鉢の絵付け挑戦していますが、筆で線一本を引く大変さが良く表現されています。朝ドラを見ながら各作品に仕上げる大変さの一端を見たように感じました。
この書と解説を見せていただき「女郎花」の語源を知り、優しいい筆致と和歌の風情に日本人を感じました。