古稀からの手習い 水彩ブログ

人生の第4コーナー、水彩画で楽しみたいと思います

紅に振り出つつ泣く涙には・・・(本阿弥切古今集を拡大・臨書)

2016-07-18 06:29:52 | 書道

くれなゐ尓不利てつヽ那くなみ多尓者 多もとのみこそいろ万さ利け礼
くれなゐにふりてつつなくなみだには たもとのみこそいろまさりけれ
紅に振り出つヽ泣く涙には 袂のみこそ色まさりけれ

本阿弥切古今集から 貫之
原本(縦16.7cm 2行書き)を半切(同135cm)に拡大・臨書

このお手本の見せ場は、書き出し“くれない”と右下“那く”部分でしょうか。

でもここを引き立たせるには、特に、左の行の、いくつかの文字群の流れが肝要でしょう。

その抑えられた、しかし主役に呼応する何かがあってのこと。

でも、左右の行の響き合わせ方など、とても今の自分に出来ることではありません。

こんなことがテーマになるんだということが、ホンのちょっと分かりかかった気がしているところです。

“ふりて”は“振り出で(づ)”で、学研全訳古語辞典(web版)によると、

声を振り絞るようになくこと 染料の紅を水に振りだして染める、などの意があり、

本歌では、双方をかけて用いられているとのことでした。



先日(11日)、国立新美術館(乃木坂)で毎日書道展を見てきました。

入場券を家内のお友達からいただき、本展、家内とは初めての鑑賞とあいなりました。

ある作品の前で、私どもよりちょっとお年をめされたご婦人と意気投合。

約40年ぐらい前から書道を本格的にやられ、この書道展とも関わられているご様子。

私から見たら、書道の大大先輩。

その方が仰った言葉。

“私はこの書道展に来るたびに、しばらくやる気をなくすんですよ。あまりに自分との開きがあり過ぎて・・・。”

自分もささやかながら、全く同じことを感じていましたので、“分かるなあ―”の気分。

そのご婦人更に続けて、

“それでも私、毎年見に来るんです。この刺激がたまらなくて。

私には出来ないことばかりだけど、私なりに何かを感じるものを中心に、見させていただいているんですよ。”と。

ご婦人にならい、ポジティブな気持ちにならなければ、自分に気合を入れ直したことでした。

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1 コメント

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Unknown (mori)
2016-07-18 06:56:27
書き出しの、余白・墨の濃さ・字の大きさ・太さにより強調されていることが良く分かりますし、「那く」も濃さ、大きさが変化していますから強く言いたい部分だなと理解できます。微妙な変化を感知する感覚が必要なんでしょうね。それにしても紅の色合いはどのようにして出したんですか?電球に色紙を巻いて作品に当てたとか・・・
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