雨ふくむ 淡墨(うすずみ)ざくら みどりがち
(半切大 画像編集でフィルター掛け)
高木厚人先生の「大字かな 創作法」(「効果的な“見せ場”の演出法」のコーナー)
にある作品をお手本にして書かせていただきました。
今回の自分なりのテーマは、羊毛筆で線の「太細」を出す練習、
これにピッタリかなと。
その羊毛筆、今回ちょっと高めのものを新しく入手し、同筆での初チャレンジです。
前にも書きましたが、羊毛筆は使いこなせるようになれば、
暖かい線や白抜けの渇筆など立体的で多彩な表現ができそうです。
しかし穂長が長くふさふさした毛で、書き始めると
筆先が曲がったままになったり、ねじれが戻らなかったり、
なかなか思い通りの線が出ないものです。
線の太細を出すという、この単純そうに見える技法が難しいのです。
特に、一本の線の中で、太いところから細い線になるところは
イタチ毛は開いた筆先が元に戻りやすいため、比較的に簡単に書けますが、
羊毛筆ではこれが戻らないのです。
したがって、例えば転折部や線の途中で小刻みに筆先を戻し、
もって態勢を整え直しながら細くする・・・などの、独特の技法が必要で、
その習得には時間がかかりそうです。
教本の「見せ場」のコーナーでは、
見る側の視線が最もいきやすい左上“淡墨さくら”の個所を強調されていました。
書道仲間の奥様先生から教えていただいた「奥の間」にも当りましょう。
その中でも“淡墨”はポイント中のポイントであることは言うまでもありませんが、
次の“さくら”での、渇筆になりかかった筆のコントロールには
羊毛筆ならではの難しさがあり、練習でも最も時間を使いました。
最後の“可地(がち)”は、線の方向や太細の変化など、
こんな大胆な表現法や収め方もあるのかと。
また、よくよく見ると“可”の最終画と“地”の第二画は太細の変化を上下逆にしたり、
その緩やかなカーブはお互いを反らせて響かせてあったりで、これまた驚いたことでした。
本句は、明治から昭和にかけて、近代俳句の最初期をリードされた
女流俳人 杉田久女の句です。
岐阜県にある淡墨桜(樹齢1,500年以上とも言われる国の天然記念物)を詠まれたものとのことです。
桜の散り際に若葉が出始め、独特の淡い墨色をした雰囲気
・・・淡墨桜と命名した人、そして句を作る方の感性の豊かさに感嘆!であります。
後はど素人の私には説明文を読みながら成程そうなんだと思いながら感心するしかありません。
羊毛筆ならではのコントロールの難しさは有ろうと思いますが、その分良い味が出るのだと思います。