ひび割れた隙間から 溢れる
血液が身体中を這うように
眼を伏せたまま その飢えた肌が 温もりを欲する
この身体 隅々まで 流れる 血は香る
喉に突き刺した 刃が 波線を描く 妖艶さに
まだ癒えぬ傷を抱えたままで 泣いている
悪夢を見た 蝶は 夢を誘う 優美な薫りに
踊らされる この手足を捥がれた痛みのように
何処までも深く 静かに冷たくなるように
夢は 鮮やかな静けさ 彩る海原 花のように美しい死相の色
無闇を彷徨う 無数の手の蠢き 何かを掴もうと
誰かを道連れに捜す この卑猥な唇を 欺くように
滴る蜜 誘惑する 孤独を愛し 一人果てた 夢想の果てに
何処に居る この僅かな愛を 確かに感じる
麗しい白い両の手 その手で締めて この首が歓ぶまで
刃先を震わせ 今にも泣き出しそうな その微笑みで
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