薬剤耐性菌の問題を相殺し得る新しい抗生物質を画期的な手法で開発したことがNatureに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。既にマウス実験は終了し、5~6年後には臨床試験が始まる見込みとも。研究チームは「iChIP」と呼ばれるスクリーニング手法を用い、人工的な環境での培養が難しい土壌中の細菌を培養することで、自然界に存在する抗菌化合物を発見し「テイクソバクチン」と名付けたというもの。培養実験では、皮膚や血液、肺の感染症を引き起こすブドウ球菌や結核の耐性菌、下痢の原因となるディフィシル菌、炭疽菌が、テイクソバクチンにより死滅した。また、強い薬剤耐性を示す黄色ブドウ球菌に感染させたマウスの治療にも効果があったそうです。マウスに副作用は見られなかったことも確認。テイクソバクチンは、細菌の細胞外壁を構成する脂肪分子と結合することで効力を発揮。この結合点は「保存性が高い」ため、薬剤耐性につながる変異が起きにくいそうです。バンコマイシンの耐性菌出現までは30年かかったことから、テイクソバクチンの耐性菌が出るのは30年以上先になるのではとも。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症した女性は、そうでない女性に比べて2型糖尿病の発症リスクがほぼ2倍になるとの研究論文が、米国医師会の精神医学専門誌JAMA Psychiatryに掲載されたそうです(AFPBB NEWS)。今回の研究に用いられたデータは、1989年から2011年の間に米国人女性5万人近くを対象に実施された調査に基づくものだそうです。糖尿病リスク増加分の約半分は、抗うつ剤の使用(34%)と体格指数(BMI)の上昇によって判断される過食(14%)に起因することを発見。ですが、リスク増加分のもう半分については理由を明らかにすることができなかったとも。喫煙、食事、アルコール摂取量、運動などに関連する可能性は排除しているそうです。そして、PTSDの症状が重いほど、2型糖尿病の発症リスクが高くなることも分かったそうです。論文に掲載されている参考資料によると、女性の約9人に1人がPTSDを経験するとしており、これは男性の割合の約2倍に相当するそうです。
米国Nevada州Las Vegasで開催された世界最大級の家電見本市「国際コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(International Consumer Electronics Show、CES)」で減量をサポートするベルト「ベルティ(Belty)」が公開されたそうです(AFPBB NEWS)。このベルト、装着している人が食べ過ぎると内蔵センサーが感知してベルトが振動して知らせ、長時間座り続けても信号を発するそうです。また、体の動きを感知して、座れば緩み、立てば締まるようになっているそうです。フランスの新興企業Emiotaが開発したそうですが、「2015 CES イノベーションアワード(CES Innovation Awards)」の1部門で受賞したそうです。このベルトは、机の前に座っている時間が長くなり過ぎると、立って歩いた方がいいと振動で教えてくれるし、スマートフォンのアプリと連動させ、健康のための「コーチ」になってもらうこともできるそうです。
太陽は11年周期で「活動期」と「静穏期」を繰り返しているそうですが、その静穏期に生まれた人たちは活動期に生まれた人たちよりも平均して5年ほど寿命が長いとする研究結果が、先日Proceedings of the Royal Society Bに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。教会の記録による1676~1878年生まれのノルウェー人8600人の人口統計データを、太陽の活動周期に関する観測データと重ね合わせて分析したところ、強力な太陽フレアと磁気嵐が発生する「太陽極大期」に生まれた人たちの寿命は、「太陽極小期」に生まれた人たちよりも平均して5.2歳短かったというのです。また、この傾向は男性よりも、女性で顕著だったとも。太陽活動期には、黒点や太陽フレア、コロナ質量放出(CME)といった現象が増え、地球上の無線通信や送電の妨害、衛星への損傷、ナビゲーション機器の障害などが生じ得ることが知られているようです。さらに太陽活動は、おそらく生物の細胞やDNAに損傷を与えることで繁殖活動に影響を及ぼすことが知られている環境ストレスの紫外線放射量とも関連していると考えられています。ただし、現代に生まれてくる人々に同じ傾向がみられるかどうかは不明だそうです。
脳卒中などで脳の一部が損傷して失われた運動機能がリハビリで回復するのは、損傷した部分が果たしていた役割を別の部分が肩代わりするからとする研究論文が発表されたそうです(毎日新聞)。サルを使った実験で、人を含む霊長類で発達している大脳皮質から筋肉に運動の指令を出す「第一次運動野」のうち、手の運動機能を担う部分を薬で損傷させ、指で物をつまむ動きをまひさせたそうです。その直後からリハビリを始め、血流変化を測定する陽電子放射断層撮影装置(PET)で脳の働きを調べたところ、損傷していない別の部位の働きが活発になりリハビリが進むことが明らかになったというのだと思います。こうしたことは以前から予想されていたことですが、イメージングで明確任示されたということで意義があるのかと思います。
筆者の研究室では、骨格筋を対象に研究を展開しています。骨格筋の萎縮や肥大のメカニズム、損傷骨格筋の再生など骨格筋の可塑性制御機構の解明に取り組んでいます。
骨格筋は関節を固定したり動かしたりするのはもちろん、人体最大の器官でありその代謝も重要です。骨格筋量は基礎代謝を左右します。また、骨格筋が萎縮してしまうと、姿勢の維持や動作が困難になります。健康長寿のためには適度な運動が欠かせないとよく言われますが、これは骨格筋の機能が維持されているからこそ具現化できるものです。
骨格筋はトレーニングなどで鍛えれば肥大し、大きな力を出せるようになりますが、トレーニングをやめれば元の状態に戻ってしまうのはよく知られています。さらに、日常の活動レベルが少なくなっていくと、徐々に骨格筋は萎縮し、虚弱化していきます。萎縮し虚弱化すると、階段の上り下りが辛くなってエスカレーターやエレベーターを使用しがちになりますが、こうした行為はさらなる骨格筋の萎縮・虚弱化を招くという負のスパイラルになってしまいます。
でも、辛いものはできれば避けたいというのが人の常ですね。そこで、骨格筋の萎縮や虚弱化を防ぐ方策はないものか、日常生活活動レベルで骨格筋を鍛えることはできないかと、研究を展開しています。
こうした研究は、リハビリテーション領域ではもちろん、日常生活を送る人々から宇宙飛行士に至るまで、広範な人々の健康管理の上でも有用なものです。ですので、健康科学や宇宙医学も本研究室の研究領域の1つになっています。
「骨格筋の萎縮や虚弱化を防ぐ方策はないものか、日常生活活動レベルで骨格筋を鍛えることを明らかにする」と口で言うのはたやすいことですが、これらを解明することはそう簡単ではありません。骨格筋萎縮や虚弱化を防ぐためには、その前になぜ骨格筋は萎縮するのか、なぜ虚弱化するのか、骨格筋ななぜトレーニングに対して適応するのか、ということを1つ1つ明らかにしていかなければなりません。つまり、単にこんな運動トレーニングをしたら筋力が改善したというのは、研究とは言えません。なぜなら、こうしたアプローチでは、何千~何万、あるいはそれ以上の無限の数のトレーニング方法を試していかなければならず、結局は何が明らかになったのかよくわかりません。もちろん、こうしたアプローチが全く無意味かと言うとそういう訳ではありません。
研究とは、様々な事象の根底にある真理を追究するものですから、この場合はなぜ骨格筋は肥大するのかということがテーマになります。骨格筋肥大のメカニズムが明らかになれば、そのメカニズムを作動させるような運動やリハビリなどを行えばよいということになります。
研究のアプローチとしてはタンパク質やmRNA発現を解析していますが、初心者の方でも丁寧に教えますので、やる気・意欲のある方ならどなたでもできるようになります。大学院修士課程は2年間ですから、長い人生の中での2年間、研究に没頭してみませんか。
骨格筋研究に興味関心のある方ならバックグラウンドは問いません。生命科学、体育学、スポーツ科学、理学療法、看護、その他、出身学科などは不問です。まずはお問い合わせください。出身学部学科を問わず大学(4年生専門学校で大学院入学資格を得た得られる学校)を卒業されている方ならどなたでも受験できます。
短期大学や3年生の専門学校を卒業されている方でも、卒後の職務経歴により受験資格が与えられるかどうか審査を受けられます。
平成26年度より、受験科目が軽減されます。さらに、シニア入試も実施されるなど、門戸は広がっています。また、平成26年度よりテレビ会議システムを活用した遠隔授業が導入されますので、働きながら修学を考えている方や遠方の方でも学修できる可能性が高まります。
また、本学には修士課程しかありませんが、博士課程への進学を希望する方には、進学に関する指導も行います。
もちろん、研究室の見学も大歓迎です。
まずは、お気軽にお問い合わせください。
E-mail goto「アット」sozo.ac.jp
(上記アドレスの「アット」の部分を@に変えてください。)
骨格筋は関節を固定したり動かしたりするのはもちろん、人体最大の器官でありその代謝も重要です。骨格筋量は基礎代謝を左右します。また、骨格筋が萎縮してしまうと、姿勢の維持や動作が困難になります。健康長寿のためには適度な運動が欠かせないとよく言われますが、これは骨格筋の機能が維持されているからこそ具現化できるものです。
骨格筋はトレーニングなどで鍛えれば肥大し、大きな力を出せるようになりますが、トレーニングをやめれば元の状態に戻ってしまうのはよく知られています。さらに、日常の活動レベルが少なくなっていくと、徐々に骨格筋は萎縮し、虚弱化していきます。萎縮し虚弱化すると、階段の上り下りが辛くなってエスカレーターやエレベーターを使用しがちになりますが、こうした行為はさらなる骨格筋の萎縮・虚弱化を招くという負のスパイラルになってしまいます。
でも、辛いものはできれば避けたいというのが人の常ですね。そこで、骨格筋の萎縮や虚弱化を防ぐ方策はないものか、日常生活活動レベルで骨格筋を鍛えることはできないかと、研究を展開しています。
こうした研究は、リハビリテーション領域ではもちろん、日常生活を送る人々から宇宙飛行士に至るまで、広範な人々の健康管理の上でも有用なものです。ですので、健康科学や宇宙医学も本研究室の研究領域の1つになっています。
「骨格筋の萎縮や虚弱化を防ぐ方策はないものか、日常生活活動レベルで骨格筋を鍛えることを明らかにする」と口で言うのはたやすいことですが、これらを解明することはそう簡単ではありません。骨格筋萎縮や虚弱化を防ぐためには、その前になぜ骨格筋は萎縮するのか、なぜ虚弱化するのか、骨格筋ななぜトレーニングに対して適応するのか、ということを1つ1つ明らかにしていかなければなりません。つまり、単にこんな運動トレーニングをしたら筋力が改善したというのは、研究とは言えません。なぜなら、こうしたアプローチでは、何千~何万、あるいはそれ以上の無限の数のトレーニング方法を試していかなければならず、結局は何が明らかになったのかよくわかりません。もちろん、こうしたアプローチが全く無意味かと言うとそういう訳ではありません。
研究とは、様々な事象の根底にある真理を追究するものですから、この場合はなぜ骨格筋は肥大するのかということがテーマになります。骨格筋肥大のメカニズムが明らかになれば、そのメカニズムを作動させるような運動やリハビリなどを行えばよいということになります。
研究のアプローチとしてはタンパク質やmRNA発現を解析していますが、初心者の方でも丁寧に教えますので、やる気・意欲のある方ならどなたでもできるようになります。大学院修士課程は2年間ですから、長い人生の中での2年間、研究に没頭してみませんか。
骨格筋研究に興味関心のある方ならバックグラウンドは問いません。生命科学、体育学、スポーツ科学、理学療法、看護、その他、出身学科などは不問です。まずはお問い合わせください。出身学部学科を問わず大学(4年生専門学校で大学院入学資格を得た得られる学校)を卒業されている方ならどなたでも受験できます。
短期大学や3年生の専門学校を卒業されている方でも、卒後の職務経歴により受験資格が与えられるかどうか審査を受けられます。
平成26年度より、受験科目が軽減されます。さらに、シニア入試も実施されるなど、門戸は広がっています。また、平成26年度よりテレビ会議システムを活用した遠隔授業が導入されますので、働きながら修学を考えている方や遠方の方でも学修できる可能性が高まります。
また、本学には修士課程しかありませんが、博士課程への進学を希望する方には、進学に関する指導も行います。
もちろん、研究室の見学も大歓迎です。
まずは、お気軽にお問い合わせください。
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先日、肥満でも健康な人はいるという研究結果を紹介しましたが、今回はある意味でその正反対の研究成果を紹介します。肥満と診断された人で健康状態が良好な場合、それは一時的なものであることが多く、時を経るにつれて状態が低下する可能性が高いとした研究論文が、Journal of the American College of Cardiologyに先日掲載されたそうです(AFPBB NEWS)。2500人以上を対象に、この種の調査としては過去最長規模となる20年間の追跡調査を行い、過体重の人は痩せている人に比べ、心臓発作や脳卒中、特定種のがんなどを発症するリスクが月日を経るごとに高まるとした従来説を裏付ける結果が出たというもの。研究では「肥満でも健康」の状態について、高血圧や高コレステロールではなく、また糖尿病といった代謝系のリスク要因もない状態と定義したようです。39~62歳までの男女2521人を対象に、体格指数(BMI)やコレステロール、血圧、空腹時血糖値、インスリン抵抗性の測定。このうち、初期段階で肥満とされた対象者は181人で、うち66人は「肥満でも健康」と。しかし20年の研究期間中に、これらの健康な肥満とされた人の約半数の健康状態が低下したそうです。また、肥満とされた人のうち、期間中に減量して標準的な体重になった人の割合は11%にとどまったとも。健康な肥満の成人は、長い年月の間に不健康になる傾向があるというのです。さて・・・・・。
納豆菌を用いて量産できるサーファクチンを微量添加することで、合成界面活性剤の量を100分の1に減らせることが明らかになったそうです(財経新聞)。合成界面活性剤は、環境中に拡散されることが懸念されていることから、使用量の低減やバイオ由来の界面活性剤への転換が求められているのはご存知かと。今回の研究では、納豆菌から量産できるサーファクチンを、洗剤の主成分であるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムに添加して界面活性効果を調べた結果、サーファクチンを10%加えると、合成界面活性剤の使用量を100分の1に減らしても、同等以上の界面活性効果(表面張力低下能)を示すことが分かったというもの。いろいろなことがわかっていきますね。
国立がん研究センターは先月18日、野菜・果物の摂取が日本人男性に多い、下部胃がんのリスクを低下させるとの調査結果を発表したそうです(財経新聞)。調査では、研究に協力した日本人19万1,232人を11年間に渡ってアンケートなどで追跡。そのうち胃がんになった2,995人について摂取量カテゴリーごとの胃がんリスクを比較。胃がんになった人のうち、胃の上部1/3に発生したのは258人、下部2/3に発生したのは1,412人。下部胃がんについては、男性の場合は、野菜の摂取量が多いほど、リスクが低い傾向が認められたそうです。女性においては差が無かったとも。抗酸化作用のある成分に富む野菜・果物には胃がんの原因であるヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)などによる細胞のDNAへのダメージを抑える働きが期待され、これまでの研究でピロリ菌感染が下部胃がんのリスクを高めることが確認されているそうです。今回の調査で、野菜がピロリ菌による発がんに予防的に働き、よりピロリ感染との関連が強い下部胃がんリスクの低下がはっきりとみられたと推察されるそうです。女性が野菜摂取と下部胃がんとの関連性が見られなかった理由は、女性は野菜摂取量が男性に比べて多く、リスクになるほど不足している人が少なかったためではないかということです。
肝炎治療薬としてヒトに使用されている既存薬である「プロパゲルマニウム」(CCL2阻害剤)によって、がん転移を強力に抑制させることに成功したことがJournal of Clinical Investigationで発表されたそうです(財経新聞)。がん細胞の周囲には「がんニッチ」と呼ばれる細胞群が存在し、がん細胞の増殖や転移を積極的に手助けしていることが知られています。特に血液由来の「線維芽細胞」や「単球細胞」は、がんニッチの構成因子として重要とのこと。がん治療においては、がん細胞だけでなく、このがんニッチも同時に消滅させる必要があるそうですが、これまでどのようなメカニズムでがんニッチが形成されるかについてはあまりわかっていなかったそうです。今回、「Fbxw7」と「CCL2」と呼ばれる二つのタンパク質に注目。まず、乳がん患者の血液細胞を調べ、Fbxw7の発現量が低い人は、がんの転移や再発がしやすくなることを発見。次に、Fbxw7が低くなると、CCL2が過剰に分泌され、それががん細胞の周りに単球細胞を異常に呼び寄せて、がんニッチを作り上げていたことを発見。そこで、このCCL2の働きを阻害するために、マウスにCCL2阻害剤である「プロパゲルマニウム」を投与すると、単球細胞の集積がみられなくなり、転移先でのがん細胞の増殖が抑えられたというのです。プロパゲルマニウムは既に肝炎治療薬としてヒトに使用されている既存薬でもあることから、今後なるべく早い時期にプロパゲルマニウムの臨床治験を進めていく予定だそうです。