ちょっと正月太りが気になる人へ朗報?です。肥満と診断された20人のうち5人は、ファストフードの食事量を数か月にわたって増やしても、体重が増加しただけで良好な健康状態を維持していたという実験結果が、Journal of Clinical Investigationに先日発表されたそうです(AFPBB NEWS)。この雑誌は、結構権威のある雑誌です。この研究では、被験者に1日当たりの食事量を1000キロカロリーずつ増やすことを推奨。主にファストフードを頻繁に食べるという方法で、体重の6%増加を目指してもらったそうです。すると、インスリン抵抗性や高コレステロール、高血圧、脂肪肝といった肥満に伴う症状が実験開始時にみられなかった人たちは、実験後に体重が約7キロ増加したものの、これらの代謝性合併症を新たに発症することはなかったそうです。一方、実験前から代謝性合併症があった人たちは、体重の増加に伴いこれらの症状が悪化したそうです。この結果は、一般集団において肥満と診断された人の約25%に、心臓発作や糖尿病、脳卒中の原因となる代謝性合併症が認められないという科学的見解と一致するものだそうです。遺伝子発現調節機構に違いがあるのでしょう。
心臓欠損、てんかん発作、知的障害などを引き起こす恐れのある子どもの発達障害に関連する遺伝子12個を発見したとの研究論文が、先日Natureに掲載されたそうです(AFPBB NEWS)。これらの遺伝子は、診断未確定の重度の障害がある子ども1133人とその両親のゲノム(全遺伝情報)の詳細な調査で発見されたものだそうです。重度の発達障害をがある子どもの半数以下は、特定の遺伝子診断が下されておらず、障害の中には極めてまれなものもあり、症状は人によって異なる場合も。関与遺伝子の特定は、一部の人々が発達障害を患う理由を医師らが理解することを助け、障害のある子どもを持つ人に生殖をめぐる選択について情報を提供することが可能になることが考えらます。最も一般的な障害の一部では、発育障害、身体的変形、学習障害や行動障害などを伴うことも。可能性のある症状としては、てんかん、自閉症、統合失調症、発育不良など。これら障害を引き起こす遺伝子の誤りが生じる原因は何かは分かっていないそうで、遺伝子変異の中には、両親からの遺伝で受け継がれるものもあれば、子どもに初めて出現するものもあるそうです。発達障害の大半は出生前から始まっているそうですが、負傷や感染症、環境的影響などの要因によって出生後に発現する可能性があるものも。障害は日常生活の機能に深刻な影響を及ぼす恐れがあり、その影響は生涯続く可能性も。より多くの関与遺伝子が特定されれば、新たな治療法の探究の出発点となることでしょう。
岩場に生息する欧州のアリの一種は、道の分岐点で左に曲がる場合が大半を占めるとの研究論文が、先日発表されたそうです(AFPBB NEWS)。この集団的な習性は、アリの生存において有利に働いている可能性があるそうです。人間を含む多くの生物は、動作や感覚において、右か左の一方を他方より好む傾向を示すそうです。例えば人間の9割は右利きであり、セイヨウミツバチは主に右目を使って対象を認識しているそうです。研究では、欧州のフタフシアリ亜科のアリ(学名:Temnothorax albipennis)が左右どちらかに偏る傾向を示すかどうかを調べる実験を実施。最初の実験は、アリのコロニー8個を対象に、各コロニーから偵察に出たアリの集団が新しい巣を探索する様子を観察したところ、巣に立ち入った集団は、左折を35回、右折を19回行ったそうです。次に行った実験では、二股の分岐に枝分かれする複数の通路でできた迷路を使用。アリたちは2番目の分岐点以降、左折50回に対し右折30回で、左方向をより頻繁に選ぶ傾向が認められたそうです。
インドネシアの熱帯雨林の奥地で、卵ではなくオタマジャクシを産む新種のカエルを世界で初めて確認したとの研究論文が、PLOS ONEに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。アジアに生息する「牙を持つカエル」に分類されるこのカエル(学名:Limnonectes larvaepartus)は、インドネシア出身の科学者によって10年前に初めて発見。科学者らは長年、この特異なカエルがオタマジャクシを産んでいる可能性が高いと考えてきたそうですが、交接や出産の様子が直接観察されたことはこれまでなかったそうです。雄とみられる1匹のカエルをつかまえたところ、このカエルは実際には雌で、生まれたばかりのオタマジャクシを十数匹連れていたそうです。世界中に生息する6000種以上のカエルのほぼ全ては、抱接(ほうせつ、カエルの交接時の抱擁)で雄が雌に抱きつき、雌から卵が放出されている最中に雄が精子を放出する体外受精を行っているそうですが、この新種のカエルは、体内受精を進化させた10種か12種しかいないカエルの仲間で、その中でも、子ガエルや受精卵ではなく、オタマジャクシを産む唯一の種とのこと。子孫を生み出すことに関しては、カエルの世界にはこの他にも特異な行動様式が数多く存在し、アフリカに生息し、体内受精を行う一部の種のカエルは、オタマジャクシの段階を経ない子ガエルを産むことが知られているとも。
日焼け用ベッドの商用利用禁止、と言っても日本の事ではありません。オーストラリアの大半の地域で、人工的に肌を日焼けさせる「日焼け用ベッド」の商用利用が1月1日から禁止されているようです(AFPBB NEWS)。皮膚がん率が世界で最も高い国の1つであるオーストラリアは、人工日焼けを規制する方針だそうです。日焼け用ベッドが禁止されるのは、New South Wales、Victoria、South Australia、Tasmania、Queenslandの各州と首都特別地域(ACT)だそうです。規制推進派によると、こうした禁止が施行されるのはブラジルに次いで世界で2番目だそうです。Western Australia州でも同様の規制が実施されるが、施行日は決まっていないようです。同国内で日焼け用ベッドの規制がないのは、高温多湿な北部特別地域(Northern Territory、準州)のみに。オーストラリアでは3人に2人が70歳までの間に皮膚がんにかかっているそうです。長らく規制を求める活動を行ってきたオーストラリアのがん予防・治療推進団体、オーストラリアがん評議会(Cancer Council Australia)は禁止措置を歓迎しているとのこと。過去の研究で、18~39歳による日焼けベッドの利用は悪性黒色腫(メラノーマ)の発症リスクを高めることが示唆されており、メラノーマはオーストラリアの若者が最もかかりやすいがんで、発症率は41%にも。Natureに発表された研究によると、日焼け用ベッドの使用はすでに欧州の一部の国々や米国の一部の州でも禁止されているそうです。
がんは、家族歴や環境的要因ではなく、細胞分裂時に起きるランダムな変異の「不運」に見舞われることによって発生する場合が多くを占めるとの研究論文が、Scienceに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。この研究は、さまざまなヒト組織に発生する多様ながんを含めた統計モデルに基づくものだそうですが、女性で最も患者数の多いがんの乳がんと、男性で皮膚がんに次いで最も患者数の多いがんの前立腺がんは、今回のモデルには含まれていないそうです。評価対象とした成人がんのうちの約3分の2は、腫瘍の成長を促す遺伝子で起きるランダムな変異で原因を説明できる一方、残りの3分の1は、環境的要因や親から受け継いだ遺伝子に起因するものだったそうです。今回の研究結果が示していることは、喫煙や他の好ましくない生活要因によってがんになるリスクがさらに増す恐れがあることとしながらも、多くの種類のがんは生活要因や遺伝要因の有無に関係なく、がん促進遺伝子に変異が起きるという不運に主に起因していると。長年にわたって喫煙していたり、日光を大量に浴びていたりしているにもかかわらず、がんにならずに長生きしている人々は「優れた遺伝子」を持っているわけではなく、その大半は、ただ運が良いだけというのです。「運」ですか.....。
高血圧や糖尿病などの原因により発生する「慢性腎臓病」は慢性で進行性に腎機能が低下する病態であり、最終的に末期腎不全に陥るのみならず脳心血管疾患の発症率や死亡率を高めますが、慢性腎臓病の進行を抑制する治療としては高血圧や糖尿病に対する治療を行う以外にはありませんでした。今回、便秘症の治療薬として使用されるルビプロストンという薬剤に慢性腎臓病の進行を抑える効果があることが見つかったそうです(財形新聞)。この研究は、便秘症治療薬であるルビプロストンが腎機能の悪化に伴って変化する腸内環境を改善させることにより、体内の尿毒素蓄積を軽減させ、その結果腎臓の障害進行を抑制する効果があることをマウスを用いた実験で明らかにしたというもの。慢性腎不全の状態にしたマウスにルビプロストンを投与し、腎臓病の進行が抑制されるかを検証。その結果、ルビプロストンを投与した腎不全マウスでは投与していないマウスに比べて腸液の分泌が増加し、腎不全時における腸壁の悪化が改善されていたというもの。次世代シークエンサーを用いた腸内細菌叢の解析を行ったところ、腎不全マウスでは Lactobacillusや Prevotellaといった一般に善玉菌と呼ばれるような腸内細菌種の著明な減少が見られたが、ルビプロストン投与によりこの善玉菌の減少が改善していることが明らかになったそうです。さらに、CE-TOFMSという装置を用い腎不全時に血液中に蓄積する尿毒素などの代謝物濃度をメタボローム解析により網羅的に測定した結果、ルビプロストンを投与したマウスでは腸内細菌に由来する尿毒素とされるインドキシル硫酸や馬尿酸といった物質の血中濃度が減少することが明らかになったとも。今後、人への応用に向け、副作用の少ない低容量かつ腸で溶ける製剤の開発やルビプロストンの効果がある腎不全患者の選び方などの検討などを行い、実際の腎臓病患者への治療薬開発を目指す方針だそうです。
定型発達児は怒り顔を非常にすばやく見つけ出せるのに対し、自閉症の児童は怒り顔をすばやく見つけ出すことが困難であることが明らかになったそうです(財経新聞)。自閉症の子どもが他人とコミュニケーションを取るのが困難である理由として、一般的には「他者の心情を理解することができない」といった高次な認識や推論に問題があると考えられてきたそうですが、今回の研究でこれまでの仮説とは反対に、自閉症の子どもは基本的な表情の読み取りが苦手であることが、他人とのスムーズな交渉を阻害しているのではないかと考えられるようです。怒り顔は、向けられた者にとっては、身の安全を脅かす信号であるため、それに対し迅速に対処しようとすることは生物としてきわめて適応的な反応で、その情報処理はほとんど意識下でなされるものと考えられるそうです。ですが、自閉症の子どもでは、そのした表情を意識下でよみとり、状況ごとに対応を変化させる柔軟性が乏しいことが判明したというもののようです。
正月ですので、ビールの話題を1つ。ビール瓶の栓を開けたときに、泡がビールとともに溢れ出るのを「噴き(gushing)」というそうですが、噴きを抑制する方法が発見されたというニュースが昨年報道されていました(財経新聞)ので紹介します。これまでビール醸造メーカーは消泡作用のあるホップエキスを足すことで噴きを抑えようとしてきたが、ホップエキスに浸した麦芽に磁場を与えたところ、ホップエキスがより小さな粒子になることが分かったそうです。ホップエキスが小さな粒子になることで、麦芽が発酵する過程で発生した二酸化炭素を引き付ける作用があるヒドロホビンと呼ばれるタンパク質と効果的に結合でき、これにより噴きが抑えられるそうです。実際にビール醸造にこの技術を用いたところ、過剰な泡を減らすことができたため、ホップエキスの量を減らす必要があったそうです。つまり、醸造コストを減らすことも期待できるとのことです。
イネの種子の大きさを制御する遺伝子が発見されたそうです(47 NEWS)。この遺伝子が活発に働くとコメ粒が大きくなり、1株当たり最大15%ほど重くできるそうです。遺伝子組み換えでなく、交配でこの遺伝子を他品種へ移すことにも成功したそうです。これにより、収穫量の多い新品種を作って提供し、世界的な食糧難問題の軽減に役立てることも可能ということです。