Haa - tschi  本家 『週べ』 同様 毎週水曜日 更新

納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

#283 常勝球団・西武の初優勝

2013年08月14日 | 1982 年 



1980年代後半から90年代にかけて常勝球団となる西武ライオンズも球団創設当初は下位に低迷していましたが、広岡新監督招聘1年目にいきなり前期優勝を成し遂げました。


阪急の敗戦で前期優勝が決定したのは6月25日。思い返せば3年前のこの日は球団創設1年目の前期日程最終日のロッテ戦で、代打・田淵の逆転満塁本塁打で勝ったが18勝40敗7分で首位・近鉄に21ゲーム差の断トツの最下位に沈んだ。あれからまさに「石の上にも3年」となった今年の前期成績は36勝27敗2分で貯金は「9」だが、そのうち南海から「7(10勝3敗)」を稼いだ。南海以外には26勝24敗2分とほぼ互角だっただけに優勝の大きな要因はカモを作ったおかげと言ってよい。しかし、昨年の対南海戦は7勝16敗3分と苦手としていた。今年の西武は何が変わったのか?

それは投手陣の奮闘である。加えて南海から移籍して来た黒田捕手の存在が大きい。南海の打者について隅から隅まで知り尽くしている黒田の加入で主砲・門田封じに成功した。昨年の西武投手陣は南海打線相手に32本塁打を許したが特に門田一人に12本も打たれた。12本塁打を含め打率.345 、35打点と打ちまくった門田を少なくとも前期は抑える事が出来た。打率は.292 をマークされたが3本塁打、7打点なら御の字。細かく見てみると「2本塁打・4打点」は5対12で大敗した10回戦の1試合で打たれたもので、残りの12試合では「1本塁打・3打点」に抑えた。

打撃10傑には大田が4位につけているだけだが、投手10傑には東尾(2位)、杉本(3位)、松沼弟(6位)、松沼兄(8位)の4人が入っている。この投手力で1点差試合は14勝7敗と勝ち越した。たとえ西武打線が3得点以下に抑えられても投手陣が相手打線を2得点以下に抑えて、8勝21敗・勝率.276 と敗戦を最小限に留める事が出来た。ちなみに投手陣が壊滅状態のロッテだと3得点以下の勝率は.156 しかない。チーム打率は昨年前期は.274 だったが今年は.256 とダウンし、1試合平均得点は1点以上も減っている。それだけに前期優勝の原動力は投手陣と言える。

広岡監督は当然の如く後期も制して完全優勝を目指すと公言しているが容易な事ではない。昭和48年の前後期制導入以来、前後期優勝を遂げたのは昭和51年と53年の阪急だけ。西武も昨年前期は2位と健闘したものの後期は5位と息切れしてしまった。後期も投手力を中心とした守りの野球を展開していくしかなく、一朝一夕に打線が活発になるとは考え難い。少ないチャンスを生かす為にも今の西武に欠けているのが走力である。盗塁数は阪急の65個、近鉄の60個に比べて西武は僅か33個である。しかも盗塁失敗も30機会と多くパ・リーグ全体平均の盗塁成功率.650 に対して西武は.524 と低い。開幕前に「50盗塁」と高らかに宣言していた石毛の盗塁数は「7個」と伸び悩んでいる。足の怪我が盗塁数が伸びない原因だが、その石毛がチームの盗塁王とは情けない。足にスランプは無いと言われているだけに走力が打撃力の劣る西武のキーポイントとなりそうだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする