㊐ :日刊スポーツ記者 ㋜ :スポニチ記者 ㋚ :サンスポ記者
㊐ :先ずは今オフを騒がしたパ・リーグの1シーズン制復活についての御意見を伺いたい。
㋜ :近年稀に見る改悪でしょ。
㋚ :あれは一般の大学生のファンが提唱した案ですよ、パ・リーグ事務局は否定しているけど。
※ 1983年から2シーズン制に代えて変則1シーズン制を導入することとなった。これはいわば2シーズン制と通常の1シーズン制の中間に位置する折衷案として企画されたもので【130試合終了時に1位と2位のゲーム差が5ゲーム以内である場合、5戦3勝制を原則としたプレーオフを行う】というものだった。但し勝率はプレーオフを含めた成績で計算する為、1位のチームが1勝した後、2位のチームが残り4試合に全勝しても勝率が1位のチームに届かない場合はその時点で1位チームの優勝となるといった複雑なルールがあった。実際には優勝した各チーム(83年・85年は西武、84年は阪急)が2位以下に大差を付けて圧倒的な優勝を決めたことからプレーオフの実施には至らず、この制度は1度も実施されぬまま廃止となり「幻のプレーオフ」と言われた。(出典: Wikipedia より抜粋)
㊐ :その大学生本人かどうか確認は取っていないけどウチにも同じ案が送られて来た。どうやら球界の各方面に送っていたらしい。
㋜ :まさに「貧すれば鈍する 」で荒唐無稽。プレーオフをやるには2シーズン制が大前提で、根の無い木に接ぎ木をするようなもんですよ。
㊐ :検討した案は幾つかあったみたいだ。最初から「プレーオフ有りき」の中でベストではなくベター案かな。実際、過去の優勝と2位とで
5ゲーム差以上ついた年はそう多くないから採用したんだろうけど、案外大差がついたりするもんだよ下手な策を労すると。
㋚ :ファンにしてみれば良かったと言えるんじゃないか。前期で優勝争いから脱落したチームは早々に後期に照準を合わせて捨てゲームが
多かったのも事実。後期に備えてエース級が二軍で調整する事も珍しくなく、ファン無視も甚だしい。
㋜ :事務局の言い分は2シーズン制による過密日程を減らして選手の怪我を防止する為としているが、それなら純粋な1シーズン制で良い筈。
経営者側はプレーオフによる観客動員数のアップと言う「果実」を手放したくない。そもそも前後期制にしたのも観客数を増やすのが目的
だった。優勝争いが3回訪れる訳だからね前・後期とプレーオフで。
㋚ :でも結局、前後期制ではレギュラーシーズンの観客数は増えず過密日程などデメリットの方が多かった。プレーオフの恩恵を受けられない
4球団の不満は増えるばかりだった。
㊐ :プレーオフ云々以前に企業努力をしてチームを強くするのが一番にやるべき事。西武と言う良いお手本が有るのにね。
㋜ :次は日本シリーズでのDH制採用について。もう採用決定で固いかな?
㋚ :強硬に反対していた巨人・正力オーナーとヤクルト・松園オーナーが下田コミッショナーに説き伏せられたからほぼ決まりでしょ。
㋜ :さすが下田さんと言ったところだね。日本球界の悲願とも言える日米決戦を提案するのに「日本はDH制を採用しない」を貫いた場合
「仮にア・リーグチームが米国代表となった時に『DH制でなければ対戦しない』と固辞されたらどうする?」と問われグーの音も出なかった。
㊐ :日米決戦は常々正力オーナーが力説しているイベントだからね。
㋚ :まだセ・リーグ6球団は不満タラタラで仮にDH制が採用されても日本シリーズでは投手を打席に立たせる腹づもりらしい。
㊐ :「日本一」が目の前にぶら下がった状況でそんな事が本当に出来るのかね?それで負けたりしたらファンが許さないでしょ。
㋚ :谷沢(中日)・加藤(広島)・藤田(阪神)・大杉(ヤクルト)などはDHの方が活躍出来ると思うけどね。
㊐ :DH制を最初に採用しようとしたのは実はセ・リーグの方だった。それが先を越されたから面白くないと思ってる。
㋜ :是非とも巨人に優勝してもらってDH制を使わないお手並みを拝見したいですね。
㋚ :高橋選手(ロッテ)の話に移ろうか。
㊐ :結局は何も解決されていない。
㋚ :機構側が慌てたのは今まで慣例的に平気で行なっていた事が実は不適切な行為だったと世間に知られてしまったから。例えば保留選手
名簿は11月27日で締め切り30日に発表する事が決められていたが守られていなかった。また契約をする意志の全く無い選手まで入れてた。
㊐ :あくまでも契約をしたいが条件面で合意に至らない場合の猶予措置だからね保留選手は。
㋜ :高橋がクビを宣告されたのが12月末だったのもロッテが批判される要因の一つでもあるね。
㊐ :経営者側が今一番警戒しているのは選手会の強大化。統一契約書を詳しく読んでいくと選手の基本的人権を蹂躪している面が色々と
浮かび上ってくる。選手会が法律の専門家を招いて統一契約書を精査し出したら厄介な事になり球団経営を圧迫しかねないと恐れている。
㋜ :短兵急なものじゃないけど、いずれは日本の選手会もアメリカのような圧力団体になると思うな。
㊐ :僕もそう思うな。経営者側が最近になって「10年選手制度」の復活を口にし出したのもアメリカのようにフリーエージェント制を導入されたら
手も足もでないと考えているから。まだ10年選手制度の方が球団に主導権があるからね。でも世の中の趨勢でプロ野球界だけが閉鎖的な
ままで許されるとは思えないから、そう遠くない将来には選手会がフリーエージェント制導入を要求してくるだろう。
㋚ :だから今回の高橋選手の件では鈴木(セ・リーグ会長)さんや福島(パ・リーグ会長)さんは慌てたんだ。今の所は選手会の力が弱くて
この程度の騒ぎで済んでいるがもしストライキなんて事を言い出したら球界は大混乱になる。何とか選手会を手なずけておかなければ、と。
㊐ :野球協約はプロ野球界にとっての憲法だけれども法律家が見たら隙間だらけの欠陥品だそうだ。高橋選手の弁護士が法廷闘争に向けて
野球協約や統一契約書を取り寄せて確認したが、中身は「奴隷契約」に等しく現代社会では有り得ない話だと呆れたらしい。
㋚ :江川事件で野球協約の欠陥が露呈されたのに放置してきたんだから自業自得だね。
㋜ :プロ野球と言う業界は企業体として見直す時期にきている。基本的人権意識の拡大の流れは誰にも止められない。
㊐ :長嶋さんのネタは有る?藤田監督は優勝しても、しなくても今年で辞めるだろうけど2年連続で優勝を逃せばひょっとしたら王助監督も
引責辞任する可能性もゼロじゃない。王さんの性格なら何も無かったかのような顔をして監督に就任出来ないと思う。となると長嶋さんに
お鉢が回って来るかもしれない。
㋚ :優勝を逃せば一応は進退伺いを出す事にはなるだろうけど、それは形だけの事で監督就任は既定路線だよ。二軍スタッフの顔ぶれを見て
ごらんよ、王派の国松二軍監督・須藤コーチ・町田コーチは来年そのまま一軍へ昇格する筈だよ。王監督誕生は間違いない。
㊐ :じゃ長嶋さんの復帰は暫く無い?
㋜ :長嶋さんが「川上タイプ」と「三原タイプ」のどちらを選ぶかだよね。川上さんは巨人で野球人生を全うしたのに対して三原さんは請われるが
ままに西鉄や大洋の監督を引き受けた。個人的には長嶋さんは川上タイプだと思うな。
㊐ :僕も最初はそう思っていたけど最近の言動を見ていると以前ほど「何が何でも巨人」ではない。広岡さんの影響かな?
㋚ :ただね、色んな球団を渡り歩く人は浪人はしないんだよね。要請が来たら断ったりしない。長嶋さんは浪人生活が長過ぎた感が有る。元々は
走りながら物事を考えるタイプの人が一度立ち止まってしまった為に臆病になっているのかも。かつて中部(大洋オーナー)さんから要請が
あった時にスパッと決断していたら今頃は生き生きとグラウンドで躍動していただろうな。
㋜ :仮にやるとしても巨人時代のような仲良しグループじゃダメだよ。ヘッドコーチに嫌われ役も厭わない人間を引っ張って来ないと。そうなると
巨人OBに拘る必要も無くなって読売グループと縁も切れる。
㋚ :そう。読売グループとの決別が出来るかどうかだね。他球団の監督をやった人間を巨人の監督に就任させないから。森(西武ヘッドコーチ)
さんが他球団の監督要請を断り続けてコーチ業に甘んじているのも巨人の監督の座を諦めきれないから。
㊐ :長嶋さんばかりじゃなく今年のオフは10球団の監督の去就が不確定。ネット裏の評論家はソワソワ落ち着かない秋となりそうだ。