Haa - tschi  本家 『週べ』 同様 毎週水曜日 更新

納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 726 週間リポート・ロッテオリオンズ

2022年02月09日 | 1977 年 



今はジッと我慢の子
カネやんロッテが開幕直後の4日間で「勝ち・負け・雨天中止・引き分け」と放棄試合以外の有り得る試合結果4種類を記録した。連勝、連敗を続けるのは珍しくないが勝敗のフルコースを短期間でマークするのは珍しい。実はカネやんにとって雨天中止が一番嬉しかった。三井投手や成田投手が故障で戦線離脱し、先発・救援区別なく駒不足が甚だしい投手陣だけにお天道様に味方してもらわないと先発ローテーションの遣り繰りもつかない。その上に不動の五番打者である白選手が練習中に膝に死球を受けて開幕戦から欠場を余儀なくされ、投打共にカネやんを悩ませている。

カネやんは口にこそ出さないがベストメンバーが組めるまでは1試合でも雨で流れた方が…と思っているのではないか。幸いにもチーム内の士気は落ちていない。それだけにここ暫くは阪急や南海に大きく離されないように我慢の日々が続きそうだ。いつもなら強気一辺倒のカネやんだが、今では周囲がビックリするような神妙な台詞を吐く。「あと10試合は踏ん張り続けにゃイカン。投手陣が崩れてワンサイドの試合が続くようだとチームのやる気が落ちてしまう。同じ負けでもボロ負けしない格好のつく試合をせんと」と。弟分の長嶋監督が率いる巨人が開幕4連勝の好スタートを切ったのを横目にカネやんは何とも辛いジッと我慢の子を決め込んだようだ。


打てない、投げれないでは…
珍現象とでも言たっら失礼だが三・四番コンビの有藤選手とリー選手が打撃ベスト10の1位と2位になったのは4月19日のことだった。有藤が打率.362、リーが打率.348という高数字だった。「ウチは有藤の活躍が全てや。ヤツが打ちさえすりゃ得点力は倍増する。こと打線に関しては心配していない」と言い続けてきたカネやん。まさに願ったり叶ったりの開幕スタートだった。ところがそうは上手く問屋は卸してくれなかった。有藤・リー以外のレギュラー陣が揃いも揃って打率1割台という惨憺たる状態に。打撃30傑の最後尾にやっと1人が名を連ねているようでは、いくら有藤らが打っても得点倍増とはいかない。

リードオフマンの弘田選手が体調を崩し、五番打者の白選手が開幕直前の練習中に受けた死球の後遺症で出遅れたのがチームにとって痛かった。河野守備走塁コーチの代わりに二軍から吉田打撃コーチを引き上げて徳武・吉田の2人体制で打撃陣の総点検を行ったが効果は見られなかった。投打共に不振という二重苦にさすがのカネやんも頭を抱える。珍現象と言えば昨季はあれほど得意にしていた後楽園球場(12連勝を含む17勝5敗)で今季は何と開幕から5連敗。物の怪に取りつかれたように勝ちまくった昨季がウソのようだ。「今はジッと我慢や」と耐えるカネやんに秘策はあるのだとうか。


朗報だ!成田が帰って来る
ロッテが開幕から10試合経過後に最下位になるのはカネやんがロッテの監督に就任して以降では初のこと。就任1年目に開幕から4連敗したが、その後に10連勝して息を吹き返したものだった。それが今季は九分九厘勝利を手中に収めていたのを逆転負けになった試合が2つや3つでは済まない。その原因は投手陣にある。何せ駒不足で逃げ切りどころか先発投手を決めるのにも一苦労している。そんな投手陣に4月も終わりに近づいた頃、やっと朗報が舞い込んだ。右肩痛で投球練習すら出来なかった成田投手に明るい兆しが見えてきた。4月26日の対大洋の二軍戦の試合に先発できるまでに回復してきたのだ。

初回立ち上がりに小金丸選手に2ラン本塁打を浴びて敗戦投手になったものの、キレのあるストレートにスライダーを小気味よく投げ込み試運転としては上出来だった。5回を投げ切り痛みもなく本人は安堵の表情で「責任を感じているんです。僕さえちゃんとしていたらチームもあんな無様な醜態を晒さなくて済んだ(成田)」と。今季の成田にはロッテの部門記録を更新する励みがある。あと8勝で " 和製火の玉投手 " の異名を持つ荒巻淳投手(昭和25年~36年)がマークしたチーム最多勝記録の「173勝」を追い越す。最近5年間の勝利数が「11➡21➡9➡15➡10」と良し悪しを交互に繰り返しているだけに例年通りなら今季は好調の年に当たる。

またあと87奪三振で小野正一投手(昭和31~39年)が持つチーム最多奪三振数「1657」も超える。当然成田自身もそれらは承知しているが「個人記録より先ずは一軍に戻ることが先決です」と話す。現在は高木二軍監督の猛ノックを受けることを日課にして、復活まであと一歩のところまで来た。「もう一度、二軍の試合に投げて最後の調整をする予定です」と話す成田の表情は明るい。また成田以上に頬を緩めているのがカネやんをはじめとする首脳陣だ。「今の調子だとゴールデンウィーク明けには一軍へ行けそう」と高木二軍監督。「ウチは最下位にいるようなチームじゃないんや。成田さえ帰って来れば後期は優勝や!」とカネやんは成田復活を心待ちにしている。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« # 725 週間リポート・南海ホ... | トップ | # 727 週間リポート・近鉄バ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

1977 年 」カテゴリの最新記事