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買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 809 週間リポート ヤクルトスワローズ

2023年09月13日 | 1977 年 



喜んでばかりはいられません
6月4日から15日まで1分けを挟んで球団記録タイの9連勝を記録したヤクルト。だが好事魔多しの格言通り、サッシーこと酒井投手とエース・松岡投手が揃って二軍落ちとなった。10年ぶりの9連勝となった阪神戦に先発した松岡投手は初回一死一・二塁の場面でラインバック選手に3球目を投げたところで左腹部に痛みが出て僅か21球で緊急降板。試合は勝利したもののチームに暗雲が漂い始めた。翌日になっても痛みは引かず病院で診察を受けると胸部挫傷で全治10日と診断された。今季は決して好調とはいえない成績の松岡投手だが、何といっても投手陣のエースで戦線離脱はチームに与える影響は大きい。

5月1日の巨人戦で左太腿の肉離れを発症した酒井投手の予後も芳しくない。2人の故障にチームの貯金はまだ「5」あるじゃないかと周囲は強気だが「勢い・ムードに乗って勝ってきたチームだけに予期せぬアクシデントは怖い」と広岡監督の表情は厳しい。6試合で0勝2敗・防御率 6.63 の酒井投手はまだしも松岡投手の不在は首位躍進を狙うチームには痛手である。しかも序盤戦で5連勝と好調だった会田投手が最近は勝ち星に見放されてリリーフ役に配置転換されている。首位巨人を追撃するには投手陣では安田投手、鈴木投手、梶間投手の踏ん張りと打撃陣では両助っ人の爆発が不可欠である。


演技過剰だとこうなります
首位巨人にゲーム差「3」まで追い上げての対巨人12回戦を前に「先発はオレだ」と吹聴していた安田投手。雨で3連戦のうち2試合が中止となり是が非でも勝ちたいヤクルトとしては中4日で休養充分の梶間投手が先発だと誰もが思っており、前述の発言は安田投手の三味線だと報道陣には本気にされず試合前の練習時から緊張気味の梶間投手の登板が固いと思われた。巨人も先発は梶間投手と予想して相性の良い柴田選手を五番打者に起用した。ところがイザ、蓋を開けるとマウンドには梶間投手ではなく安田投手が上がったのである。安田投手としてはしてやったり。まんまと裏をかいた会心の演技だった。

ところが良かったのはそこまで。調子に乗ったのか本来技巧派の安田投手が「打たれた球はみんな直球(安田)」と5回途中でKOされ降板の憂き目に。「安田は単調すぎた」と広岡監督も渋い顔。「ヤクルトが2位にいる間はウチは安泰だ」と巨人の某コーチが発言したようにヤクルトが巨人の栄養剤になっていることを安田投手も知っている。だからこそ周囲に先発は自分しかない、と演技したわけだが上手くいかなかった。過剰な演技はいらぬところで神経を使い本来の投球を忘れる結果に。安田くん、自然体が一番です。


とにかくいろいろあったなぁ
首位巨人に大差をつけられているとはいえ前半戦をAクラスで折り返したヤクルト。そこでヤクルト担当記者が選んだ前半戦10大ニュースを紹介しよう。❶Aクラス:9年ぶりの9連勝もあり貯金3(7月20日現在)での折り返しは球団初。❷観客増:100万人の大台にあと一息の98万5500人。昨年同時期の72万8000人を大きく上回るリーグ2位。❸サッシー人気:予告先発三度、郷里長崎でのお披露目も結果を出せず二軍落ちとなったが、サッシー人気のお陰で「契約金(推定3000万円)は軽く取り戻したでしょう(某スカウト)」と球団はウハウハ。➍外人管理:不振のロジャー、マニエル両助っ人をベンチに下げた広岡監督の起用法が評価された。

❺故障者相次ぐ:松岡・若松・大矢・安田など主力がバタバタ離脱。右手首骨折の大矢以外は戻って来たが「皆が元気だったら今頃…」と広岡監督が悔やむのも頷ける。❻若手の活躍:梶間投手は新人王へまっしぐら。➐巨人コンプレックス:目下3勝12敗と巨人に勝てない。二軍も3勝7敗と兄弟そろって巨人が苦手?➑門限破り:大阪遠征中に宿舎を抜け出し麻雀をしていた槌田・中村・松村・上水流選手は即刻二軍降格。➒球宴初選出:若松選手が張本選手(巨人)を抜きファン投票初選出。「六度目の出場だが今年が一番うれしい(若松)」➓セ・リーグで初出場:大杉選手が監督推薦で通算7回目の球宴出場。セ・リーグ移籍3年目で初。

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