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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 770 後期展望・阪急ブレーブス

2022年12月14日 | 1977 年 



雨に祟られて前期終幕から慌ただしく後期はスタートを切るが、前期優勝の阪急とプレーオフに持ち込むのはどこのチームか?前期後半、猛烈な強さを見せた " べらんめえ " 大沢日ハムや名誉挽回に密かな復活を狙うカネやんロッテの不気味さを中心に若さの近鉄や南海が絡み再び波乱の戦いが展開されそうだ。各チームの前期の反省と後期の青写真をのぞいてみよう。

難しい優勝後の気分の切り替え
前期優勝の胴上げに待ったをかけたのは南海でも近鉄でもなく雨だった。雨天中止で球団も選手も気勢をそがれることおびただしく、室内練習場で汗を流す選手たちに優勝寸前の高揚感はなかった。2シーズン制の弊害として以前から指摘されていた前・後期の間の無駄な空白期間は降り続いた長雨のお陰で埋まったとはいうものの、前期の未消化試合が後期開幕予定の7月にズレ込んでしまっては何の為の2シーズン制かその意味が問われている。年に二度のお祭りが出来るから2シーズン制が良いと主張したのは近鉄の佐伯オーナーだったが、各球団の監督ら首脳陣は最初から反対の立場だった。

阪急グループの阪急百貨店関係者は「前・後期、さらに日本シリーズでも勝ってもらえれば1年に三度の優勝感謝セールでガッポリ儲けられる」と捕らぬ狸の皮算用ばりに目論んでいるが、チームにとっては前後期の区切りをつけるだけでも苦労しているのが現状だ。平均年齢が高くなった阪急は1シリーズ制だと後半にバテる可能性が高いという意見がある一方でチームの地力は阪急が頭ひとつ抜けているから1シーズンでは阪急が独走してしまうという声もある。

梅雨の間はじっとしていても体の調子がおかしくなるものだから試合が中止になっても練習を欠かさなかったが、主力選手らは体を鈍らない程度に抑えていた。「過度な練習は疲れるだけ」と福本選手。上田監督は「やはり気分転換が一番。やっと優勝を決めたと思ったらすぐに後期が始まる。気持ちの切り替えがカギだろう」とみている。これで後期シーズンも制せば3年連続日本一への道が開ける。ただ選手たちが仮に後期優勝を逃してもプレーオフがあるさと気持ちを緩めることを上田監督は危惧している。


山口・足立投手の不調で後期は苦しい?
今年の阪急はここ1~2年ないほどチーム力にまとまりを欠いている。投手陣では足立、山口投手の調子がおかしく、もし中日から移籍の稲葉投手がいなかったら空中分解していたかもしれない。打線にしても故障者が続出。加藤秀、長池、高井、マルカーノ選手が一時的に離脱するなど揃わない。福本選手が出塁し足でかき回し加藤秀選手らクリーンアップが適時打を放つ阪急の得点パターンが湿りっぱなし。移籍組で活躍が目立った島谷選手でさえ32歳で首脳陣から「無理せんでエエ」と言われて練習を休むという日も少なくなかった。マルカーノ選手の左目の怪我も全治まで長引くようだ。

山口投手の不調も意外と長引いている。キャンプでモーガン臨時投手コーチの指導でコントロールを安定させる為にあのギクシャクした投球フォームの改造に着手したが、かえってストレートのスピードが落ちてしまった。結局、元の投球フォームに戻すことを決意したが、なかなかスピードは戻らず本人も首脳陣も頭を抱えている。後期シーズン制覇のカギは投手力の復活と言われている阪急だが、足立・山口投手の復調がなければ苦しい。そんなわけで前進あるのみ、突貫精神で戦い抜いてきた上田阪急は否応なしに何らかの戦術転換を強いられることとなりそうだ。

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