熱しやすく冷めやすきはトラフィーバー
「お祭りは来年4月までお休み」というこの割り切りが大阪流
ザッと見積もっても250億円。何の数字かと言えば阪神が日本一になったお蔭で阪神グループが手にした額である。リーグ優勝と日本シリーズ勝利の二度に渡るバーゲンで阪神百貨店は約50万人を集客し104億円を売り上げた。これが阪神フィーバーの最高潮だったといえる。かつて「もしも阪神が優勝したら大阪の街は大変なことになるで」と冗談半分に囁かれていたが現実となった。ただ幸いだったのがペナントレースも日本シリーズも優勝を決定したのがいずれも甲子園ではなく敵地だったので、狂喜したファンが道頓堀川にダイビングする程度で済み当初予想された程の大混乱には至らなかった。
さて、フィーバーとは熱を意味するからいつかは自然と冷める。日本一の瞬間がフィーバーの絶頂で、それを境に予想外に早く大阪の街は普段の顔に戻った。「今年の阪神はお祭りやった。来年の開幕まで祭はお休みや」と熱心なトラキチはこう表現した。21年ぶりの優勝、しかもその勝ち方が型破りとあって未曾有の大フィーバーとなった。阪神球団の念願だった観客動員数200万人を優に超える260万人を記録し、巨人に追いつき追い越す勢いを見せた。しかし中村球団管理部課長は「来年は厳しいちゃいますか」と苦笑した。ホクホク顔の球団が何故そんな心配を?「今年は何もかも特別なんです。地に足が着いた人気ではない。今年のような首位争いを4~5年続けられれば本物の人気球団になれる(中村)」と。
森新監督を選んだ西武の㊙事情
堤オーナーのサゼスションと戸田社長の決断が全てだった
西武球団の三代目監督に森昌彦氏(48)の就任が決まり、12月5日に正式発表された。広岡前監督の突然の退団から約1ヶ月で下馬評では高くなかった森氏になぜ白羽の矢が立ったのであろうか?この間、様々な人物の名前が浮かび消えていった。広島の監督を辞した古葉竹識氏。元巨人軍監督で常に去就が注目されている長嶋茂雄氏。昨季で現役を引退した際には堤オーナーから「いずれ西武の監督に」との約束手形を得た田淵幸一氏。はては大リーグの名物監督でニューヨーク・ヤンキースの前監督のビリー・マーチン氏の名前などが並んだ。こうした大物の名前が列挙された背景には広岡氏という名将の後釜に相応しい人物をという思いがあった。
4年間で三度のリーグ優勝、二度の日本一という実績を残しながら人気という点で球団として広岡監督では満足できなかった。なので次期監督には人気のある人を求めた。前述の候補者の中でビリー・マーチンは噴飯ものだが他の3人の可能性は無くはなかった。古葉氏には昨年来、幾度も接触した形跡がある。東京進出を狙う古葉氏にとって願ってもない話だったが、広島の監督を辞した直後でもあり道義的にも受けられる話ではなかった。田淵氏にも確かに交渉している。しかし返事は「ノー」だった。ネット裏での勉強も1年では不足であり、自宅を埼玉・小手指から東京・杉並に移したばかりで経済的にも副業を自由に出来る評論家生活の続行を希望。長嶋氏には接触した形跡はなくマスコミの希望的観測だった。
マスコミ報道が過熱し始めると「人気云々はマスコミさんが騒いでいるだけ。我々は勝てる人を望んでいる」と戸田球団社長が発言し彼らの名前は消えた。和田博美・土井正博両コーチの内部昇格説が台頭してくる中、西武球団内では森氏に一本化しつつあった。森氏に絞る決め手となったのは退団が決まった広岡前監督と堤オーナーが会談した11月13日に堤オーナーが発した「次の監督は広岡野球を継承できる人」という発言。戸田社長・坂井球団代表・根本管理部長が連日協議を重ね「広岡野球を継承・若手育成」の観点から、日頃から森氏の頭脳を活かせないかと考えていた戸田社長のイニシアチブのもと、広岡野球の事実上の推進役だった森氏に決定したのである。
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