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# 857 週間レポート ロッテオリオンズ

2024年08月14日 | 1977 年 



カネやん「投手のカガミや」
3年ぶりの7連勝で一気にパ・リーグの主役に躍り出たロッテ。ナインの表情も明るくやる気に満ちている。14日のクラウンとのダブルヘッダー第2試合で惜しくも敗れ連勝が止まったが、翌15日に同じクラウン戦で八木沢投手が完封勝利。コーチ兼任のベテランが若手のお手本となる投球を見せるあたりに快進撃の秘密が隠されている。本拠地を持たないジプシー生活で、延べにすると日本列島を縦断するほどの距離を移動している。八木沢投手が勝利した日は東京を離れて15日目。連勝を止められ、移動に慣れている筈のロッテナインもさすがに疲れを隠せなくなっていた。ズルズル連敗をしてもおかしくない危機をベテラン投手が救ったのだ。

これで今シーズン二度目の完封勝利を飾った八木沢投手だが前期シーズンは不運がつきまとった。投げるたびに防御率は良くなるのに勝ち星は一向に増えない。何故か八木沢投手が登板するとバックが足を引っ張った。つまらないところで味方のエラーが飛び出し、打線も沈黙したりと黒星ばかり続くという八木沢投手には気の毒な巡り合わせとなった。それでも八木沢投手は「いやいや運が悪かっただけで誰のせいでもない。根気よく投げていれば必ずいい時が来るよ」とベテラン選手らしく味方を責めることなく黙々と投げ続けた。この完封劇をきっかけにツキも変わろうというものだ。

八木沢投手には以前から不思議なツキがついて回っている。高校(作新学院)時代に春のセンバツ大会で優勝投手となるも半年後の夏の大会で作新学院は史上初の春夏連覇を達成したが、八木沢投手は体調を崩しエースとして投げられず悔しい思いをした。かと思えば早稲田大学に進学後はエースとして三度のリーグ優勝を果たすなど東京六大学野球のエースとして君臨した。高校・大学・プロとことごとく優勝を経験した数少ない選手だけに周囲は「今シーズンの不運は前期の不思議な巡り合わせで終わり。もともとツキに恵まれた選手だから後期は勝ち続けるよ」と威勢の良い声をかける。これには八木沢投手もニンマリ。


我が母校
幾つになっても母校の動向は気になるもの。高校野球の夏の甲子園大会が行われている最中はロッテナインもテレビの前に輪を作ってカンカンガクガク。有藤選手、弘田選手は高知商。飯塚選手は宇都宮学園。岩崎選手は津久見高などなど、それぞれの母校に声援を送った。大会が進むにつれ徐々に姿を消す高校が増えると「オイ、お前の学校はまだ残っているか?」と我が事のように心配する様は微笑ましい。母校敗退が決まった選手は「うん、うん、よくやったよ。負けちゃったけど精一杯ガンバッタから励ましてやらなくちゃ」と甲子園出場が決まった時とは違いシンミリしていた。

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