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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 564 珍記録 ①

2019年01月02日 | 1985 年 



阪神の21年ぶり優勝が話題を総ざらいした1985年のプロ野球だが、アレ?と思わせた事件は随分あった。4月6日に開幕したパ・リーグでは西武が6対0とリードしていたのに、あっけなく逆転負けして10年連続開幕戦に白星なし。それでいて直近4年間に三度も優勝だから開幕戦に勝てない西武は珍記録である。記録の手帳が独断と偏見で選んだ今年のプロ野球10大珍記録を披露しよう

開幕戦の石毛と西武のジンクス明暗
パ・リーグはセ・リーグより一足先に4月6日に開幕したが西武の石毛選手は今年も開幕第1打席に安打を放った。プロ1年目の昭和56年4月4日の開幕戦で村田投手(ロッテ)の2球目を中前にプロ初安打。その後の開幕戦でも第1打席に安打を記録している。翌57年は高橋一投手(日ハム)から中前安打、58年は山内孝投手(南海)からこれまた中前安打。59年は山内和投手(南海)から左前安打。そして今年は鈴木啓投手(近鉄)から左越え本塁打と5年連続、しかもいずれも先頭打者で記録更新中。

対照的にチームは開幕戦に弱い。昭和57年は日ハム相手に1回表に5点先取し、3回終了時点で7対0と楽勝ムード。しかしジリジリと反撃されて終わってみれば7対10で負けた。翌58年も南海と対戦して7回裏に一挙4点をあげて6対4と逆転し、今年こそと思われたが8回表に石毛の失策などで同点に追いつかれて結局、引き分け。今年も1回裏に石毛の先頭打者本塁打に続いて井上選手の適時打で2点を追加。4回終了時点で6対0とリードするも7対9の逆転負けを喫した。これで西武は昭和51年以降、1分けを挟んで開幕戦は10年連続で白星なしだ。西武の10年連続と石毛の5年連続記録のどちらが先にストップするのか注目である。


たった1球投げて勝利投手になった男
8月7日の広島対中日戦は投手戦となり延長10回、0対0で引き分けた。大野投手(広島)が168球、牛島投手(中日)が136球と完投したが共に熱投は報われなかった。この逆をいったのが4月25日の近鉄対南海戦で高橋里投手(近鉄)で僅か1球を投げただけで勝ち投手となった。試合は南海が9回表に2点をあげて追いつき、なおも一死一・二塁の場面でナイマン選手(南海)は交代した高橋の初球を打って遊ゴロ併殺打でチェンジ。その裏の攻撃で大石選手(近鉄)が劇的なサヨナラ本塁打を放ち、高橋は勝利投手に。これはプロ野球史上6人目の出来事だがパ・リーグでは昭和38年のミケンズ投手(近鉄)以来、22年ぶりの珍事。ちなみに6月6日の日ハム対西武戦で1対1の同点の9回裏に登板した渡辺投手(西武)は古屋選手(日ハム)に初球を左越えサヨナラ本塁打を浴びて1球で敗戦投手となった。1球敗戦は史上10人目、パ・リーグでは5人目だった。

2日連続して先発してきた投手
ロッテの深沢投手は5月2日の近鉄戦に先発したが4回途中まで投げて5失点で降板した。すると翌3日の同じく近鉄戦に再び先発登板した。今度はまさに捲土重来の6安打・1失点で完投勝利。先発は球場に来てから告げられたそうだが、前夜とは別人の如くの快投は本人曰く「完全な開き直りのお蔭」だそうだ。高校野球や中継ぎ登板ならいざ知らず、プロ野球で2日連続で先発してくる例は滅多にない。過去には西本投手(巨人)が昭和57年5月3日の広島戦で先発し1回に6失点KOされると翌4日のヤクルト戦に先発し1失点で完投勝利した。

深沢と西本は見事に前日の借りを返したが、返り討ちの憂き目に遭うことも。伊藤投手(阪神)は昭和58年6月21日の大洋戦に先発し1回 2/3 で降板し、翌22日も先発したが再び大洋打線の餌食となり2回 1/3 でKO。関根投手(大洋)の場合は更に上をいく。昭和59年10月10日の広島戦はダブルヘッダーが組まれていた。第1試合に先発した関根投手は負けはしたが完投した。すると関根は第2試合にも先発した。実は規定投球回数に到達する為の登板で2回で降板したが失点をしてしまい負け投手に。結果的に同じ日に2敗を喫する珍事を演じてしまった。


プロ入り初打席に本塁打を打った青島
ヤクルトの新人・青島選手は名門社会人チームの東芝の監督の座を約束されていたが、それを捨て退路を絶ってプロ入りを表明したがドラフト会議で指名されることはなかった。失意のどん底にあった青島にヤクルトが救いの手を伸ばした。ドラフト外で獲得したのだ。今季の開幕当初は二軍暮らしだったが5月11日の阪神戦から一軍のベンチ入りを果たし、早速出番が回ってきた。6回裏に大川投手の代打でプロ初打席、工藤投手が投じた2球目をフルスイングすると打球はバックスクリーンを直撃。史上20人目の初打席初本塁打を達成した。華々しいデビューだったがシーズンが終わってみると24試合・40打数・9安打・打率.222 ・1本塁打と寂しい結果だった。初打席初本塁打を記録した過去19人の中に、その1本が生涯唯一の本塁打だった選手が5人(うち2人は現役)もいる。青島が6人目にならないことを祈る。

当たったのに死球にならない
金森選手(西武)が死球を受けた時に発する「ギャオ~」という大声は今やすっかり名物になった。今季も死球数は両リーグトップの15個。だが隠れ死球があった。5月12日の日ハム戦の3回裏、津野投手が投じた3球目は金森の足に確かに当たった。しかし球審の判定は『ボール』だった。野球規則六・〇八(b-2)には「打者が投球を避けないで故意に触れた場合は死球に該当しない」とされている。この時点で早くも5死球でまだ102試合も残していたので17死球のパ・リーグ記録は勿論、日本記録(昭和27年の大洋・岩本義行選手の24個)を更新する可能性もあったが、この一件以降は10個とペースダウンした。



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