
9月の或る休日、筆者の住んでいる街を散歩した。

駅から2キロ半のあたりに残っているタマネギ畑。
20年ほど前はもっと広がっていたが、ロードサイドショップの進出などで、畑がどんどん減っている。

小町川とホリカン川の合流点。
遡上してきたカラフトマスが力尽きていた。

シュルレアリストたちもベンヤミンも都市をぶらぶらと歩き回ったが、いま、地方都市の郊外を歩く人はほとんどいない。
通学の小中高生を除けば、ほとんどの人は自家用車以外には移動することが不可能であると思い込んでいるのではないかと感じられるほどに、歩行者の姿はまばらだ。
筆者の家の近所にもロードサイドショップが多い。
それらの店舗は車での移動にふさわしい間隔で建設されており、歩いてとなりの店に行こうとするとやたらと遠く、疲労感が募る。街歩きの面白さはほとんど感じられない。
この街自体、歩行での移動を念頭において設計されていないところが多すぎる。
車で移動する街と歩くのが普通の街とでは、建物や街路のサイズがそもそも異なる。
或るホームセンターのごときは、道路から店舗が100メートル以上も奥まっている。その間は広大な駐車場なのだ。車にひかれないように駐車場を横断して店舗にたどり着く前に数分。そこで感じる疲れは、単に距離のためだけではない。はじめから、歩いて移動することが想定されていない設計のゆえだ。

比較的早くから開けた住宅街の一角に、上のような商店の跡が見られることがある。
この店が開いていた当時はまだ、歩行しての買物という習慣が残っていたんだろう。
近年開発された筆者の住まいの周辺は、そういう習慣に対応していないのが、日々歩いていて痛感されるのだ。


駅前から1、2キロの地区では古い住宅が放置され、新しい住宅地はスクロール式に、郊外へ、郊外へと伸びていく。
この街ではみなが自動車で移動するから、中心から10分のところなのか、あるいは20分のところかということは、ほとんど問題として意識されない。「都心に近いほど良い」という大都市の通念は通用しないのだ。
かくして、人口規模には不相応な広さの市街地が拡張していくのである。
そちらの街にも、歩いて移動するのにふさわしい地区と、自動車向き。地区がありますよね~。
画像のことをいえば、自分としては、冒頭の花が、妙になまめかしくて、気にいっています。
なるほど、車での移動と歩行での移動という視点うなずけます。