老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

草花手習帖

2016-04-24 10:41:21 | 俳句
   🐢   本堂へ長き藤棚潜り行く

    🐢   藤波や棚に風鈴吊るしある




何年か前、夫の誕生日に東山魁夷の「草花手習帖」をプレゼントした。
  
   

水彩画を習っている夫は絵を描くこと 私は俳句を作ること、二人して下手の横好きである。
時々坂出にある、東山魁夷美術館に行く。そこで、「草花手習帖」を見つけた。
一から、筆の運び方を記している。初心者の夫には持ってこいの本だ。
やさしい色づかいで、私も見ていて厭きない楽しい本である。

       

魁夷の画集を他にも持っていて、北欧を旅した時のエピソードや日本のあちら、こちらの絵の背景の文章も読んでいて感銘を受ける。

この本は真空パックされていて、見本の本の中から選んで買った。
他の本は沢山並べているのにこの本だけは、奥から、出してきた。
表紙の次のページに書かれていた青いインクの文字は、魁夷のサインではないかと思っている。

     

「一本の野の草にも生命が宿っている。」
花や草に向ける優しいまなざしは、俳句にも言えるのではないか。
今朝、この本を開きながら、忘れていた姿勢を取り戻さなくてはならぬと思った。

   

   

      
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

潜水橋

2016-04-23 20:29:55 | 俳句



四国三郎こと吉野川に架る潜水橋。
吉野川には、こんな、形の橋がいくつか架っている。
四国三郎は、坂東太郎と云われる利根川 筑紫次郎こと九州の筑後川と、同じように異名を持つ日本を代表する、川である。
昔は颱風のたびに氾濫を繰り返す川に、水があふれて橋の上を水が越して行く、すなわち潜水する、簡易な橋を架けた。(ちなみに高知県は同じ構造の橋を沈下橋と違った呼び名が付いている。)
橋を架けるには、莫大な費用が必要なことから、幹線道路には立派な橋を架けたが、他には便宜上、洪水が来た時は、橋の上を水が流れてもよいような、橋を架けた。
徳島県の道路事業は、吉野川に架ける橋に莫大な予算を割いたので、道路は日本一、おんぼろな、舗装の出来ていない、砂利の道であった。道路を整備するには予算が足らなかった。
吉野川の河口に架る吉野川橋は、東洋一長い橋と、かっては云われていた。
他の県に行くと、道路が立派だといつも感じていた。

      

今日は道の駅で休んだ時、そこから潜水橋が見える土手に上った。潜水橋を利用する車がひっきりなしに通っている。長い堤防には、ピンクの苜蓿が咲いていた。月並みにいえば、頬を吹く風が心地良かった。
   

   🍒   逆打ちの遍路朝日を負ふて来る

   🍒   ニッキ水ひとりが買えば次々と

   🍒   車止め山藤の花仰ぎけり

   🍒   苜蓿恋に恋した幼き日

   🍒   春うれふ古里に病む兄のをり

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

苦瓜を植えた

2016-04-22 16:42:58 | 俳句
    🐢  いたどりを手折りつ下る八栗山

     

北向きの玄関横の狭い庭に咲いた花水木。

    🍒   玄関の一隅に映ゆ花水木

先日蒔いたルコッラの芽が出て一センチほどになった。
今日は、ゴーヤ 万能ねぎ トマト の野菜の苗。
ペチュニアの苗を植えた。

    🍒   麦藁帽猫にかぶせて遊びけり

ゴーヤは、大きなプランターに植えた。窓辺にプランターを据えて置くと、緑のカーテンになる。毎朝、二十センチくらいに育った、ゴーヤを色んななお料理に使う。ジュースに入れるのが大半で、チャンプルも好きである。苦瓜の苦みが好きである。
夏になれば ルッコラ トマト ミント  サラダに毎日収穫できる。

    🍒   春暑し立ちあがるたび「どつこらしょ」




色んな色のペチュニアも植えたから、ベランダが賑やかになるといいな~。

    🍒   春惜しむ愛犬のゐぬ犬の小屋

お日さまがきつく、草臥れて、椅子の上で昼寝をしてしまった。猫も私の胸の上でちゃかり、いびきをかいて寝ている。重たいので目が覚めた。

    🍒   規則よき猫のいびきや目借時
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

  南無南無~  

2016-04-21 17:21:45 | 俳句

  🐢  思ひ立ち一日遍路犬を連れ   

  

昨日、予約をしていた精進懐石を食べに行った。
某古刹が、人気の精進料理を食べさせてくれると聞いていた。
昨日は方丈に五~六十人が来ていた。
旬彩から始まり、最後に甘ものをいただくまでの時間に二時間かかった。
他のお寺で何度か普茶料理をいただいとことがあるけれど、二時間とは。
一番にとんぶりの入った八寸等々からいただき、これを食べ終えると、少し待たされて次にお凌となる赤米の寿司に、、、、、次、次待たされて、お薄をいただくとたっぷり二時間半。
まるでフランス料理のように、料理はだされるが、食べ終えると少し以上?待たされて説明もなく、次の料理が運ばれてくる。フランス料理だと、材料の説明があったり、どこで捕れたお魚です、お肉は何の肉ですかと、説明もしてくれる、、、が「菜懐石」は結構な会席料理に慣れていない私には、黙って食器を引き上げ、次に説明もなくお皿を並べらてもらってもな~。名前の知らない野菜は、スマホを出して調べる始末。お里が丸見えの品の無い私であった。

       

私達夫婦ともう一方の御夫婦を除くと女性ばかり。きれいに着物を着こなしたグループから有閑マダムのグーループ。毎日予約で満員だそうだ。

弘法大師さまの後ろ姿を見ながら、美しく手入れの行き届いたお庭に来る鳥や蝶々に癒された小半日ではあったが。。。。
私の席からは、お遍路さんが通るのが見える。ご詠歌に混じり、遍路鈴の鳴る音も聞こえてくる。
ここは格のある寺、あたりまえと云えばあたりまえであるけれど、考えさせられたな~。
健康志向で遍路をしている方もいれば、苦しみを背負い、お大師さまに救いをもとめて修行の旅をしている方も。
サロンと化しているこの懐石の店?(そう思えた)
高野山の宿坊に泊まった時の精進料理、あすこの寺とか、あの寺とか色んな機会にいただいた精進料里が甦る。熊本のことが、潜在した意識の中にあって、時に嬌声に近い若い娘さんや婆さまに、日本は広いな、と感じた。平和に難癖をつけては駄目だけれど。
自分だって 極楽とんぼじゃないか。お叱りごもっとも。

人を増やせば、スムースにもっと気持ちよく食事を出して、食事をいただいて、素晴らしいサロンになれるでしょうに。せめてお大師さまの、法話を聞いてもらったり、本堂で手を合わしてもらったり、お寺さまだったら、そのくらいのことことをしたら?余計なお世話ですてさ。

   🍒   をだまきの花ご詠歌の聞こえくる

   🍒   若楓蹲に影ゆれどほし

   🍒   空海の遠まなざしや花は葉に   


お料理のお味は可もなく不可も無し。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春満月トイレに猫の砂つかふ

2016-04-20 10:02:04 | 俳句
     🐈   春満月トイレに猫の砂つかふ   猫髭

猫髭さんは、東北大震災でお母さまが、被害に遭われた。
お母さんを、被災地から救い出した後は彼の大震災との戦いが始まったと思える。
当事者として経験者としての、生の意見である。
揚げた句は、今、被災地で苦労をなさっている方に、ヒントとして欲しい。
経験の無い、傍観者でしかない私など、猫砂を毎日使用しても、気は付かなかった。

しりとり俳句の皆さんも心から被災地を心配して句を詠んでおられる。

   🐈   暗闇のかくも静かや春満月   猫髭
   🐈   今もなほ続く余震や花は葉に   ラスカル
   🐈   火の国の熾りすぎたる花篝   むめこ
   🐈   春の闇ワイン倒れて血のごとく   カツオ
   🐈   能楽の鼓絶えたる春の地震    てまり
   🐈   朧夜の風の音とも余震とも   紅椿
   🐈   余震なほ促さるごと飛花落花    登美子
   🐈   太平の地を揺すぶれる春嵐   杜人
   🐈   八重桜地震警報に脅える日    句念庵
   🐈   突き上げる余震いくども朧の夜   アネモネ
   🐈   地震後の春雨予報痛ましく   小耳
   🐈   おろおろと余震の畑分葱抜く   かげお
   🐈   朧夜やくずれたる大天守閣   菊子
   🐈   春の地震暫し手足の儘ならず   雲母
   🐈   新緑の夜を徹して救助隊   しぐれ
   🐈   新緑の風救援のヘリコプター   らっこ
   🐈   茎立や地震に崩るる蝶の影   樹里
   🐈   祈るとは天仰ぐこと春の地震   涼
   🐈   春雨にくまもん泣くな明日がある  よっちゃん
   🐈   先ず地震の無事を祈りし寺薄暑   山吹
   🐈   湯上がりのニュースに見入る春の地震   ケイ
   🐈   春の果終わりの見えぬ余震かな    霜月

熊本の地震を詠んだ句。
身内のいらっしゃる方、お知り合いのいる方、みなさん心配の日々が続いているであろう。
机上の空疎な取り組みの政府の無策ぶりに、呆れる。
東北、関東の水害から、政府は何を学んでいたのかな。物の溢れる日本で、ミルクの水に苦労する、お母さん。ひとつのおにぎりに二時間も並んで待つ方々。云えばきりが無い。
   


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする