線翔庵日記



おまつり、民謡、三絃、名水、温泉、酒、そして音楽のこと…日々感じたことを綴ります。

24年ぶりの再訪…栃原獅子

2013年10月28日 20時18分51秒 | おまつり
 今年、久しぶりに南佐久郡北相木村栃原の秋祭へ行ってみた。東信地方にのみ伝承される三頭獅子の1つ、栃原獅子を久しぶりに見に行った。

 場所は南佐久郡小海町の中心地から山手へ進む。以前はかなり険しかったイメージだが、最近はトンネルもできて行きやすくなった。

 前回行ったのは平成元年。実に24年ぶりだ。もう、あまり記憶がない。場所さえよく覚えていない。久しぶりに北相木村に行ってみても神社の場所とか、覚えていなかった。ただ高台に神明大神宮があったような気がしたので、集落を上る道を行く。

あった!


 落葉松の中にあったことも、おぼろげながらの記憶はあった。間違いない!


 獅子が演じられるのは、頑なに10月28日に決まっている。時刻は13:00からだ。
少し早めに着いたので拝殿を覗いてみる。

 出番を待つ3つの獅子頭が置かれている。

 また、ここの囃子は笛と締太鼓。そして出入りにこの銅拍子が奏される(地元ではシンバルと呼んでいた!)


 演目は、①神楽、②ぎんぎゃく、③平がかり、④剣がかり、⑤鞠がかり の5演目。峠を越えた小海町の川平獅子との交流があるので、演目は共通する。
 
 獅子は、まず先獅子(男獅子)。


 続いて中獅子(女獅子)。


 そして後獅子(男獅子)。


 この3頭に対して幣負(へいおい)が着く。
 

 通常、三匹獅子は腰に太鼓を着け、バチで叩きながら舞う「太鼓踊り」の型式が多い。信州ではそれが退化して太鼓を打たない地区、更には太鼓さえ着けないところもある。
 ところが栃原はバチを持たず、手で打っていた(軍手らしきものをはめてはいたが)。聞けば、かつてはバチは持っていたという。
 

 囃子は笛も着くのだが、ほとんど口唱歌で進んでいた。川平もそうだが、笛以外に唄がつくのも特徴的。最後の「鞠がかり」では、「一つとせ…」の数え唄や、民謡らしい「ざんざ節」なども入っている。こうした風流系芸能に民謡風の唄がどのように取り入れられたのだろう!?何だか面白い。

 こうして約1時間半ほどの舞が演じられる。終わると、村の人々が集まって会合をする。

 何か議題が上がり、簡単ではあるが話し合いがある。これも24年前と同じだ。こうして、14時30分頃に終了となる。

 そう言えば…ふと思い出した。確か道化があったように思う。面をつけ、腰に瓢箪をぶら下げ、手にはササラを持った役がうろうろしていた。それが今回はいなかった。省略されたのか?聞いてもこなかったが、演じる人々も減ってきているのだろうか。


 久しぶりの獅子見学。南佐久の山中の素朴な獅子、それも日も変えず、頑なに守られてきたかのような芸能にふれ、ほっとしたような気分で、帰路についた。

 

 
コメント
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