干し芋をゆっくりゆっくり噛みしめていると、咀嚼という言葉の意味が分かってくる。
自然の甘みというものはこういうものだ、ということも分かってくる。
サツマイモが土の中にいて、どこでどう工面してきたのか、土の中でこさえた甘味が口の中で柔らかく甘い。
最近はスーパーやコンビニなどで買ってきた菓子類ばかり食べているせいか、干し芋の味がなんとも素朴に感じられる。
素朴も素朴、とにかくサツマイモを茹でて切って干しただけ。
平成の時代はスィーツの時代であったと言える。
流行っては消え、消えては流行るスィーツブームのなかで、よくぞ干し芋は生きのびた。
これからは干し芋の時代だ
こういうものだけを毎日毎日食べていけば、やがて身体も素朴になっていき、我も素朴を取り戻していくことができるかもしれない。