連日、オリンピックでは熱戦が繰り広げられている。どんな競技であれ、真摯に試合に取り組む選手の姿には感動させられる。今回、無観客ということで、放送されている画面が競技(と選手)に集約されているのは個人的には好感が持てる。ほかのことに煩わされることなく競技に集中できるのは、選手もTV 越しに見ている自分も同じだと思う。
勝敗が決したときの気持ち、特にそれが敗者の場合には喉の奥が苦しくなるような、こみ上げてくるものがあるだろう。それは選手もそして選手にインタビューするレポーターもきっと同じだ。
26日、女子柔道57キロ級で銅メダルを獲得した芳田司に、同じ階級でロンドンオリンピックの金メダリスト、松本薫がインタビューした時に、松本が声に詰まって涙を流した場面はまさにそのことを物語っている。インタビューの多くに、選手の気持ちよりも何かを聞き出そうとする卑しさを感じるのに対して松本の言葉は彼女の気持ちそのものをまったく隠そうとしていなかった。
2012年のロンドンオリンピックの際にはロンドンにいたので、それに割合簡単にチケットが入手できたので幾つもの競技を観戦した。その中の一つに2012年7月30日、松本薫が金メダルを獲った瞬間に立ち会ったものがある。入場してきたときの、すべての神経を集中した精悍な、闘争心むき出しの彼女の姿は周囲を圧倒していた。しかし、試合が終わって金メダルを首から下げた彼女の表情は試合前のあの野獣のような表情から、別人のように柔和なものに変わっていた。そしてインタビューする彼女はいまや、オリンピックの敗者の気持ちも分かる、円熟した人間になっていた。
開会式におけるIOC 会長バッハの、欺瞞と傲慢、そして自己陶酔に満ちた極端に冗長なスピーチの不快な記憶が洗い流されていくようだった。
ピンぼけで残念だがロンドンオリンピックでの松本薫の写真をいくつか。
競技場に入場してきた松本
試合後の表彰式で
コロナ五輪を機に商業オリンピックから脱皮できるのでしょうか?
私も、やらなければならないオリンピックなら、無観客でやればと思っていたし、画面がざわざわしなくて気持ちがいいです😁
今回のオリンピックで何かが変わるのは間違いないと思います。商業主義もここまで来たら大きな揺り戻しがあるのでは。変化を期待したいですね。
観客というのか、あるいは応援というのか、最近の五輪ではむしろ耳障り、目障りなものも目立って来ていました。これも商業オリンピックの弊害の一つだと思います。今回無観客で清々しい気分になっているのは自分だけではないと判って心強いです。
ロンドン五輪で印象に残っているのは、パラリンピックに大変力を入れていたことでした。パラリンピックにあれほど光をあてた五輪はそれまでなかったように思いました。