天皇陛下が今日からインドをご訪問されている。政治的にも経済的にも今が日印関係で最も良好な時であり、天皇ご訪問はまさに時機を得ていると言えるだろう。
そのインド、経済の方はまだまだ苦戦が続きそうだ。今年7-9月のGDPの伸び率こそ4.8%と大方の予想を上回る回復ぶりを示したが他の新興国と同様、高インフレと通貨下落による経済の減速に見舞われている。本四半期は前四半期の4.4%からは若干の改善を見たというものの、今年の年率でのGDP成長率は5.3%と見込まれ、年初の計画である6.4%を大幅に下回るものとなる。
鉱工業と製造業での不振に加え、先進国からの投資引き揚げの動きもあって、ルピーの下落、高インフレ(10月の消費者物価は10.1%の上昇)に歯止めがかからない。このため、インド連銀は政策金利を10月には7.75%にまで上げている。この高金利がインド経済に悪影響を与えることは間違いなく、当面、インド経済の急速な回復は期待できそうにない。
一方、日本とはインフラ面などでの協調の余地は大きい。ともすればその複雑な社会制度や、税金、労使問題、またインド人のプライドの高さから中小企業には進出にハードルの高い国とみられがちだが、将来性を考えれば有力な進出候補先であることは疑いのないところだろう。トヨタ自動車など日本の大手製造業の進出ぶりをみれば明らかだ。
問題が多いとはいえ、世界最大の人口を擁する自由主義・民主主義国だ。いずれ日本を抜いてアジア最大の経済国になるのだろう。