明日、クロアチアが28番目のEU加盟国となる。7か国に分裂した旧ユーゴスラビア連邦構成国の中ではスロベニアに続く2番目のEU加盟国で、セルビア他の加盟にはまだ時間がかかる。
年間1000万人が訪れるアドリア海沿岸の都市は息を呑むほどに美しい。これほどに観光地として有名なクロアチアがいまになってEUに加盟出来たとは遅過ぎるような印象もあるが、国全体としては治安の確保や汚職との戦いがまだ道半ばである。7月1日の加盟式典には、多忙を理由にドイツのメルケル首相が欠席するが、ドイツからのメッセージは同国の規律ある財政政策の徹底に尽きる。
依然として財政危機と失業問題、経済問題が重くのしかかっているEUへの加盟には、これまでの新規加盟国に観られたような熱狂的なお祭りムードは影を潜めている。しかし、クロアチアにとってEU加盟は、完璧ではないにしてもほかに選択肢のないことだ。むしろ、今のように問題の多いEUに加盟することで、国民が根拠のない幻想を抱かないで済むという意味では同国にとって良いことなのかもしれない。たしかに5年連続の景気後退と21%の失業率では、祝賀ムードも盛り上がらないだろう。
クロアチアと言えば97年位にロンドンに出張した際、同国の観光のためのPRを請け負った女性と日航機で隣席になったことがある。その時分からすればクロアチアの観光地もさらに整備されているのだろう。まだ内戦が続いていたザグレブを訪れたのはその数年前だった。ホテルの窓から恐る恐る街の様子を覗った記憶がある。