当たり前だと思っていても、それが突然そうでなくなったら大変なことになるものがある。その一つが窓ガラスではないか?窓ガラス一枚がどれだけ雨風を凌いでいてくれているか、その有り難さは普段はなかなか気づかない。
今朝、一階の食堂の窓から見える雪の中にガラスの破片を発見。一瞬、この部屋の窓ガラスが割れたのかと思って確かめてみるとどこにも異常がない。とすれば、二階の窓ガラスが何らかの理由で割れてそれが屋根を伝って落ちてきたに違いない。はたして、西向きのその部屋の窓を見るとガラスが一枚、大きく割れている。張り出した雪庇に押し込まれたのか。内窓があるので、すぐに風が吹き込んだりはしないだろうが、もし天候が荒れたりしたら大事だ。庭仕事用の厚手の手袋をはめて注意深くガラスの破片を取り除いて、枠だけにしてからゆっくり外してみた。
以前、書棚のガラス戸が割れたので、寸法を測って近くのガラス屋に行って同じガラスを買ったことがあった。それと食器棚のガラスにひびが入ったので取り換えた時も同じガラス屋に代わりのガラスを頼んだことがあったのを思い出してそこへ電話をしてみると、窓枠を持って来れるのならすぐに修理する、という返事。すでに枠だけになっているので、1キロほど離れたガラス屋へ。車に窓枠を載せてガラス屋に着くと主人が店の前で待っている。夕方でもあり冷えてきたが作業場は火の気がないから車の中で待っていてくれと。
20分ほどしたら、作業場から主人が出てきて、修理完了した、枠のゴムが劣化していたので新しいものに交換しておいた。この部分はサービスする。料金はいくらかと尋ねると現金で8,000円と。こういう修理の相場は判らないが、これで雨風がしのげると思うと高くないような気がして、領収書ももらわずに支払った。やはりある程度の現金を手許に持っておくことは必要。
ガラス窓は縁が脆いから気を付けてくれと主人に言われた通りそろそろと車を動かして、無事家に持ち帰って何とか入れることに成功した。これで夜に雨や雪が降りだしても安心。思いもかけずに災難に遭って辛うじて乗り切った感じになった。
5年ほど前に台風の後に雨漏りがしたので、近くのトタン屋に修理を頼んだことがあった。トタン屋の助言で傷んだところだけではなく屋根全部を張り替えたたらその後は雨漏りは一切しなくなった。丁寧な仕事だったのだろう。今回のガラス屋も、70歳は越えていると思われる主人が手際の良い修理。近くにこういった、職人のような店があるのは頼もしい限りだ。普段はホームセンター辺りで用が済んでいるが、こういう応急の仕事には小さな店のような融通がきかない。もっともこういった職人とのやり取りや人間関係を煩わしく思うことも無いではないが・・・。
しかし、彼らのような熟練の技を持つ職人がいつまでいるのか。イギリスでは疾うにこういった腕のいい、職人のような人種は途絶えているように思う。実際、素人とほとんど変わりないような水準の修理を平気でする。その技術の低さたるや推して知るべし、何か故障があって修理を頼むといつも失望ばかりさせられていた。日本もいずれはそうなるのかと思うと少し気分が落ち込んでしまいそうだ。
30年前にノルウェイの取引先から贈られたホッキョクグマのガラス像。これは頑丈でガラス窓くらいは突き破ってしまいそうだ。