週刊誌でも新聞でも、年金をテーマにする記事はよく読まれるということになっている。書店に立ち寄ったところでいくつかの記事を読んでみたら、明らかに読者を誤った方向に誘導するようなもので溢れていた。特に悪質なのは、年金収入では生活できない、困窮したら生活保護がある、というものだ。もちろん、やむを得ない理由で生活保護を受けるのは当然としても、年金だけでは生活できなければ、という前提が問題だ。もとより、基礎年金(国民年金)で生活ができることは想定していない。これはあくまで補完的なものであって、老後の生活の基本は自助努力であることは言うまでもない。その証拠に、一部の産油国などは例外として、どの先進国でも公的年金だけで生活できるようにはなっていない。そのことは米国でも、英国でも同じだ。世代間の相互扶助である年金と社会のセーフテイ・ネットとしての生活保護などの税を前提にした社会保障を同列視するようなこのような記事はいつまで氾濫し続けるのだろう。
自分は定期的に会う友人グループをいくつか持っているが、すべてのグループに共通していることがある。それは、年金、介護、持病を話題にしない、ということだ。これらの話題は参加者を思考停止にする。少なくとも、なんら創造的なものをもたらすことはないからだ。