ロイヤルベイビー誕生に沸く英国だが、最新の英蘭銀行のデータによれば7月の住宅融資承認件数は60,624件に達して2008年3月以来最高となり、つれて価格の上昇も急加速して一戸当たりの平均価格は170,514ポンド(2,560万円)となって2008年のリーマンショック以来の高水準となった。まだリーマンショック以前の高値 186,044ポンド(2007年)までは回復していないが、今年の1月と比較しても平均価格は3.5%、金額にして8,000ポンド以上上昇している。
これは今年になって政府が導入した2つの政策、すなわち、住宅価格の20%までを政府が貸し手に対して保証するHelp to Buy制度と、貸し手の銀行や住宅抵当金融会社がより低利で調達ができるようにした Funding for Lending制度により、貸し出し競争の激化と、住宅購入がより容易になったことによる。しかし、この2つの政策は即効性のある住宅需要喚起策であり、結局はバブルを誘発するもので、持続性がないもの。バブルである以上、いずれ破裂し、住宅価格はもとより金融機関における不良債権の発生とそれに伴う金融市場の混乱を招くものとなる。これに対してカナダ中銀から英蘭銀行総裁に就任したマーク・カーニーは、バブルという懸念は承知しているとして、バブル退治が必要な事態になれば然るべく対応するとしている。
土地神話の崩壊によって、土地あるいは住宅バブルと言う言葉はいつの間にか日本では死語になってしまったが、果たしてアベノミクスで土地バブルの再来はあるのだろうか。また、首都圏に限って言えば、もし2020年の五輪が東京で開催されることになれば、アベノミクス以上に土地価格への影響、すなわちバブルは発生するのだろうか。