思いがけずロンドンでは体調を崩し、一時はどうなることかとさえ思ったが、何とか恢復し、予定通り帰国することができた。日頃の慢心と自信過剰が原因だったことは疑いない。この躓きをようやく乗り切って年末を迎えることができたのは本当に幸運。
年初来、父の体の衰えが顕著となり、病院や訪問看護師の世話になることが激増したが、それでも、高齢ではあったが頭脳は明晰だったし、精神的にも乱れることはなかった。まだしばらくは、緩やかな下り坂をたどるのではないかという期待があったが、7月に入って間もなく、まるでろうそくの火が突然の一陣の風によって消されるように、別れの言葉を交わすこともできないまま全くあっけなく他界してしまった。
今年一年は、父の最後を看取った年、ということに尽きる。介護と言い、相続と言い、山の端に沈む夕日を茫然と見つめていたような一年でもあった。来年は気持ちを入れ替えて精一杯生きることにしたい。
人気の少なかった週日のテート美術館で撮った写真。