回顧と展望

思いついたことや趣味の写真などを備忘録風に

春の別れ

2017年05月24日 17時26分08秒 | 日記

北海道の春は遅く、今、庭の藤が見ごろになった。昔から植えてあったのだが、しばらく手入れをしていなかったので、枝が絡み合ったり、隣の松と競合したりして花を咲かせるのを忘れていた時期があった。この数年、藤棚を作り、思い切って枝を落としたりしていたら、昨年から花をつけるようになった。ただ、昨年はつぼみがほころび始めたところで鳥に襲われてしまい、わずかしか残らなかった。それが、今年は藤棚一杯に花をつけた。この花が咲くと、春が終わって夏の始まりとなる。

老いてこそ春の惜しさはまさりけれいまいくたびも逢わじと思へば

橘俊綱

摂関家に生まれながら不遇な一生を終えた俊綱のこの歌は桜の花の散るのにかけて春への惜別をうたったものだが、藤の花を見ていると、そして自分の年齢を考えると、これまでこんな気持ちにはならなかったのだが、今年はこの歌が妙に気にかかってくる。

藤の花で思い出すのは、はるか昔、高校に入学した5月、級友の母親が亡くなってクラスを代表して自宅にお悔やみにあがったこと。焼香の後、その級友の家の満開の藤棚の藤の花の下でうつむいて見送ってくれた青ざめた顔の級友のセーラー服姿が今でも鮮やかに思い出される。

 

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