「ただいま!」
お父さんが帰ってきました。はたらいてつかれているのに、いつも元気いっぱいです。
「どうしたんだ?みんな」
その場のふんいきがおかしいのに気づいたお父さんは、だれにともなくたずねました。
お母さんが、さっきの話をせつめいすると、お父さんはニヤリと笑いました。
「なーんだ、それでか。おい、リューゴ、お前は海がきらいなのか?」
「好きだよ、とても」
「ショーゴは?」
「大好き!」
「それじゃナツミは?」
「いきたい!」
「じゃ問題はないじゃないか。みんな、お母さんといっしょに海へいって楽しんできなさい」
お父さんは、やっぱりニコニコして言いました。
「でも、お父さんがいかないと、つまらない」
「つまらないよ」
「つまらないもん」
子どもたちは声をそろえて言いました。
そこでお父さんは申しわけなさそうに言ったのです。
「お父さん、ほんと言うと、ぜんぜん泳げないんだ。だから海は大きらいなんだ」
お父さんのいがいなことばに、みんなはキョトンとしてしまいました。
「そんなお父さんを、みんなはムリヤリ海へつれていくつもりかい。どうだ?リューゴ」
お父さんにきかれてリューゴは考えこんでしまいました。
「みんなだって、きらいなところへムリヤリつれていかれても楽しくないだろ。だから、お父さんは海へいかないことにしたんだ。こんど山へいくときは、お父さんもいっしょにいくよ。山は大好きだから、そのときは、山のきらいなお母さんが、おるす番だ」
お父さんは、子どもひとりひとりの顔を見ながら、とてもわかりやすく話してくれました。
「これでも、みんなは海へいかないで、お父さんの仕事をてつだうって言うのかい?」
「ウウン、海へいく」
一番下のナツミが言いました。
「ぼくも海へいって泳ぐんだ」
二番目のショーゴも元気に言いました。
「ぼくも海へいってさ、絵日記にかくんだ」
さいごにリューゴが言いました。
お父さんは、やっぱりヒコヒコして、一人一人に大きくうなずいてくれました。
「それじゃ、もう一度きくわよ。今度の日曜日、お母さんと海へ遊びにいきたい人―!」
「ハーイ!」
「ハイ!」
「ハーイ!」
リューゴも、ショーゴも、ナツミも力いっぱい手をあげて返事をしました。
お父さんとお母さんは、顔を見あって、とても楽しそうに笑いました。
「アレ?これ、お父さんでしょ」
アルバムを見ていたリューゴが言いました。
そばにいたお母さんが、ソーッとのぞくと、お父さんの写真がはってありました。それも海水パンツで砂はまに立っているのです。
「お父さん、泳げないのに、こんなカッコしてるよ。だれか悪い人が、お父さんのきらいな海へムルヤリつれていったんだね。かわいそうな、お父さん」
お母さんはクスリと笑ってしまいました。だって、お父さんをムリヤリ(?)海へつれていったのは、お母さんだったからでした。
(おわり)
お父さんが帰ってきました。はたらいてつかれているのに、いつも元気いっぱいです。
「どうしたんだ?みんな」
その場のふんいきがおかしいのに気づいたお父さんは、だれにともなくたずねました。
お母さんが、さっきの話をせつめいすると、お父さんはニヤリと笑いました。
「なーんだ、それでか。おい、リューゴ、お前は海がきらいなのか?」
「好きだよ、とても」
「ショーゴは?」
「大好き!」
「それじゃナツミは?」
「いきたい!」
「じゃ問題はないじゃないか。みんな、お母さんといっしょに海へいって楽しんできなさい」
お父さんは、やっぱりニコニコして言いました。
「でも、お父さんがいかないと、つまらない」
「つまらないよ」
「つまらないもん」
子どもたちは声をそろえて言いました。
そこでお父さんは申しわけなさそうに言ったのです。
「お父さん、ほんと言うと、ぜんぜん泳げないんだ。だから海は大きらいなんだ」
お父さんのいがいなことばに、みんなはキョトンとしてしまいました。
「そんなお父さんを、みんなはムリヤリ海へつれていくつもりかい。どうだ?リューゴ」
お父さんにきかれてリューゴは考えこんでしまいました。
「みんなだって、きらいなところへムリヤリつれていかれても楽しくないだろ。だから、お父さんは海へいかないことにしたんだ。こんど山へいくときは、お父さんもいっしょにいくよ。山は大好きだから、そのときは、山のきらいなお母さんが、おるす番だ」
お父さんは、子どもひとりひとりの顔を見ながら、とてもわかりやすく話してくれました。
「これでも、みんなは海へいかないで、お父さんの仕事をてつだうって言うのかい?」
「ウウン、海へいく」
一番下のナツミが言いました。
「ぼくも海へいって泳ぐんだ」
二番目のショーゴも元気に言いました。
「ぼくも海へいってさ、絵日記にかくんだ」
さいごにリューゴが言いました。
お父さんは、やっぱりヒコヒコして、一人一人に大きくうなずいてくれました。
「それじゃ、もう一度きくわよ。今度の日曜日、お母さんと海へ遊びにいきたい人―!」
「ハーイ!」
「ハイ!」
「ハーイ!」
リューゴも、ショーゴも、ナツミも力いっぱい手をあげて返事をしました。
お父さんとお母さんは、顔を見あって、とても楽しそうに笑いました。
「アレ?これ、お父さんでしょ」
アルバムを見ていたリューゴが言いました。
そばにいたお母さんが、ソーッとのぞくと、お父さんの写真がはってありました。それも海水パンツで砂はまに立っているのです。
「お父さん、泳げないのに、こんなカッコしてるよ。だれか悪い人が、お父さんのきらいな海へムルヤリつれていったんだね。かわいそうな、お父さん」
お母さんはクスリと笑ってしまいました。だって、お父さんをムリヤリ(?)海へつれていったのは、お母さんだったからでした。
(おわり)