「おい。
ここはどうだ。
近いし、
まだ開業して一年になってないぞ」
思わずでかい声が出た。
家から十五分もあれば、
ラクラク行き着ける銭湯だ。
ただし,
入湯税をいれて八百円と少し高めだ。
「いいじゃない、
新しいし、
目と鼻にあるんだから便利やん。
そこに行こ行こ」
娘は大乗り気。
妻も異存はなさそう。
とにかく風呂に入れれば,
文句はないというわけだ。
「上の階は有料の特養施設になってるぞ。
お年寄りが多いな、
これは」
さらに情報を確かめて報告する。
「いいのいいの。
とにかく行ってみよう」
播但線福崎駅の近くだった。
マンション風の、
まだ新しい建物の一階にあった。
受付カウンターでお金を払うと、
男湯と女湯に分かれた。
初めてのところに一人は心細いが、
仕方がない。
暖簾をくぐり,
入ったところが脱衣所。
やけに静かだ。
他に客はいない。
手近な脱衣棚を前に、
そそくさと服を脱いだ。
裸になると、
タオルを腰に巻く。
人影がなくても、
隠すべきものは隠すのがマナーだ。
浴場のガラス戸を開けると、
温かい湯気に迎えられた。
ホッとする。
少し規模が小さい。
浴槽がふたつと標準的な設備は整っている。
やはり人影はない。
貸し切りだ。
この状態では、
八百円でも大変だろう。
たぶん特養有料施設がメインの経営なのだろう。
どちらにしろ貸し切りは嬉しい。
家の風呂に入るようなものだ。
余分な気を使わなくて済む。
湯に身を沈めると、
うっとりと目を閉じた。
「おい。
きょうは風呂行かへんのか?」
翌日の言い出しっぺは私だった。
「一週間やそこら風呂に入らなくても平気なひとが、
どないしたん?
勿体ないから二日に一回で,
ええ思うとったのに」
「あほか。
人間清潔が一番なんやで」
攻守逆転。
妻は口あんぐりと呆れ顔である。
浴場の戸を開けた。
あ?
もうガックリ!
芋の子になるしかない!
きょうは烏の行水だな。
ここはどうだ。
近いし、
まだ開業して一年になってないぞ」
思わずでかい声が出た。
家から十五分もあれば、
ラクラク行き着ける銭湯だ。
ただし,
入湯税をいれて八百円と少し高めだ。
「いいじゃない、
新しいし、
目と鼻にあるんだから便利やん。
そこに行こ行こ」
娘は大乗り気。
妻も異存はなさそう。
とにかく風呂に入れれば,
文句はないというわけだ。
「上の階は有料の特養施設になってるぞ。
お年寄りが多いな、
これは」
さらに情報を確かめて報告する。
「いいのいいの。
とにかく行ってみよう」
播但線福崎駅の近くだった。
マンション風の、
まだ新しい建物の一階にあった。
受付カウンターでお金を払うと、
男湯と女湯に分かれた。
初めてのところに一人は心細いが、
仕方がない。
暖簾をくぐり,
入ったところが脱衣所。
やけに静かだ。
他に客はいない。
手近な脱衣棚を前に、
そそくさと服を脱いだ。
裸になると、
タオルを腰に巻く。
人影がなくても、
隠すべきものは隠すのがマナーだ。
浴場のガラス戸を開けると、
温かい湯気に迎えられた。
ホッとする。
少し規模が小さい。
浴槽がふたつと標準的な設備は整っている。
やはり人影はない。
貸し切りだ。
この状態では、
八百円でも大変だろう。
たぶん特養有料施設がメインの経営なのだろう。
どちらにしろ貸し切りは嬉しい。
家の風呂に入るようなものだ。
余分な気を使わなくて済む。
湯に身を沈めると、
うっとりと目を閉じた。
「おい。
きょうは風呂行かへんのか?」
翌日の言い出しっぺは私だった。
「一週間やそこら風呂に入らなくても平気なひとが、
どないしたん?
勿体ないから二日に一回で,
ええ思うとったのに」
「あほか。
人間清潔が一番なんやで」
攻守逆転。
妻は口あんぐりと呆れ顔である。
浴場の戸を開けた。
あ?
もうガックリ!
芋の子になるしかない!
きょうは烏の行水だな。