「実はな、
お父さんのお父さんが、
一緒に押してくれたんだ」
「おじいちゃんが…
一緒に、
押したんだ」
「そうさ。
リューゴと同じ一年生の頃のお父さんは、
もうイタズラばっかりしてさ、
そんなお父さんが『ゆるぎ岩』を押しても、
揺れないだろうと心配したおじいちゃんが、
お父さんの手を取って、
一緒になって岩を押してくれたんだ」
「へえ」
「そしたらな」
「うん」
「揺れたんだ、
あのでっかい『ゆるぎ岩』が、
ゆらゆらと揺れたんだ!」
お父さんは笑って、
大声を上げました。
「そうか。
おとうさんも……揺れなかったんじゃないか。
おじいちゃんの手助けがなかったら……」
リューゴはホッとしてお父さんを見ると、
お父さんの目とぶつかりました。
次に『ゆるぎ岩』を見ました。
また、お父さんを……、
キョロキョロとリューゴの目は動き続けました。
「よーし!
今度はお父さんと力をあわせて、
一緒に『ゆるぎ岩』を押してみようじゃないか」
「うん!」
リューゴは元気いっぱい返事をしました。
リューゴとお父さんは手をつないで、
『ゆるぎ岩』の前に立ちました。
「リューゴはお父さんよりもいい子だぞ。
だから本当は片手でも大丈夫なのに、
初めてで緊張したんだろ。
うん、
大丈夫、
今度は揺れるさ」
お父さんはリューゴに片目をつぶって合図すると、
大きく頷きました。
しっかりと握り合ったお父さんの手の温かさが、
リューゴに勇気を与えてくれます。
(よーし!)と、
なんでもやれる気持ちになりました。
「リューゴ、
まず『ゆるぎ岩』にお願いしようか?」
「うん。
三回手を叩くんだね」
さっきお父さんがやっていたのを、
ちゃんと見ていたのです。
「よく覚えていたな、
リューゴ。
でもただ手を叩くだけじゃないんだぞ。
心の中で願いを込めるんだ。
ぼくはこれからもきっといい子でいるから、
揺れて下さい!って祈ってごらん」
「うん、
わかったよ」
リューゴは神妙な顔になって、
『ゆるぎ岩』を見つめました。
そして心を込めて、
パンパンと手を叩きました。
お父さんも叩きました。
リューゴは何度も何度も、
胸のうちでお願いしました。
必ず揺れてみせてねと頼んだのです。
「さあ、
やるぞ!」
お父さんがリューゴの肩をポンと叩いて、
合図しました。
リューゴとお父さんは同時に、
『ゆるぎ岩』に手を当てました。
リューゴはチラッとお父さんを見やると、
お父さんもリューゴに目を向けたところでした。
「フフフフフ」
リューゴはとても愉快な気持ちになりました。
「ハハハハハ」
お父さんも楽しくてたまらない風です。
リューゴはいまお父さんと、
ひとつになったのです。
「そーれ!」
「そーら!」
かけごえがひとつになりました。
リューゴは無我夢中で、
手に持てる力を全部込めて押しました。
お父さんも力いっぱい押しています。
その迫力のすごさといったら!
「イチ、ニー、サン!」
お父さんのお父さんが、
一緒に押してくれたんだ」
「おじいちゃんが…
一緒に、
押したんだ」
「そうさ。
リューゴと同じ一年生の頃のお父さんは、
もうイタズラばっかりしてさ、
そんなお父さんが『ゆるぎ岩』を押しても、
揺れないだろうと心配したおじいちゃんが、
お父さんの手を取って、
一緒になって岩を押してくれたんだ」
「へえ」
「そしたらな」
「うん」
「揺れたんだ、
あのでっかい『ゆるぎ岩』が、
ゆらゆらと揺れたんだ!」
お父さんは笑って、
大声を上げました。
「そうか。
おとうさんも……揺れなかったんじゃないか。
おじいちゃんの手助けがなかったら……」
リューゴはホッとしてお父さんを見ると、
お父さんの目とぶつかりました。
次に『ゆるぎ岩』を見ました。
また、お父さんを……、
キョロキョロとリューゴの目は動き続けました。
「よーし!
今度はお父さんと力をあわせて、
一緒に『ゆるぎ岩』を押してみようじゃないか」
「うん!」
リューゴは元気いっぱい返事をしました。
リューゴとお父さんは手をつないで、
『ゆるぎ岩』の前に立ちました。
「リューゴはお父さんよりもいい子だぞ。
だから本当は片手でも大丈夫なのに、
初めてで緊張したんだろ。
うん、
大丈夫、
今度は揺れるさ」
お父さんはリューゴに片目をつぶって合図すると、
大きく頷きました。
しっかりと握り合ったお父さんの手の温かさが、
リューゴに勇気を与えてくれます。
(よーし!)と、
なんでもやれる気持ちになりました。
「リューゴ、
まず『ゆるぎ岩』にお願いしようか?」
「うん。
三回手を叩くんだね」
さっきお父さんがやっていたのを、
ちゃんと見ていたのです。
「よく覚えていたな、
リューゴ。
でもただ手を叩くだけじゃないんだぞ。
心の中で願いを込めるんだ。
ぼくはこれからもきっといい子でいるから、
揺れて下さい!って祈ってごらん」
「うん、
わかったよ」
リューゴは神妙な顔になって、
『ゆるぎ岩』を見つめました。
そして心を込めて、
パンパンと手を叩きました。
お父さんも叩きました。
リューゴは何度も何度も、
胸のうちでお願いしました。
必ず揺れてみせてねと頼んだのです。
「さあ、
やるぞ!」
お父さんがリューゴの肩をポンと叩いて、
合図しました。
リューゴとお父さんは同時に、
『ゆるぎ岩』に手を当てました。
リューゴはチラッとお父さんを見やると、
お父さんもリューゴに目を向けたところでした。
「フフフフフ」
リューゴはとても愉快な気持ちになりました。
「ハハハハハ」
お父さんも楽しくてたまらない風です。
リューゴはいまお父さんと、
ひとつになったのです。
「そーれ!」
「そーら!」
かけごえがひとつになりました。
リューゴは無我夢中で、
手に持てる力を全部込めて押しました。
お父さんも力いっぱい押しています。
その迫力のすごさといったら!
「イチ、ニー、サン!」