こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

せこい思い出

2016年06月23日 00時16分50秒 | 文芸
若い頃人付き合いが苦手で、

自分から声をかけたりなんてまず出来なかった。

受け答えも躊躇しがちで、

うまく話せなかった。

趣味のグループでも影の薄い存在だった。

練習や会合が終わると、

メンバーは喫茶店やファミリーレストランに集った。

それぞれ好みのドリンクや料理を注文するのだが、

私はいつもホットコーヒー。

割り勘で贅沢は禁物だった。

「四百八十円やのに、金多いで」

「二十円ぐらい、構わへん、構わへん」

 メンバー同士の会話を小耳にはさむと、

(二十円は大きいで)と自分に言い聞かせた。

「きょうは僕がおごるわ」メンバーの誰かが言えば遠慮せず、

注文は定食とかセットもの。       

 みんな口には出さなかったが、

(ケチなヤツやなあ)と呆れているのは感じた。

 実は当時実家がかなり貧乏で、

ケチになりたくて、そう振る舞ったのではない。

でも、ハッキリと自分の現状を説明できなくて、

ケチに甘んじるしかなかったのだ。
コメント
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