難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

映画、DVDなどの字幕について経済産業大臣宛要望

2007年05月06日 19時01分11秒 | 生活

経済産業大臣への要望2月28日、全難聴は映画やDVDの字幕付与について、甘利経済産業大臣に要望書を出した。

日本映画の字幕がないことで、多くの難聴者が映画を楽しめないでいることを指摘し、まず聞こえない人に対する字幕のガイドライン作成の要望を掲げ、字幕付与等の経済的助成措置を要望している。3番目に、市販されている映画ソフトへの字幕付与の義務化を要望している。

ラビット 記
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日本映画への字幕付与に関する要望について

時下、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
日頃より、私ども中途失聴・難聴者の福祉向上にご理解ご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
現在、国内各地で上映されている「洋画」の映画には殆ど日本語の字幕がついていますが、「邦画」には特別なものの他多くのものに日本語字幕は付きません。日本人が見るのだから当然と思われるでしょうが、私たち聴覚障害者には字幕の無い邦画は楽しむことが出来ません。また、この度、アメリカ映画「バベル」において、日本のろう者の物語部分がありますが、日本語部分には字幕が無いため、聴覚障害者のストーり一部分を聴覚障害者が理解できないという矛盾に聴覚障害者有志による署名運動が開始され、広がりを見せています。聴覚障害者の生活範囲拡大のために映画は大きな社会学習の情報源であり、健聴者同様、心の癒しでもあります。
私どもは聴覚障害者や関係者が仲間とともに映画を楽しむことができるよう、下記の通り要望致します。



1 日本映画の情報バリアフリーの実現のため、ガイドラインを作成して下さい。
聴覚障害者が日本映画を楽しむためには、音声言葉の文字視覚化が必要です。また、台詞の文字ばかりでなく、電話の音、ドアが開く音、鳥のさえずり、車などの警笛、機器類などの警報音等、画面に現れない「音」の様子を説明する字幕も必要です。さらに、文字の大きさ、色、背景とのバランス、要約の程度、表示時間等、読みやすさ等に配慮した字幕について、統一した規格・規定がありません。こうした聴覚障害者に配慮した映画字幕の規定或いはガイドラインを策定してください。
また作成に際しては、私ども社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会をはじめ、バリアフリーのニーズを抱えた当事者が策定に関われるようにしてください。

2 映画の情報バリアフリー化を援助する、財政支援措置を実施して下さい。
テレビの字幕は1997年、放送事業者に対して当時の郵政省(現・総務省)の作成した指針や予算的な補助があって普及し、今年2007年には字幕付与可能な番組100%に字幕をつけるという目標に向かって急速に字幕付与が進んでいます。聴覚障害を持つ国民や、一部の外国入等の情報バリアの解消に寄与をしています。映画でも、字幕付与等、バリアフリー化を進める財政支援措置を実施して下さい。

3 市販の映画ソフトコンテンツの字幕付与義務づけを実施して下さい。
現在までに日本で制作した映画等の映像ソフトは2006年12月の日本図書館協会調べで、VHSの全タイトルは20,956タイトルで、その内字幕付与は139タイトル(0.66%)、DVDの全タイトルは約14,000タイトルで、その内字幕付与は約1,000タイトル(7.1%)です。DVDで若干増えているものの、こと日本映画映像ソフトの分野では聴覚障害者はその視聴を殆ど無視されているといって過言ではありません。市販される映画ソフトについても、字幕付与の義務付けを実施して下さい。

以上



東京都の要約筆記者派遣事業

2007年05月06日 16時38分10秒 | 要約筆記事業
070503_1623~001.jpg東京都は2007年4月より個人対象の要約筆記者派遣事業は廃止し、区市の要約筆記者派遣事業に切り替えた。

団体派遣も特定の団体への支援となるので、グループ派遣として行うことになっている。

しかし、4月から障害者福祉担当課長、係長が変わり、これまでの私たちへの説明とは打って変わって、団体の名称の場所には派遣出来ない、別の名前に変えて欲しいとか研修なら良いが協会の理事会はだめだとかグループ派遣の場に参加したものの全員の住所を報告せよと態度を急変させた。

これまで団体派遣の実績があるから激変緩和措置として財務局とかけあって予算を残したとか、グループ派遣という名前だが実質団体派遣と変わらない、ただ予算が半分以下になるので、難聴者協会側で「調整」して欲しいと言ってきたことが全て反故にされた。
東京都は、来年度はグループ派遣の予算を残さないと言って憚らない。

東京都は、要約筆記者派遣事業は区市への移行をスムーズにするために区市に説明をすべきだったが、ほとんど何もしなかった。協会が区市に電話を何度もかけてアポを取り、二度も出向いて説明して来た結果、要約筆記事業が区市で始まったのだ。同じ場所への個人派遣が重なれば「全体投影」に切り替える方策も説明して来た。
東京都はこうした苦労を全くしないで、区市の派遣に切り替わったと言う。東京都が何もしないから、区市は団体派遣や地域外派遣をしないとか、あまつさえニーズがないので派遣事業をしないとか言うのだ。今の混乱の責任は全面的に東京都にある。

東京都はこれまで20年以上行って来た団体派遣を団体に対する支援につながるとして、社会参加促進を目的とする10人以上のグループ派遣に名称を変えてしまった。これは自らの施策を否定するものだ。
難聴者が同じ障害を持つ人と出会うからこそ自立が促進されることを理解していない。

地域生活支援事業で個人派遣が中心になっていくことは間違いないが、運用形態として、団体派遣は団体のまま制度を残さないと個人派遣の依頼を個人で出来る人と出来ない人がおり、必ず不公平さが発生する。団体に派遣するが派遣費用の負担は参加者の区市で公平に負担する仕組みを作れば良いのだ。


ラビット 記