難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

「超高齢化社会と難聴」シンポジウム

2007年09月01日 19時17分23秒 | 生活
070901_1528~001.jpg「超高齢化社会と難聴」というシンポジウムがあった。

筑波技術大学大沼直紀学長、慶応大学小川郁教授、プロ野球マスターズリーグコーチ中西太氏、補聴器工業会理事赤生秀一氏の四氏がパネリストでコーディネーターが好本恵氏だった。

映像をはさみながら超高齢化社会における難聴の問題を順々に説き、課題を整理して、説明していた。
大沼先生、小川先生は分かりやすい説明は斯界一のものだ。
中西氏は、周囲の迷惑にならないようにと補聴器をつけたと率直に語っていたが自分の体験の範囲を出ないのはやむを得ないとしても、コーディネーターが補聴器による効果は何か、限界は何かをリードすべきだったろう。もっともそのことはVTRに登場した難聴Wさんと家族がはっきり話していたが。


070901_1450~001.jpg補聴器工業会の赤生氏は、大変失礼ながら難聴者の生活の「要」の補聴器のメーカーとしてのハートというかインパクトが今ひとつ伝わってこなかったのが惜しまれる。

ひとつには話し方がはっきりしない。難聴者の参加者も多かったので、補聴器メーカーの社長ならではのゆっくりはっきりと話して欲しかった。

難聴問題の課題のひとつの「(本人の)心理的躊躇」を取りあげて、メーカーとしても見えにくい補聴器やカラフルな補聴器を販売して努力していると発言されていたが、これは反対ではないだろうか。

難聴者が心理的に躊躇するのはコミュニケーションの齟齬が生じた時に、周囲の理解のないことから間違って聞いた、聞こえなかったことを恥ずかしく感じるからで、補聴器が地味な色のためではない。
また、カラーの補聴器を買うから気持ちが晴れるのではなく、周囲の理解があって気持ちが明るくなってカラフルな補聴器を購入することはあるだろう。

補聴器業界は、耳鼻科医師や難聴者団体と協力して、社会の理解のために啓発に力を集中すべきだと思う。

主催者のNHKエデュケーショナルには難聴問題を取りあげて頂いたことは感謝したい。
しかし、会場にいる難聴者にはパネリストの声はVTRの音量に比べ聞きにくかった。「字幕」はあったが補聴援助システムを用意しておくなり、会場のあちこちに補助スピーカーを置くなりの対策が必要だっただろう。

良くも悪くも我が国の難聴の理解度のレベルが伺われるシンポジウムだった。


ラビット 記



防災の日の帰宅訓練 難聴者が歩くと

2007年09月01日 11時15分46秒 | 生活
070901_1111~001.jpg勤務先が東京都の呼びかけに応じて、帰宅訓練を行う。実際には帰宅ではなく、勤務先から都内のもう一つの本社に徒歩で移動する。距離が30kmくらいあるので、9:00出発だ。
こちらは、自宅から勤務先に向けて歩くことにした。11:00から歩き始めると何時に着くか?
デイパックの中には、非常食代わりのおにぎり、水野代わりの牛乳の入ったポット。筆談ボード。タオル1本。着替えの下着。

「私は耳が不自由です」の耳マークフォルダーも下げて、訓練の開始。
歩き始めてすぐ災害時の給水所のあるところを発見。近所ながら知らなかった。しかし、急坂の途中にある。給水を受けるのにここまであるのは高齢者では無理だ。

歩き始めると、車が後方から来るのが分からないのが不安。車道ではなく、狭い道や歩道を歩くことにする。
一駅の区間を歩くのに30分かかった。終電はこの駅だから、時々歩いて帰宅すると30分かかっていたことを思い出した。
このペースだと3時間以上かかることになる。もう少し早く出ても良かったが仕方がない。おまけに雨が降って来た。

午後のシンポジウムにも参加しないといけないので、近くの川向こうの駅までを途中の目標に変更し、会社にも連絡する。

歩くと汗が出る。補聴器に水が入ると故障の元になる。汗防止のカバーを付けて歩いたが、夏期以外は普段は持っていないだろう。電池も切れた時のために予備を持っているが非常時に持ち出すのを忘れないようにしないといけない。

PHSも持って歩いたが当然、非常時は通じにくいだろうし電池が切れたら終わりだ。電力を長引かせるために歩いている時は電源を切っておいた方が良いかも知れない。災害伝言ダイヤルの方法を覚えていないままでかけたのも反省事項だ。
筆談ボードは使わなかったが、途中で写真を撮ってもらうのにこれで頼めば良かったかも知れない。知らない人に話したり、依頼するのにすぐ書けるものが必要だ。雨が降っていたので、紙では不都合だ。

途中の駅に着いたので、駅名の入った写真を撮ってもらい、会社に送って報告とした。家から1時間半。距離10キロくらい。帰宅ルートとおよその時間が確認できたので良しとしよう。

ラビット 記