(釈迦入滅の地クシナガルと沙羅双樹)
平家物語の出だし、
平家物語の出だし、
「―――沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす...」
は有名であるが、
この沙羅双樹というのはシャラの木をさし、夏ツバキの別名。
夏の時期に、沢山の美しい白い花をつけ、見事に咲いたかと思うと、
夏の時期に、沢山の美しい白い花をつけ、見事に咲いたかと思うと、
椿の花のようにぽとりと、あっけなく花が落ちる。
沢山咲いて、またたく間に沢山落ちていくので、
沢山咲いて、またたく間に沢山落ちていくので、
木の根元に雪が積もったように白く見える。
この様子をさして、
「盛者必衰の理をあらわす」と述べたに違いない。
なるほど、「おごれるもの久しからず」である。
このシャラの木が二本、
釈迦が入滅した場所の両側に植わっていたという。
そのためであろう、
日本では寺院の本堂の入り口の左右に植えられていることが多い。
つまり本堂は極楽浄土を意味し、
その入り口には沙羅双樹が植えられているということになる。
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(ニルバーナ寺院)
最近、会社の正門前の左右に、
このシャラの木が植えられているのを見かけるが、
(神聖なる場所に入る)を意味しているのであろうか?
さて、副題に(釈迦入滅の地)と書いた。
この文字をはじめて見たとき、
「入滅」とはどんな意味なのか疑問を持ったが、
そのままにしておいた所、
今度は、「釈迦が涅槃に入った...」
という文章に出会った。
という文章に出会った。
「入滅」も「涅槃に入る」も同じ意味と思った。
普通の言葉に直せば、
「死亡」の難しい表現であろう事は推測できたが、
どうもスッキリしない。
そこで今回初めて辞書を引き、はっきりさせることにした。
広辞苑(第四版)によれば、
【涅槃=(梵語)ニルヴァーナ
=吹き消すこと、消滅の意。
・煩悩を断じて絶対自由となった状態。
・仏教における悟り。
・入滅。
・ブッダまたは聖者の死。
「入滅」=涅槃に入ること。
釈尊の死。
広くは高僧の死をいう。】とある。
つまり涅槃も入滅も同じ意味を持っているということが判った。
普通の人間なら「死亡」ということである。
クシナガルの地に釈迦が死んだ場所があり、
そこをニルヴァーナ寺院という。
全部日本語で書けば「涅槃堂」ということだ。
全部日本語で書けば「涅槃堂」ということだ。
この堂の中に巨大な釈迦の涅槃像が横たわっており、
中では読経の見事な低音の声が響いていた。
音を表現できないのが残念である。
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(横たわる釈尊像)
カメラを向ければ、10ルピーといわれるが、
お布施であるから出しても出さなくても良いとは、
ヒンズー教の信者であるガイドさんの話。
その寺院の裏手に、釈迦の遺骨を納めたストゥーパ(卒塔婆)があり、
左右に沙羅の木があったとされるが、今は違う木が植えられている。
(注:ストゥーパは、記念塔、供養塔、仏舎利塔、墓を意味する)
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(写真が下手で分かり難いですが、中央が釈迦の墓)
両側に沙羅双樹の木が立っていた所に今は違う木が植えてある。
ところで、釈迦の命日は何時だったのか気になったので、
ガイドさんに聞いてみた。
「日本では何時になっているのですか?」
と逆に質問を受けた。
実はこのガイドさん、最初に紹介されたとき、
仏教学をデリー大学で学んだ仏教学者と紹介されていた。
「インドでは死亡時期については不明とされています。」という。
それが正しいのかもしれない。
ボクが知っている範囲では、
西行法師が詠んだ有名な歌に、
・ねがわくば 花のもとにて 春死なむ
そのきさらぎの もちづきのころ
というのがあって、
その意味は
その意味は
「どうせ死ぬのなら春の桜が盛りの旧暦2月15日ころに死にたいものだ、
釈迦様みたいに」といっているから、
「日本では2月15日ということになっています」と答えたら、
「ああそうですか」と言ったいた。
本当のところは、果たして何時なのであろうか?
また疑問が増えてしまった。
やはり勉強は死ぬまでついて回るらしい。