(釈迦生誕地のルンビニ)
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(釈迦生誕の地 ネパールのルンビニ)
毎年春になると四月八日の花祭りの時期が来る。
子供のころ、悪がきが少しは精神修養になるだろうと
通わされた日曜学校でも、
このときはお釈迦様の像の足元に花飾りでびっしり埋めて、
頭からお茶をかけるお祝いをした。
黄金のお釈迦様像は、片方の手を天に向け、
黄金のお釈迦様像は、片方の手を天に向け、
一方の手で地面を指している。
釈迦生誕後すぐ歩き「天上天下唯我独尊」と言ったといわれる。
その姿である。
その姿である。
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(生まれた直後の像)
そのお釈迦様が生まれた地が、
ネパールのルンビニというところである。
訪問の順序が逆であるが、
訪問の順序が逆であるが、
この旅の最後の訪問地が釈迦の生誕地となった。
インド国境からネパールに入るのであるが、
街の雰囲気ががらりと変わる。
インドでは沢山の人がうようよしており、
生活のために右往左往して、落ち着きがなかったが、
国境を越えてネパールに入ると、人の数が格段に減り、
人々も落ち着いてゆったりした行動をとっているように思えた。
史跡は大きな建物で覆われ、
室内に入ると日干し煉瓦の土台跡が見渡され、
その一角に生まれてすぐ歩いたという、
子供の足跡がガラス箱に囲まれて展示されていた。
この場所にお釈迦様が立ち、
天と地を指差して「天上天下唯我独尊」といったというが、
にわかには信じられない。
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(生誕直後の足跡)
「天上天下唯我独尊」というと、
その解釈をこの何十年もの間、
「この世で我のみが、もっとも尊い人間だ」
という意味だと思っていた。
しかし、仏教学者のガイドさんの解説に寄れば、
「この世で、われわれ人間はそれぞれお互いに、
かけがえのない尊い存在である」と解釈されると言う。
人間の尊厳を表したものである。
考えてみれば、お釈迦様として後世に残る教えを説いた人が、
「俺が一番偉い」なんて云う訳が無い。
ガイドさんの言うとおりだと思った。
外に出ると空は晴れ渡り、
東のはるかかなたには、世界の屋根といわれるヒマラヤ山脈が、
冷厳な白い姿を見せている。
釈迦が生まれた建物の回りに聳える巨大な菩提樹の葉陰で、
釈迦が生まれた建物の回りに聳える巨大な菩提樹の葉陰で、
修行僧が瞑目し、赤い僧服を身にまとい、
一心に読経していたのがとても印象的であった。
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(巨大な菩提樹)