ここ数日前から台湾系や香港系のyoutubeで「滴滴出行」に対して中国政府が審査を始めたと報じていました。現地人が会話のスピードで話すのを欄外に出る漢文のテロップでは中身を追い切れませんでした。昨日「遠見快評」の唐靖遠氏の日本語版動画を見て全体像を理解する事が出来ました。
7月1日 中国共産党は創立100周年慶祝の大集会を、天安門広場と国家スタジアム〈旧五輪村)で挙行しました。天安門の壁の上に誰が習近平主席と並ぶか噂が有りました。江沢民、朱鎔基、温家宝と胡錦涛の4氏の参加が取りざたされていましたが、参加したのは胡錦涛元主席のみで上海系の3氏は不参加でした。
向かって右が胡錦涛氏です。覇気が有りません。(ネットより)
江沢民は94歳でしたから健康上の理由も有ったかも知れません。
壇上習近平国家主席(共産党総書記) が演説し、(自分こそが)毛沢東の後継で有る事と台湾の武力統一を図る事を明示と明言しました。
そしてその経済面での取り組みが6月30日にNY証券取引所で上場された「滴滴出行」と呼ぶ配車アプリに対する中国当局の審査です。当初は「滴滴」はこれまでの買収や合弁で「独占禁止法違反」が有ると指摘していましたが、「滴滴」は抵抗しついに「国家安全法」や「サイバーセキュリティ」を持ち出し、事実上米国での上場を止めたようです。集めた金が288億ドル(ざっと3兆1千億円)でパーになる可能性が大です。これに良く似た例が昨年秋11月にジャック・マー氏に率いられたANT Group(あり集団)のANT ファイナンシャルによるIPO(新規株式公開)の延期に始まる370億ドル(ざっと4兆円)がパーになった事件を思い出します。習政権では「米国の市場でニラを刈る(金儲けをする)」事を許さないとの意思表示と唐靖遠氏は解説しています。その側面では上海系政商(そのバックの江沢民)を切る。革命第2世代の太子党でも習政権に従わないものは干すとの意思表示でもあります。
一方で習主席は「小康社会」実現したとぶち上げましたが、その陰で数兆円に上る金が消えている訳です。また台湾の武力による統一も問題が起きそうに見えます。天安門で右手を高く上げたほど内容は充実しているとも見えません。
より矛盾が少ない方が長続きするわけですから菅首相にも頑張って欲しい所です。
写真:滴滴のスマホ上の画像
朝日新聞:
中国でインターネットの規制を担当する国家インターネット情報弁公室は2日、配車アプリ最大手の滴滴出行(ディディチューシン)について、国家安全上の問題があるとして審査を始めたと発表した。審査中は新規の利用者の登録を停止するよう命じた。ネット通販最大手のアリババ集団への処分をきっかけにした、習近平(シーチンピン)政権によるIT企業への統制強化の一環とみられる。
国家の安全を理由にした統制の方針を定める「国家安全法」や、ネット空間の規制を強める「サイバーセキュリティー法」に基づいた審査で、「データの安全に対するリスクを防止し、国家の安全を守り、公共の利益を保証するため」だと説明している。
法令違反の有無など、審査の詳しい内容については明らかになっていない。滴滴は同日、「審査に積極的に協力する」との声明を出した。滴滴は6月30日に米ニューヨーク証券取引所に上場したばかりだった。
中国の規制当局は今年4月、アリババに独占禁止法違反で巨額の罰金を科したほか、他の中国のプラットフォーマーにも審査を拡大。各社に政府の指導を全面的に受け入れるよう誓約書を書かせるなど、習政権は巨大化したIT企業への圧力を強めている。(北京=西山明宏)
(引用終わり)