19日投開票の国民議会(下院)選挙の決選投票でマクロン大統領の率いる中道の与党連合は245議席にとどまり、安定多数(289議席)を大きく下回りました。大統領が掲げる経済改革推進には、他党との連携が必要となると報じられています。連立政権を組むか法案ごとに野党と協議をする少数与党かの選択を迫られるそうです。フランスの政界の体質など知る由も有りませんが、ここ5年1強と言われたマクロン政権の政策に変更が必要の様です。
ロシアのウクライナ侵攻に際しても、マクロン政権は「(少なくとも)米国や英国の如く、ウクライナの望む兵器の供給は即叶える」様な姿勢とは一線を引いて見えました。一部ではロシア寄りでないか?との声も有った様です。
それとメルケル前首相に替わったシュルツ首相も、そもそもエネルギー政策でロシア寄りだったメルケル政権の政策を大きく変えるのにてんやわんやの様で、ウクライナ寄りの武器援助には腰が引けて見えます。EU側のジョンソン首相も「新型コロナ対策に不十分な政権閣僚の姿勢を問われ」辛うじて党首の座を守りました。頼みのバイデン大統領も国内のインフレ問題で国民の不満が募り「中間選挙」での共和党の追い上げと併せウクライナにほいほいと武器援助もどうなのかなー?と懸念されます。まあ、ロシアのプーチン大統領と我慢比べなのでしょうかね?? 国内でも安倍一強と言われて何年になるでしょうか? 具体性のない「骨太の方針」は「骨粗しょう症」にしか見えませんが、賃上げにも物価抑制にも具体策を欠いて7月10日の参院選を迎えます。できれば資本主義陣営の改革がロシアのそれを上回って欲しいのですが事態は複雑です。
写真:(恐らく)投票所におけるマクロン大統領
ロイター:
[パリ 20日 ロイター] - 19日のフランス国民議会(下院、577議席)選挙の決選投票でマクロン大統領率いる中道の与党連合は245議席の獲得にとどまり、安定過半数(289議席)を大きく割り込んだ。大統領が掲げる経済改革推進には、他党との連携が必要となる。
マクロン大統領は連立政権か法案ごとに野党と協議する少数与党政権かの選択を迫られる。いずれの合意もなければフランス経済の混乱は避けられない。
オリビア・グレゴワール政府報道官はラジオで「複雑になるだろう。われわれは議会の穏健派に連携を呼びかける」と述べた。
選挙の最終集計結果によると、急進左派のメランション氏率いる左派連合「人民環境社会新連合」(NUPES)は131議席で野党最大勢力となった。マリーヌ・ルペン氏率いる極右「国民連合(RN)」は89議席、保守派の共和党は61議席を獲得した。
バークレイズのフィリップ・ギュダン氏は「このように分裂した議会は政治の膠着につながる可能性が高く、改革推進は大幅に遅れるだろう」と指摘。「欧州におけるフランスの地位が低下し、既に弱い財政のリスクになる可能性がある」と述べた。
マクロン大統領に近い関係筋によると、同氏は新議会で会派を形成できる全ての党を招いて21─22日に協議を行う見通し。
急進左派や極右の有力者からは、ボルヌ首相の退陣を求める声も上がっている。
グレゴワール報道官は、マクロン大統領が近く内閣改造を行うと述べた。
大統領が共和党との連立を模索するか、もしくは少数与党政権を選ぶかが焦点の1つとなる。
共和党のジャコブ党首は野党にとどまる考えを示し、この立場は「ほぼ全員一致」としている。ただ、一部の有力議員は政権と協力してキングメーカーになるべきとの見方を示唆している。
与党連合と共和党は退職年齢引き上げや原子力への支持など経済政策の相性が良く、両勢力の議席を合わせれば過半数を上回る。