安全問題研究会(旧・人生チャレンジ20000km)~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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我が家の危機管理~パスポート取得、そして福島県の危機的現状

2011-07-28 22:20:19 | 原発問題/一般
7月早々にパスポートを申請し、25日に取得した。すでに私のパスポートは3年前に期限切れ失効しており、再申請である。

別に近々海外に行く計画があるわけではないのだが、セシウム汚染牛問題が白河市産の稲わらから始まったことからもわかるように、ここは現在も南相馬市より高い放射線量が観測されるほどの厳しい汚染の中にある。にもかかわらず、福島市や郡山市と比べると2分の1~3分の1の放射線量であるせいか危機感がきわめて希薄である。むしろ、危機感が希薄であることこそが最大の危機と言っていい。

我が家は福島原発からわずか80kmしか離れていない。もし、たとえば福島原発4号機が余震で倒壊、大量の放射能飛散などという事態になったら、少なくともここは絶対に安泰ではない。仕事も何もかも捨てて緊急避難しなければならない事態に直ちに直面するだろう。そんな非常時に、パスポートがないため海外脱出できず急性被曝で死亡するなどという事態は絶対に避けねばならない。今の私たちにとって、パスポートを持っておくことは重要な危機管理のひとつである。そういう意味でのパスポート取得なので、使う機会がなく終わるのが一番いいと思っている。

ちなみに当ブログは福島市は全市避難が必要だと思っている。6月11日、降りしきる雨の中を福島市に行った際、不意にさしていた傘が傾き、傘の上に溜まっていた雨水が顔の上に落ちるとわずかだがピリッと皮膚に痛みを感じた。このとき、雨に濡れて皮膚が痛むなんて尋常ではないと思ったし、この放射能汚染はもはや人間の住めるレベルではないと確信した。

福島県の地図で第一原発から北西方向をたどっていくと、浪江町、葛尾村から飯舘村、川俣町、伊達市を経て福島市に至る。このうち浪江町、葛尾村は住民全員が避難、飯舘村も計画的避難区域となり全村避難に追い込まれた。川俣町も山木屋地区など一部が計画的避難区域となり、役場も閉鎖されている。さらに、伊達市でも局所的に放射線量が高いホットスポットを対象に特定避難勧奨地点が設定され、避難が呼びかけられているのが現在の福島県の情勢である。

特定避難勧奨地点となっている伊達市の一部地区は、福島原発から50km近く離れている。ここまで避難対象が拡大したことに当ブログは強い衝撃を受けた。ここから後10km北西に行けば、そこは福島市となる。このように考えるだけでも、福島市がいかに危険かおわかりいただけるだろう。

福島県発表の各地の放射線量を見る限り、福島市と郡山市の汚染度に大きな違いはないように見える。しかし、この汚染地図を見ると、福島市は赤、朱色に次ぐ3番目の汚染を示すオレンジ色の区域であるのに対し、郡山市はそれより下の薄いオレンジ色の区域になる。福島市のほうが汚染度が高いことははっきりしている。

このような結果になった原因について、当ブログは放射線の専門家でないから確定的なことは言えないが、それを推定する手がかりはある。NHKホームページで公表されている原発事故以降の各地の放射線量の推移を表す折れ線グラフを見ると、福島市は3月15日に25μSv/hという凄まじい数値が記録されている。これに対して、郡山市は3月15日の最高値でも8μSv/hを少し上回る程度、当ブログ管理人が住む白河では8μSv/hを少し下回る程度の放射線量である。結果的に、このときの放射線量の差がそれ以降の汚染度を決定づけたと言えそうである。

ちなみに、原発事故直後、南相馬市いわき市でも20μSv/hを超える激しい大気中放射線量が観測され、北茨城市でも最高で16μSv/hという高い放射線量を観測している。しかし、これらの地域では放射線量の高い時期に雨や雪が降らなかったこともあり、その後急速に放射線量が低下、現在は0.5μSv/hを下回る水準で推移している。これに対し、福島市だけは、25μSv/hを記録した後も放射線量が余り下がらず、現在もなお1.2~1.4μSv/hという高い放射線量を観測し続けている。

当ブログが何を主張したいか、既にお気付きの読者もいらっしゃるだろう。要するに、いまだに行政から避難が呼びかけられていない地域のうち最も危険な状態にあるのは福島市だということである。福島市も全市避難を真剣に考えなければならない段階に来ている。それは、敗戦の時でさえ経験しなかった、近代日本始まって以来初めての「県庁所在地放棄」を意味するが、現在の放射線量、深刻な汚染度、そして福島原発からの放射能漏れに収束の見通しが立たないことを考えるならやむを得ないと言えよう。国策として始まった原発の事故である以上、県庁所在地の全市避難は国家プロジェクトとして実行されなければならないと当ブログは考える。

こうしてみると、結果的には、事故直後の3月下旬の段階で福島第一原発から80km圏内に住む自国民に退避を勧告した米国政府の判断が正しかったことになる。しかし、考えてみればこれは少しもおかしなことではない。当ブログ管理人が市民団体「チェルノブイリのかけはし」の支援者を通じて入手した資料によれば、チェルノブイリ原発から南東に約70km離れたウクライナ共和国のナロジチでは、事故から21年後の2007年の時点でもなお、肉からは10000Bq/kg、野生のキノコからは60000Bq/kgを超える放射性物質が検出されている。

大変残念なことだが、福島市の放射能汚染が1~2年で収束するとは全く思えない。むしろ福島市はナロジチと同じ未来に向かってまっしぐらに進んでいるといえる。もはや議論をしているときではない。一刻も早く避難させるべきだ。

このブログを読んでいる人たちの中で避難に支障がない人、避難の準備が整った人から避難をすべきだと私は思う。あなたの最も大切な人、そして何よりもあなた自身の命と健康を守りたいなら、決断の時である。

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