安全問題研究会(旧・人生チャレンジ20000km)~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
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国は今こそ貨物列車迂回対策を!

M7級首都圏直下型地震「4年以内に70%」に思う

2012-02-11 11:47:15 | 気象・地震
政府地震調査委、首都直下地震の確率「30年以内に70%」の評価に変わりないとする見解(フジテレビ)

1月23日、東大地震研による「M7級の首都圏直下型地震が4年以内に70%」との試算を読売が報じて以降、日本国内はちょっとした混乱に陥っているようだ。

当ブログが地震の解説記事をひとつの重要なコンテンツにしているためか、最近、「この予測は本当なのか」という問い合わせを、主に首都圏在住の人から何件かいただいた。きょうはこれに少し答えてみたい。

結論から言えば、この予測が本当なのかと聞かれても、「わからない」としか答えようがない。大地震の確率が1%で明日来ることもあるし、逆に99%でも50年先まで来ないこともある。はっきり言ってしまえば、地震の発生予測の精度は星占いレベルだし、そういう認識を持っていただきたいと思う(確実に当たると言えない反面、確実に外れるとも断言できない)。

確実に地震の発生時期や場所を予測できる技術があったら、私自身がサラリーマンなど辞めて地震予測を本業にする。地震国・日本では地震が社会に与える影響が大きいので、それが事前に予測できる技術がある場合、ビジネスにすればサラリーマンなどよりよほど儲かると思う。

この東大のセンセーショナルな予測はあくまで可能性のひとつに過ぎない。にもかかわらず、地震そのものよりも発表が引き起こすパニックを恐れるような保守的な組織である東大がなぜこの時期(発表自体は昨年9月だが)に、こんなセンセーショナルな予測を公表したのかということが大きな謎だ。

東大というのは日本国民が思っている以上に政治的な組織である。みずからのネームバリューが引き起こす影響も自覚しており、その上で意思決定をしている。ここからは私の想像だが、おそらく東大は、事ここに至ってもなお地震への備えをしようとしない首都圏の個人や企業に深刻な危機感を持ち、あえてこのような発表をしたのではないだろうか。

当ブログの過去ログに記載したとおり、直下型地震に備えた本社機能の分散先が同じ東京23区内、地震発生時の措置は「ただちに出社できる社員を本社に招集する」。交通機関も止まり、道路も渋滞で動かなくなるのに、社員は「頑張れば集められる」という認識しか持っていない。そんな企業が首都圏にはまだたくさんある。「みんなで集まり、群れるのが危機管理」とはおめでたい限りだ。3.11を経験したこの期に及んでも、状況はそれほど変わっていないだろう。

今回の報道とその後の一連の混乱を見ていて私が不思議に思うのは、「いざというときの備え」をするのがなぜみんなここまで嫌なのか、ということである。日頃からろくに準備もせず、星占い程度の精度しかない地震予測にここまですがり、当たらなかったら袋だたきにするというのはどう見ても普通ではないし、3.11後の状況を見れば備えておかなければ生き残れないと考えるのが通常の人間の意識だろう。豊かな生活を捨てたくないのか、遊びなど楽しいことを優先したいのか、疲れていてそんなことまで考えていられないのか、あるいは単に面倒なので「近々自然災害が来そうだ」とわかった段階で準備したいのか。

天気予報でさえ的中率は70%程度。長期予報(2~3ヶ月予報)に至っては、気象庁はここ数年はろくに的中させたことがない。そんな状況なのに数年先、ましてや数十年先のことなんて予測できるはずもない。だとしたら、せめて我々にできることはその時が明日来ても慌てずに済むよう、備えておくことくらいである。

その程度の備えでさえ「面倒くさい。やりたくない。それより地震がいつ来るか教えてほしい」と思っている人の面倒まで当ブログは見きれないし見る必要もない。残念ながら「勝手にしてください」と申し上げる他はない。

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