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信楽高原鉄道列車事故から24年

2015-05-16 20:39:09 | 鉄道・公共交通/安全問題
遺族会代表のなり手なく、事故の風化懸念 信楽高原鉄道列車事故から24年(産経)

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 死者42人を出した信楽高原鉄道とJR西日本の列車衝突事故から丸24年を迎えた14日、滋賀県甲賀市信楽町黄瀬の事故現場近くでは今年も追悼法要が営まれたが、遺族があいさつに立つ姿はみられなかった。

 遺族会の代表者が不在のためで、世話人代表を長年務めた吉崎俊三さん(81)は事故の風化を懸念しつつ、「遺族が参列しなくなっても、鉄道事業者は法要を続けてほしい」と話していた。

 健康面などを理由に、昨年の法要を最後に遺族会の世話人代表を退いた吉崎さん。「代表を務めていた頃は、事故調査委員会や鉄道事業者との対応などで忙しさに気を取られていた。辞めてからは、事故で妻がいなくなったつらさを改めて感じる」とこぼした。

 今年の法要は参列のみにとどめ、法要でのあいさつなど表には立たないようにしていた。それでも、詰めかけた報道陣から思いを尋ねられ、遺族会の代表者の引き受け手がいないことや、事故を語る遺族がいなくなることへの危機感を訴えた。

 今回参列した遺族は11人だったが、吉崎さんを含めて高齢者ばかり。吉崎さんは以前、遺族の子供や孫の世代にも参列を呼びかけたが、応じる遺族はなかった。「わざわざここへ来なくても、地元で供養できるのだろう。だが、この事故現場へ来てこそ、事故の悲惨さを認識できるのに」と話す。

 こうした状況から、吉崎さんは、遺族の参列がなくても法要を継続するよう、同鉄道やJR西に要請。両社とも「事故を二度と起こさないという誓いのため、続けていく」と回答している。

 吉崎さんも、体が動く間は参列を続ける考えで、「何としても事故を風化させたくない」との思いを強くしている。
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信楽高原鉄道事故:列車衝突24年 「事故なく走り続けて」 甲賀で追悼法要、遺族ら安全へ誓い新た(毎日)

 42人が死亡したJR西日本と信楽高原鉄道(SKR)の列車衝突事故から14日で24年。甲賀市の事故現場近くの慰霊碑前では追悼法要が開かれ、約120人が安全への誓いを新たにした。【村瀬優子、竹下理子】

 法要に参列した事故の遺族は6家族11人。妻を亡くした吉崎俊三さん(81)=兵庫県宝塚市=は、SKRが昨年11月に台風被害から1年2カ月ぶりに復旧したことを受け、「事故のない安全な鉄道として走り続けてほしい」と話した。吉崎さんは事故の遺族らでつくる「鉄道安全推進会議(TASK)」の会長を昨年引退しており、「事故があってから、がむしゃらに活動してきて、気が紛れていた。これからは家内がいないことの寂しさが募る」と語った。

 法要で、SKRの正木仙治郎社長は「安全確保の徹底を図り、健全経営のもとで未来に向かって走り続ける鉄道として地域に貢献できるよう努力を重ねていく」と誓った。また、JR西の真鍋精志社長は「安全の取り組みに終わりはない。たゆまぬ努力を続けていく」と述べた。

 一方、昨夏に就任した三日月大造知事も参列。自身は以前、JR西の運転士をしており、現在、TASKの会員だという。「SKRの存続や安全に、より力を入れないといけない。事故の教訓を忘れないためにも、風化させない取り組みを大事にしていきたい」と抱負を述べた。
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信楽高原鉄道事故から24年を迎えた。昨年、遺族会の文字通り中心だった吉崎さんが、80歳になったこともひとつの契機として遺族代表を離れた。年齢を考えるとやむを得ないといえるが、問題は次の代表を務める人物がいないことだ。

事故から24年も経っているから、遺族代表のなり手がいなくても仕方ないとは、当ブログは思いたくない。この事故より前に起きた日航機事故の遺族たちが、子供の世代へ慰霊登山をきちんと引き継いでいるからである。信楽事故の遺族会が、ほとんどのことを吉崎さんひとりに任せきりにしていたことと大いに関係があるだろう。

信楽高原鉄道が、水害による長期不通から脱し、開通にこぎつけたことは喜ばしいと思う。昨年の慰霊祭は列車の汽笛が聞こえない中で行われ、このまま廃線になるのではという不安が地元にもあったからだ。この復旧もまた、上下分離のひとつの成功例といえる。

三日月知事が慰霊祭に出席したこともよいニュースだと思う。あまり知られていないが、三日月知事は元JR社員で、西日本旅客鉄道労働組合(JR西日本労組)出身だ。国鉄時代「御用組合」と言われた鉄道労働組合(鉄労)を母体としており、JR西日本労組は信楽、尼崎のJR西「2大事故」でもほとんど動きらしい動きをしなかった。JR西日本労働者の8割以上を組織する最大組合として、JR西日本労組がもっと一生懸命安全問題に取り組んでいたら、尼崎事故はなかったかもしれない。

そのことを思うと、せめて三日月知事は、安全問題に取り組めなかった過去の自分自身の罪滅ぼしとして、慰霊祭には今後も万難を排して出席してほしい。

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