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【金曜恒例】反原発北海道庁前行動(通算333回目)でのスピーチ/避難者への家賃補助打ち切りに抗議する

2019-04-12 23:38:13 | 原発問題/一般
 皆さんお疲れさまです。

 新しい年度を迎えて、皆さん、新しい気持ちでいらっしゃる方もいると思いますが、今日は、それどころではない人のお話を急遽、しなければなりません。

 福島原発事故に伴う自主避難者の方に対して行われてきた、月最大2万円の「家賃補助」がこの3月いっぱいで打ち切られました。これは災害救助法に基づいて、自主避難者に対して行われてきた住宅の無償提供が2年前に打ち切られたことによる「激変緩和」措置として導入されたものです。もともとは無償提供が終わると同時に自主避難者への住宅支援は打ち切られる予定でしたが、被災者、避難者、そして彼らを支える原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)などが粘り強く行政交渉などを重ねる中から勝ち取った、自主避難者に対する住まいの支援としては唯一と言っていいものです。避難者や「ひだんれん」などは、この家賃補助を打ち切らないよう再三にわたって求めてきましたが、福島県は聞く耳を持たず、打ち切りを強行しました。

 それでも、内堀知事も参加した場で、避難者と国、県が忌憚のない話し合いを続けた結果の打ち切りであるならまだ納得もできるでしょう。しかし、住宅無償提供の時代から、内堀知事は避難者との面会要請に1度も応じていません。この間何十回、いや何百回出席要請をしたかわかりません。福島県産品の「風評被害撲滅セールス」のためなら地球の裏側まででも出かけていくくせに、隣に避難者が立っていても、無視して通り過ぎるのが内堀知事のこれまでの姿勢でした。そんな姿勢を続けられたあげく、知事の生の声も、考え方も聞かないままの一方的な打ち切りで納得している避難者などひとりもいません。

 「福島を見捨てて勝手に出て行った人を助けてやる必要はない」――インターネット上にはそのような心ない避難者へのバッシングであふれています。そうした声の存在が、県を調子づかせていることも事実でしょう。しかしそれは正しいでしょうか? そうではありません。そのことは、まさに今日、福島産水産物の禁輸措置をめぐる日本と韓国のWTO(世界貿易機関)での紛争で、日本産水産物の禁輸を続ける韓国の措置が認められたことに示されています。国際社会が、土壌汚染の測定もせずに安全と言い繕い、汚染水が絶賛ダダ漏れ中の日本近海で獲れた水産物を輸出する日本政府の政策から自国民を守るための韓国政府の措置を正しいと認めたことを意味しています。放射能に汚染されている恐れがある食品を「食べて応援」するなどといった非科学的な政策は、島国「日本ムラ」では通用しても国際社会では通用しないのです。台湾でも、政府が進めてきた福島産水産物の輸入解禁の動きが国民投票で否決されています。

 事故から8年以上経った今なお、国際社会の福島を見る目がこれほど厳しいなかで、福島に住めないから別の場所に移ろうと考える福島県民がいることは不思議でも何でもありません。これまでの避難者訴訟でもほとんどの判決が避難の合理性を認め、国、東電に賠償を命じています。原発を推進してきた国、交付金に踊らされて疑いもせず原発を追認し受け入れてきた県はますそのことを反省するのが先です。加害者である国や県が住宅補助打ち切りで避難者を困窮させ、追い詰めるなど本末転倒であり言語道断です。

 福島の地元テレビ局、TUF(テレビユー福島)の夕方の報道番組「Nスタふくしま」が3月29日の放送でこの問題を取り上げています。Youtubeにもアップされており、見ることができますので皆さんも是非見ていただきたいと思います。

2019.3.29放送 TUF(テレビユー福島)ニュース
「Nスタふくしま/自主避難者大きな局面 家賃補助打ち切りまであと2日」(8分40秒頃から)


住宅支援を受け、新潟県に避難している男性は「この国では一度被害者になったら幸せになってはいけないのか」と怒りを露わにしました。何の落ち度もない避難者に「日本は被害者が幸せになってはいけない国なのだ」と言わせるこの国はいったい何なのでしょうか。激しい怒りが湧きます。自主避難者の中には、もちろん福島県中通りなど避難指示区域にならなかった地域からの避難者もいますが、避難指示区域が解除になった地域からの避難者もいます。その人たちに至っては、国が避難せよと言うから避難したのであり、勝手に避難指示を解除しておいて戻らなかったら家賃補助を打ち切るとは何という仕打ちでしょうか。何度でも繰り返しますが、国は安全になったから避難指示を解除したのではありません。賠償を打ち切り国の対策費を安くするためです。

 ICRPの勧告に基づいて年間1mSvとされた一般市民の被曝基準は、少なくとも「公式的には」撤回されていません。私が昨年11月9日、第314回目のこの行動の際に述べたとおりです。「緊急時被ばく状況における人々の防護のための委員会勧告の適用」と題されたICRPの勧告第109号(113)項では『委員会は、緊急事態に起因する長期被ばくの管理は、現存被ばく状況として扱うべきであると勧告する』、またこの勧告(114)項は『緊急事態に起因する現存被ばく状況は、ある集団が既知のまたは評価可能なレベルの被ばくを伴う地域に引き続き居住する必要性によって特徴づけられる』と明確に定めています。「原発事故を起こした国の政府が、汚染された地域の住民を避難させず、そのまま汚染地に居住させる」と決めた時点で「現存被ばく状況」へと移行すべき、つまり日本政府が福島の住民を避難させないと決めた時点で住民の被曝基準を「現存被ばく状況」における下限値である年1mSvとしなければならないのです。

 しかし日本政府は、このICRP勧告すら踏みにじる年間被曝量20mSvで避難指示を解除しました。原発労働者がこの水準で被ばくし続けた場合、5年で現場を離れなければならない放射線量です。ここに、帰還した住民は向こう何十年も住むのです。妊婦も子どもたちもです。「住めない」と判断して避難継続の道を選ぶ人がいるのは当たり前です。

 原発事故から8年。今、家賃補助を必要としているのは、心身の病気を抱えて働けない人など、そうでなくても極限状態に置かれている人が中心です。この人たちをこれ以上追い詰めた場合、自死の道を選ぶ可能性すらあります。国の政策の失敗でこのような状態に追い込まれている人たちに対する二重の加害行為という意味でも、私たちはこの非人道的蛮行を絶対に許してはならないと考えます。私は、何としても住宅支援の打ち切り撤回を求めたいと思います。

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