人生チャレンジ20000km~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

公共交通と原発を中心に社会を幅広く考える。連帯を求めて孤立を恐れず、理想に近づくため毎日をより良く生きる。

2025年、日本人は覚悟せよ!どん底からの復活を賭けた年になる

2024-12-25 23:08:47 | その他(国内)

(この記事は、当ブログ管理人が月刊誌「地域と労働運動」2025年1月号に発表した原稿をそのまま掲載しています。)

 年末年始にかけて読者諸氏のお手元に届く新年号を、私はとりわけ重視している。みんなが今年1年をどんな年にしようかと考え、あるいはどんな年になるだろうかと前途を想像する。年末年始以外の時期は日々の雑事に紛れがちで、この手のことを考える余裕はほとんどないからだ。

 正直に告白すると、来年、2025年がどんな年になるか予測したいという気にはとてもなれない。今年より良くなる要素がほぼなく、悪くなるという予測しかできないからだ。

 とはいえ、2020年代がどんな10年間になるかを占ったのがつい最近のことのように思っていたのに、もう2020年代も中盤に入る。このあたりで、2020年代初頭に当たって私が占ったことがどれほど的中しているか「中間点検」するとともに、外れた予測は撤回または必要な修正を加えた上で、今後に備えたいと思っている。

 ●外れた予測と「半分だけ外れた予測」

 「国際社会において世界の覇権はアメリカから中国へ移る」(「時代の転換点に起きた新型コロナウィルス大流行~「ポスト・コロナ」後の世界を読む」本誌2020年4月号拙稿)の予測は残念ながら外れた。新型コロナの封じ込めに一定程度成功した中国の経済が、これほど大きく減速するとは予測していなかった。

 日本の高度成長は1950年の朝鮮戦争を契機に始まり、1973年の石油危機まで23年間続いたが、中国の経済成長は1992年から始まり、コロナ直前の2020年まで28年続いた。年率10%近い経済成長率をこれほど長く維持できたのは世界史的にも異例の事態だ。日本の先例に倣うなら、年率10%近い経済成長率が20年を過ぎたどこかの段階で減速の予測をすべきだった。そんな簡単な予測すらできなかったことはひとえに私の認識不足である。

 「日本国内では、東京五輪が開催できず韓国、台湾との差が決定的になる」との予測に関しては半分だけ外れた。新型コロナで無観客になったとはいえ東京五輪は開催されたからである。

 だが、新型コロナ対応の圧倒的な差を見せつけられた結果『東アジアで韓国・台湾が先進国、日本は「衰退途上国」との評価が確定する時期を2020年代末期と予測していたが、日本のこの体たらくを見ていると、その時期は大幅に早まることになろう』(前記記事)とした予測については、見直す必要はないと考えている。日本では弱者へのあらゆるハラスメントが横行し、今では自国を先進国だと思う日本人はほぼいなくなった。韓国で、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による「非常戒厳」発令によるクーデターを未遂に終わらせ、逆に大統領を弾劾に追い込んだ韓国の市民民主主義の底力を見ると、その差を思い知らされる。

 ●的中した予測

 一方で、私が立てた予測の多くが的中していることに驚かされる。「コロナ禍を経験した世界経済は緩やかに「大きな政府」へ向かう」「構造転換に失敗した日本経済はますます観光依存を強める」(前記記事)との予測について、これ以上の説明は不要だろう。

 『「私の人生をめちゃくちゃにしたあの人に、どんな手を使っても復讐してほしいんです」「わかりました。そのご依頼、お引き受けしましょう」――テレビドラマや映画、小説ではおなじみのワンシーンであるが、国家が罰すべき者をきちんと罰していない、法と正義が実行されていないと多くの市民が感じれば、2020年代の遠くない時期、これがフィクションではなく現実となるおそれがある』(「2020年代の大胆(?)予測~向こう10年の世界はこうなる」本誌2020年2月号拙稿)との予測は、統一教会に「人生をめちゃくちゃにされた」中年男性による安倍晋三元首相殺害事件という最悪の形で現実となった。

 『IT技術の面では、ネットの「フェイク」化が進行する。SNSによる社会分断が加速。SNSでの不毛な「闘争」や情報の真偽の見極めに疲れ、ネットから「降りる」動きは2020年代を通じて加速する。「ネット上の情報を自由に操作して支持を集めることができるごく一部の強者」と、ネットに展望がないと見て、みずからの意思で能動的に「降りる」決意をした人――この両極端の行動を取れる人が2020年代の勝者となる』(前記記事)。私自身、5年前にこの予測を立てる際には迷いもあった。だが、米大統領選でのトランプ氏や、兵庫県知事選で、議会から不信任決議を受け失職したはずの斉藤元彦氏の「まさかの復活」当選に至る経緯を見ていると、この予測は身震いするほど正確だった。

 「逃げるは恥だが役に立つ?~離脱、脱出が2020年代のキーワードかもしれない」(本誌2020年3月号拙稿)で予測したこともほとんどが事実となっている。この記事を執筆した時点では盤石だと思われていたジャニーズ事務所が解体し、拘束性が非常に強い事務所から、ほとんどの所属タレントが「脱」を実現することになるとは夢にも思っていなかった。

 旧来型組織・団体にとって、構成員からの忠誠心を調達することが困難になっており、これに取って代わるべき新しい組織モデル(とりわけ若い世代を長期継続的に惹きつけておけるような新組織モデル)も登場していない。旧来型組織からの構成員の「脱」の動きは、2020年代後半も止まることはないであろう。

 ●2025年、日本は覚悟の年になる

 フランスの歴史家エマニュエル・トッド氏は「第三次世界大戦はすでに始まっている」と評したが、私は当初、日本に核武装を勧めるような「三流歴史家」の寝言だと考え相手にしていなかった。しかし、世界地図をひもといてみると、ウクライナとガザ、2地域での戦争が、南北から挟み込むように中間地域に拡大していることがわかる。トッド氏の予測通りに進んでいるように見える。

 世界大戦の時代の特徴は、ひとつひとつは局地的紛争に過ぎないように見えても、それらが相互に作用し合い、連動してドミノのように既存の社会秩序を破壊していく点にある。その中から、紛争、戦乱の「目的意識的拡大」を狙う勢力が登場する。その野望が成功すれば局地的紛争は世界大戦となる。第2次世界大戦当時、その役割を担ったのはナチスドイツだった。そのナチスドイツによって徹底的なホロコーストを受けたユダヤ人の国家・イスラエルが現在、当時のナチスドイツと同じ役割――局地的紛争の目的意識的拡大――を意図しているように見える。なんという歴史の皮肉だろうか。

 軍事力の質と量の両面で中東諸国を圧倒し、米国の強固な庇護を受けているイスラエルを止められる意思と能力の両方を備える国家は現在、世界地図の上に存在しない。2025年は世界がその存亡を賭けた正念場となるだろう。2025年に起きるいくつかの出来事が、向こう半世紀すなわち21世紀後半の世界の潮流を決めることになるかもしれないとの予感が私にはある(21世紀後半まで世界人類が滅亡せず生き延びられればの話だが)。

 国力衰退過程にあり、国内問題に忙殺されている日本が、国際社会で何かの役割を果たせるようには見えない。それどころか2025年こそが日本にとって「どん底」の年となる可能性がある。

 2021年に死去した歴史家の半藤一利氏は「昭和史」の中で日本は40年周期で繁栄と衰退を繰り返すと述べた。「昭和史」を2011年に読破したブロガーの「ちきりん」さんは、半藤氏の説を基にこんな図(2011年現在)を作っている。

 

 半藤氏は、米占領統治時代(1945~1952年)を期間計算から除き、2032年をどん底だとしており、いつがどん底かについては諸説ある。占領時代を含めるなら、1945年からちょうど80年となる2025年は、1945年に匹敵するどん底の年だということになる。このことは「衰退・凋落加速する日本 反転攻勢の目はあるか?」(本誌2024年7月号記事)でも取り上げているが、人心荒廃が著しい日本に復活の目はあるだろうか。

 なんだか新年早々、おめでたくない予測ばかりになってしまったが、これが偽らざる日本の現状だと思う。

(2024年12月22日)


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【転載記事・動画】ノーベル... | トップ | 2024年 鉄道全線完乗達成状... »

その他(国内)」カテゴリの最新記事