法務問題集

法務問題集

憲法 > 国民 > 身体的自由権 > 黙秘権

2011-07-14 00:00:00 | 憲法 > 国民の権利・義務等
【問題】
01. 氏名は、原則として、不利益な事項に該当する。

【解答】
01. ×: 最判昭32.02.20 要旨2
被告人の氏名の如きは原則として、不利益な事項ということはできず、それにつき黙秘する権利があるとはいえない。

【参考】
黙秘権 - Wikipedia

憲法 > 国民 > 身体的自由権 > 住居の不可侵

2011-07-13 00:00:00 | 憲法 > 国民の権利・義務等
【問題】
01. 車両にGPS端末を秘かに装着する捜査手法は、車両使用者の行動を継続的・網羅的に把握するものだが、公道上の所在を肉眼で把握したりカメラで撮影したりする手法と本質的に異ならず、憲法が保障する私的領域を侵害するものではない。

02. 憲法は住居や書類、所持品について侵入や捜索、押収を受けることのない権利を定めるが、その保障対象には住居や書類、所持品に限らずこれらに準ずる私的領域に侵入されることのない権利が含まれる。

【解答】
01. ×: 最判平29.03.15 理由3(1)
(略)このような捜査手法は、個人の行動を継続的、網羅的に把握することを必然的に伴うから、個人のプライバシーを侵害し得るものであり、また、そのような侵害を可能とする機器を個人の所持品に秘かに装着することによって行う点において、公道上の所在を肉眼で把握したりカメラで撮影したりするような手法とは異なり、公権力による私的領域への侵入を伴うものというべきである。(略)

02. ○: 最判平29.03.15 理由3(2)
(略)憲法35条は、「住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を 受けることのない権利」を規定しているところ、この規定の保障対象には、「住居、書類及び所持品」に限らずこれらに準ずる私的領域に「侵入」されることのない権利が含まれるものと解するのが相当である。(略)

【参考】
日本国憲法第35条 - Wikipedia

憲法 > 国民 > 身体的自由権 > 適正手続きの保障

2011-07-12 00:00:00 | 憲法 > 国民の権利・義務等
【問題】
01. 憲法31条は、ニューディール期のアメリカ連邦最高裁で猛威を振るった手続的デュー・プロセス論を否定したものである。

02. 地方公共団体が条例に違反した者への刑罰を規定するためには、個別の法律による委任が必要である。

【解答】
01. ×

02. ×: 最判昭37.05.30(大阪市売春取締条例事件)理由
(略)条例によって刑罰を定める場合には、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されておればたりると解するのが正当である。(略)

【参考】
デュー・プロセス・オブ・ロー - Wikipedia

憲法 > 国民 > 身体的自由権

2011-07-11 00:00:00 | 憲法 > 国民の権利・義務等
【問題】
01. 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。

02. いかなる場合も、その意に反する苦役に服させられない。

03. 何人も、法定の手続きによらなければ生命や自由を奪われない。

04. 何人も、法定の手続きによらなければ刑罰を科せられない。

06. 何人も、裁判所で裁判を受ける権利を奪われない。

07. 何人も、原則として、権限を有する司法官憲が発し、かつ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ逮捕されない。

08. 現行犯でも、権限を有する司法官憲が発し、かつ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ逮捕されない。

09. 何人も、正当な理由がなければ拘禁されない。

10. 拘禁された場合、要求があれば、本人や弁護人が出席する公開法廷でその理由をただちに示さなければならない。

11. 刑事被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。

12. 刑事被告人は、公費で自身のために強制的手続きによって証人を求める権利を有する。

13. 刑事被告人が弁護人を依頼できない場合、国が弁護人を付する。

14. 何人も、自身に不利益な供述を強要されない。

15. 強制や拷問、脅迫による自白または不当に長く抑留・拘禁された後の自白は、これを証拠とできない。

16. 自身に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合、何人も有罪とされない。

17. 実行時に適法だった行為については、何人も刑事上の責任を問われない。

18. 抑留や拘禁後に無罪の裁判を受けた者は、国にその賠償を請求できる。

【解答】
01. ○: 憲法18条前段

02. ×: 憲法18条後段
犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

03. ○: 憲法31条

04. ○: 憲法31条

06. ○: 憲法32条

07. ○: 憲法33条

08. ×: 憲法33条
何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

09. ○: 憲法34条後段

10. ○: 憲法34条後段

11. ○: 憲法37条1項

12. ○: 憲法37条2項

13. ○: 憲法37条3項後段

14. ○: 憲法38条1項

15. ○: 憲法38条2項

16. ○: 憲法38条3項

17. ○: 憲法39条前段

18. ×: 憲法40条
何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。

【参考】
自由権 - Wikipedia
裁判を受ける権利 - Wikipedia
逮捕 (日本法) - Wikipedia
現行犯 - Wikipedia
刑事補償請求権 - Wikipedia

憲法 > 国民 > 経済的自由権 > 財産権 > 奈良県溜池条例事件

2011-07-05 00:00:00 | 憲法 > 国民の権利・義務等
【問題】
01. 溜池の提塘を使用する財産権を有する者は、社会生活上の止むを得ない必要から堤塘の使用を規制する条例による制約を受忍する責務を負う。

02. 溜池の破損や決壊の原因となる提塘の使用行為は、憲法や民法でも、財産権の適法な行使として保障されていない。

03. 地方公共団体は、憲法や民法が保障する財産権の行使の埒外にある行為を禁止・処罰する条例を制定できない。

04. 国が法律で一律に制定することが困難・不適当な事柄は、地方公共団体ごとに条例で制定することが容易・適切である。

05. 私有財産を公共のために収用・制限する場合、当然に補償しなければならない。

06. 災害予防のために条例で補償なしに財産権の行使を制限することは、憲法に違反する。

【解答】
01. ○: 最判昭38.06.26(奈良県ため池条例事件)理由一
(略)ため池の堤とうを使用する財産上の権利を有する者は、 本条例1条の示す目的のため、その財産権の行使を殆んど全面的に禁止されることになるが、それは災害を未然に防止するという社会生活上の已むを得ない必要から来ることであって、ため池の堤とうを使用する財産上の権利を有する者は何人も、公共の福祉のため、当然これを受忍しなければならない責務を負うというべきである。(略)

02. ○: 最判昭38.06.26(奈良県ため池条例事件)理由一
(略)ため池の破損、決かいの原因となるため池の堤とうの使用行為は、憲法でも、 民法でも適法な財産権の行使として保障されていないものであって、(略)

03. ×: 最判昭38.06.26(奈良県ため池条例事件)理由一
(略)これらの行為を条例をもって禁止、処罰しても憲法および法律に牴触またはこれを逸脱するものとはいえないし、また右条項に規定するような事項を、既に規定していると認むべき法令は存在していないのであるから、これを条例で定めたからといって、違憲または違法の点は認められない。(略)

04. ○: 最判昭38.06.26(奈良県ため池条例事件)理由一
(略)事柄によっては、特定または若干の地方公共団体の特殊な事情により、国において法律で一律に定めることが困難または不適当なことがあり、その地方公共団体ごとに、その条例で定めることが、容易且つ適切なことがある。(略)

05. ×: 最判昭38.06.26(奈良県ため池条例事件)理由二
(略)本条例は、災害を防止し公共の福祉を保持するためのものであり、その4条2号は、ため池の堤とうを使用する財産上の権利の行使を著しく制限するものではあるが、結局それは、災害を防止し公共の福祉を保持する上に社会生活上已むを得ないものであり、そのような制約は、ため池の堤とうを使用し得る財産権を有する者が当然受忍しなければならない責務というべきものであって、憲法29条3項の損失補償はこれを必要としないと解するのが相当である。(略)

06. ×: 最判昭38.06.26(奈良県ため池条例事件)要旨
奈良県ため池の保全に関する条例第4条第2号、第9条は、憲法第29条第2項、第3項に違反しない

【参考】
奈良県ため池条例事件 - Wikipedia