法務問題集

法務問題集

国賠法 > 大阪空港訴訟 ★★★★★

2020-04-02 00:00:00 | 法務省 > 行政救済法
【問題】
01. 営造物の設置や管理の瑕疵とは、営造物が有すべき安全性を欠いている状態をいう。

02. 安全性の欠如とは、他人に危害を及ぼす危険性がある状態をいう。

03. 営造物を構成する物的施設自体に物理的・外形的な欠陥があることは、他人に危害を及ぼす危険性がある状態に該当する。

04. 営造物の利用によって危害を発生せしめる危険性があり、営造物がそのような利用に供されていることは、他人に危害を及ぼす危険性がある状態に該当する。

05. 営造物の利用者は、他人に該当する。

06. 営造物の利用者以外の第三者は、他人に該当する。

07. 他人に危害が発生しなかった場合、国賠法2条1項の責任は認められない。

08. 他人に危害が発生しても、それが営造物の設置・管理者の予測し得ない事由による場合、国賠法2条1項の責任が認められないことがある。

【解答】
01. ○: 最判昭56.12.16(大阪空港訴訟)理由
(略)営造物の設置又は管理の瑕疵とは、営造物が有すべき安全性を欠いている状態をいうのであるが、(略)

02. ○: 最判昭56.12.16(大阪空港訴訟)理由
(略)安全性の欠如、すなわち、他人に危害を及ぼす危険性のある状態とは、(略)

03. ○: 最判昭56.12.16(大阪空港訴訟)理由
(略)他人に危害を及ぼす危険性のある状態とは、ひとり当該営造物を構成する物的施設自体に存する物理的、外形的な欠陥ないし不備によって一般的に右のような危害を生ぜしめる危険性がある場合(略)をも含み、(略)

04. ○: 最判昭56.12.16(大阪空港訴訟)理由
(略)他人に危害を及ぼす危険性のある状態とは、(略)、その営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連において危害を生ぜしめる危険性がある場合をも含み、(略)

05. ○: 最判昭56.12.16(大阪空港訴訟)理由
(略)その危害は、営造物の利用者(略)に対するそれをも含むものと解すべきである。(略)

06. ○: 最判昭56.12.16(大阪空港訴訟)理由
(略)その危害は、(略)、利用者以外の第三者に対するそれをも含むものと解すべきである。(略)

07. ○: 最判昭56.12.16(大阪空港訴訟)理由
(略)利用者又は第三者に対して現実に危害を生ぜしめたときは、(略)、国家賠償法2条1項の規定による責任を免れることができないと解されるのである。(略)

08. ○: 最判昭56.12.16(大阪空港訴訟)理由
(略)利用者又は第三者に対して現実に危害を生ぜしめたときは、それが右設置・管理者の予測しえない事由によるものでない限り、国家賠償法2条1項の規定による責任を免れることができないと解されるのである。(略)

【参考】
大阪空港訴訟 - Wikipedia

国賠法 ★★★★★

2020-04-01 00:00:00 | 法務省 > 行政救済法
【問題】
01. 地方公共団体が一定内容の継続的な施策を決定した場合、その後社会情勢が変動したとしても、施策を変更することは住民や関係者の信頼保護の観点から許されず、施策の変更は当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして、それによって損害を被る者との関係では違法となる。

02. 国会議員の立法行為は、憲法の文言に明白に違反しているにもかかわらず立法するというような例外的な場合を除いて、国賠法上は違法の評価を受けない。

03. 消防署職員の消火活動上の失火による国家賠償責任には、失火法は適用されない。

【解答】
01. ×: 最判昭56.01.27 要旨1
地方公共団体が定めた一定内容の継続的な施策が、特定の者に対して右施策に適合する特定内容の活動をすることを促す個別的、具体的な勧告ないし勧誘を伴うものであり、かつ、その特定内容の活動が相当長期にわたる右施策の継続を前提としてはじめてこれに投入する資金又は労力に相応する効果を生じうる性質のものである場合において、右勧告等に動機づけられて右活動又はその準備活動に入った者が右施策の変更により社会観念上看過することができない程度の積極的損害を被ることとなるときは、これにつき補償等の措置を講ずることなく右施策を変更した地方公共団体は、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、右の者に対する不法行為責任を免れない。

02. ○: 最判昭60.11.21(在宅投票制度廃止事件)要旨1
国会議員の立法行為は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらずあえて当該立法を行うというごとき例外的な場合でない限り、国家賠償法1条1項の適用上、違法の評価を受けるものではない。

03. ×: 最判昭53.07.17 要旨
公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については、失火の責任に関する法律が適用される

【参考】
国家賠償法 - Wikipedia
立法の不作為 - Wikipedia
在宅投票制度廃止事件 - Wikipedia