学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

オスカー・ワイルド『まじめが肝心』

2009-12-09 20:45:49 | 読書感想
オスカー・ワイルド(1854~1900)は、アイルランド生まれの作家です。私はワイルドの喜劇が好きで、以前『ウィンダミア卿夫人の扇』の感想をブログでご紹介したこともありました。今回読んだ『まじめが肝心』も喜劇。「名前」がキーワードになっています。

ジャックとアルジャノンは親友同士ですが、2人とも変わったことをしています。それは居もしない「弟」をでっちあげて、他人へ吹聴し、都合の悪い時には「弟」の名前を出して逃げてしまうというもの。ところが、こうした嘘はばれるのがオチなわけですね(笑)それもよりによってプロポーズのときに誤解が生まれて…。

「名前」を巡っての七転八倒はもちろん、アルジャノンの能天気ぶり、それに振り回されるジャックがとても笑えます。

井上ひさしさんが、本の中でこう書いていました。戯曲を読むときには登場人物の容姿や性格に合う俳優、女優をイメージして配役を自分なりにセレクトすると面白くなると。

頭の中で舞台を作り、自分の選んだ俳優たちが劇をのびのびと演じる、それを楽しむのは自分という観客唯一人。なんとも贅沢な遊びではありませんか。

『まじめが肝心』、とても面白い戯曲ですので、オススメです!

●『サロメ、ウィンダミア卿夫人の扇』西村孝次訳 新潮文庫 2005年