学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

カタログをデザインすること

2009-12-18 17:38:17 | 仕事
来年度に開催する展覧会の準備をしています。展覧会の事前準備として、展覧会の構想をもとに作品借用先への挨拶や調査、カタログ編集などが挙げられます。

私にとって難問はカタログ編集。ひとえにカタログ編集といっても、文章執筆、掲載作品や資料の写真撮影、表紙や内デザインに分けることができます。そのなかで私が苦手とするのがデザインすること。予算にある程度余裕のある博物館、美術館ならばデザイナーに構想を伝えて進めてゆけるのですが、当館はそうした予算はなし。学芸員がデザインを担当しています。自分で自在にデザインできる利点はありますが、それには余程勉強しなくてはなりません。自分の弱点として、その辺りの勉強がまだまだ足りなくて、他の美術館カタログや書店に並んでいる本の装丁を見て学んだり、デザインの本を買ってきて読んではみますが、日々レベルアップしていくものでもないので、コツコツと学んでいる調子です。

幸いにしてまだ時間はありますので、お客様に手にとってもらえるような素晴らしい装丁ができるよう、自己研鑽を続けたい!とまだ白紙になっているデザイン帖を前に思うのでした(苦笑)
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十返舎一九『東海道中膝栗毛』

2009-12-17 19:08:35 | 読書感想
押しては引き、引いては押され、風邪との勝負。意外に今度の風邪は手ごわくて、いやになります。今朝は珍しく雪が降り、道路もうっすらと白く、首の周りを通る風はことのほか冷たし。冬、ですね。

近頃は、十返舎一九(1765~1831)の『東海道中膝栗毛』を読んでいます。ご存知、弥次さん北(喜多)さんの名コンビが東海道を旅する物語ですね。十返舎一九は駿河、今の静岡県の生まれ。ちょうど東海道のコースにあたっていますから、江戸から自分の故郷を通って、東海道を旅したら、何か面白いものがかけるかもしれない、と思ったのかもしれません。

江戸時代に書かれたものですが、今でもとても面白く読めます。鯉の滝登りの絵をみて、鯉がそうめんを食べているように見えるだとか、下駄で五右衛門風呂に入って底を抜いてしまうとか、二人の掛け合いは絶妙、旅行で起こる様々なトラブルも笑い飛ばして乗り越えてゆく!こんな旅が出来たらきっと楽しいですね!いつか私も歩いて東海道を旅してみたい!と思うのでした。
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福井県一乗谷

2009-12-16 20:19:09 | その他
風邪をひくたびに思うのですけれど、健康で生活していることがいかに幸せなことなのかを実感します。体調は、たくさん栄養を取ったせいか、だいぶ良くなりました。あとはあまり無理しないで生活すれば治りそう!

帰宅してデジカメのデータを整理していましたら、北陸旅行の写真が出てきました。写真は福井県一乗谷。戦国大名朝倉氏の居城です。かつては、この小さな谷に何千人と住民が居たそうですが、今はところどころに民家がある、のんびりとしたところ。今も発掘作業が進んでいるそうで、館跡、石垣、池の跡などが栄華を伝えてくれます。

夏には館前の川で蛍が見られるそう。いいですよね!広い芝生も一面に広がっていて、とてもゆとりのある復元方法が取られています。(なによりゴミが1つも落ちていないのです!)ここは風情をいつまでも残しておいて欲しい、と作家の遠藤周作は一乗谷を訪れて思ったとか。私もいつまでも風情のある場所で居て欲しい、と思います。

写真を見て、また北陸へ行きたくなりました(笑)
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印刷物の校正

2009-12-15 19:58:55 | 仕事
昨夜はたらふく食べて寝たにも関わらず、完全に風邪をひいてしまいました。ひいてしまったものは致し方なし。早く治すしかありませんね。

今日は次回展覧会の印刷物校正が主な仕事です。チラシ、ポスター、チケットなどなど。特に印刷物で難しいのが色校正です。絵画に使われている色を印刷物で出そうとすると、これがなかなか出ない。これは何も印刷業者の腕が云々ではなく、そもそも絵具の色をインクで出すのが大変困難なのだそうです。何度も業者へ足を運んでもらい、作品の色に近づけていきます。そうした作業を経て、博物館や美術館の展覧会印刷物が出来るのです。

風邪をあまりこじらせないよう、しっかり食べて、明日、また頑張ります!
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夏目漱石『二百十日』

2009-12-14 19:21:41 | 読書感想
ぽかぽかとした暖かい陽気の一日。あまりの気持ちよさに昼寝をしたのは良いけれど、どうも風邪をひいてしまったらしく、鼻づまりの症状が…。私の場合、風邪のひきかけのときに、食べられるだけ食べて寝る、そうして翌朝すっかり良くなる、そんな治し方をしています。こじらせないのが大事ですね。今夜はキムチ鍋にして、たらふく食べましたので、あとは寝るだけです。

こんな日には久しぶりに小説を読んで笑いたい、と思いましたので、夏目漱石『二百十日』を読みました。『二百十日』もですけれど、『坊っちゃん』、『吾輩は猫である』などの漱石の初期はユーモアがあって、本当に読んでいて楽しくなります。『二百十日』は圭さんと碌さんが阿蘇へ旅行に行き、山登りしてこりごりになって、そうして終わるという話。漱石は落語が好きだったそうですが、その影響からか、この小説はほとんどが会話文というあまり見られない構成から成り立ちます。この小説は、落語を読むような感覚で味わえるのではないでしょうか。圭さんと碌さんの会話から生まれる、皮肉、それは成金たちへの批判なのですが、いわゆるグチグチとしたものではなく、軽快な江戸っ子のようにスカッとした批判なんですね。だから読んでいていやな気持ちにならないのです。

短くて、とても楽しめる内容です。いい心持になりたいときにはオススメの小説です。

●『二百十日・野分』夏目漱石 新潮文庫 1976年
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無題

2009-12-13 20:07:43 | その他
ようやくイベント尽くしの長い長い一週間が終わりました!今は心地よい疲労感です。今夜はぐっすり眠れそう(笑)

休日の明日は、いよいよ年賀状を摺って、画集を見たり、本を読んだり…のんびり過ごしたいと思います。

それでは少し早いのですが、おやすみなさい!
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時代を行き来する

2009-12-11 21:08:17 | その他
昨日から、なんだかどうも頭の中がもやもやしています。疲れがたまったかな、と思って、昨日は随分早く寝たのだけれど、あまり良くならず。物事に集中できなくって、こまります。今週はイベント尽くめの一週間なので、やはり疲れがたまっている、そう解釈して次の休日まで頑張ります。

前の休日。図書館から私の住む街の古い地図(昭和30年です)を借りてきて、今の街並みとどう変わっているのか、実際にこの眼で楽しんでこようと街をぶらりと歩いてきました。この街にはかつて映画館が3箇所もあって、とても多くの人でにぎわったそうです。年配の方にお話を伺うと、昔は良かったんだよ、とおっしゃいますが、おそらくこの昭和30年頃のことなのでしょう。今は映画館もまったく面影がなく、商店街もいわゆるシャッター通りになってしまっています。昭和30年の地図と現在を比較するとお店の数も激減しており、ぼろぼろになってしまったかつての看板だけが今は軒先にさびしそうに掲げられています。さすがに50年の歳月は大きいものがありました。

といっても、悲観することばかりではなく、変わらないものもあります。江戸時代に作られた御堂。透かし彫りがとても見事で、職人の腕、歴史の重みを感じさせます。また、弁天様の御堂もまた素晴らしいものでした。かつて、この街は至る所に湧き水があったそうです。弁天様のお堂はその名残。御堂の周りは水堀でして、池には鯉、浮き木には亀がひなたぼっこをしていました。のんびりとした調子、とても良いですね!

昔の地図を片手に街を歩く。まるで時代を行き来するような面白さがあります。みなさんの街でもぜひお試し下さいませ!
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オスカー・ワイルド『まじめが肝心』

2009-12-09 20:45:49 | 読書感想
オスカー・ワイルド(1854~1900)は、アイルランド生まれの作家です。私はワイルドの喜劇が好きで、以前『ウィンダミア卿夫人の扇』の感想をブログでご紹介したこともありました。今回読んだ『まじめが肝心』も喜劇。「名前」がキーワードになっています。

ジャックとアルジャノンは親友同士ですが、2人とも変わったことをしています。それは居もしない「弟」をでっちあげて、他人へ吹聴し、都合の悪い時には「弟」の名前を出して逃げてしまうというもの。ところが、こうした嘘はばれるのがオチなわけですね(笑)それもよりによってプロポーズのときに誤解が生まれて…。

「名前」を巡っての七転八倒はもちろん、アルジャノンの能天気ぶり、それに振り回されるジャックがとても笑えます。

井上ひさしさんが、本の中でこう書いていました。戯曲を読むときには登場人物の容姿や性格に合う俳優、女優をイメージして配役を自分なりにセレクトすると面白くなると。

頭の中で舞台を作り、自分の選んだ俳優たちが劇をのびのびと演じる、それを楽しむのは自分という観客唯一人。なんとも贅沢な遊びではありませんか。

『まじめが肝心』、とても面白い戯曲ですので、オススメです!

●『サロメ、ウィンダミア卿夫人の扇』西村孝次訳 新潮文庫 2005年
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完成…?した年賀状

2009-12-08 22:16:56 | その他
仕事から帰ると、夕ご飯を作りながら、多色木版を彫りました。そうして、今、ようやく摺りが終わり…とうとう年賀状が出来ました!

寅の白く抜いたところがちょっと変な感じがするのですが、あとは少しずつ調整を加えていきたいと思います。12月初旬に年賀状が完成したのは、今までで一番早かったかもしれません(笑)

最後の難関は、年賀状に摺ること。年賀状の紙は湿らせないと、ちょっと摺り難いのです。頑張ります!
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年賀状作りの休日

2009-12-07 21:54:36 | その他
とても天気がよくて、暖かい一日でした。

今日は朝から年賀状作り。以前ブログでも紹介しましたが、木版画で年賀状にチャレンジです。2、3年前に東京国立博物館で開催していたプライスコレクション展の画集を引っ張り出し、長沢芦雪の虎図を模倣して描いてみることにしました。私の場合、模倣といってもいい加減ですから、画集を見ながらだいたいの特徴を頭に叩き込んで、画集を閉じ、ひたすらスケッチブックに練習していくやり方です。このほうが、寸分違わずに絵を写すより、多少なりとも自分のイメージが入るのかな、と思いまして。とりあえず、骨版(元になる版ですね)は出来ました。明日にでも多色摺版を作っておしまいです。こんなに早く出来るなら、もっと早く作ったら良かった(笑)

出来上がりましたら、写真(久しぶりに)でご紹介したいと思います!


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