語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【読書余滴】スウェーデンの社会保障の特徴

2010年09月21日 | □スウェーデン
(1)高福祉
 社会保障費の対GDP比は、29.4%(世界一)。日本(18.5%)の1.6倍。

(2)負担と給付の関係が明確
 ・行政の役割分担が明確・・・・国:年金、ランスティング:医療、コミューン:福祉・介護
 ・財源と給付の関係が明確
  ☆社会保険料(所得の31.4%)
    →(a)社会保険(労働できなくなったら給付)【社会保障給付のうち36%】
  ☆地方所得税(平均31%)
    →(b)社会サービスへの現物給付(保育・教育・医療など)【社会保障給付のうち55%】
    →(d)にも。
  ☆消費税(商品価格の25%、ただし食品12%、新聞6%)
    →(c)特定カテゴリー(子持ち世帯【注】、大学生)への定額給付【社会保障給付のうち4%】
  ☆国税所得税(国民の8割は0%、高所得者は20%と25%)
    →(d)低所得者への経済的支援(生活保護など)【社会保障給付のうち4%】
    →(c)にも。

  【注】出産・育児の制度と成果
    ☆出産休暇・・・・出産前後、最長7週間
    ☆妊婦手当・・・・出産直前2週間分
    ☆育児休暇・・・・480日(うち60日は父親に取得割り当て)
    ☆育児休業給付・・・・最大290日分(休業前賃金の8割)
    ☆児童手当・・・・16歳未満まで(多子加算あり、所得制限なし)
    ☆子どもの医療費無料・・・・18歳以下
    ★就学前保育所・・・・1~5歳児の8割
    ★高い育児休業取得率・・・・女性84.0%、男性79.4%

(3)社会保障は弱者保護ではない。
 。社会保障はリスクをシェアするもの、と認識されている。
 ・救貧的施策(生活保護など)の社会保障給付に占める比率:4%

(4)老齢世代および現役世代の生活保障システム
 ・高齢者向け支出割合は、日本より低い。
   ●社会保障給付に占める割合は、スウェーデン32%、日本47%。
 ・家族関係支出(妊婦手当、育児休業給付や子ども手当、保育・就業前教育など)割合は、日本の3倍。助成の子育て支援制度が充実している。
   ●社会保障給付に占める割合は、スウェーデン11%。日本4%。
 ・積極的労働市場政策(職業訓練など)への支出は、GDP比で1%。日本(0.26%)の4倍。

(5)スウェーデンの社会保障全体の特徴
 ・誰もが働くことを前提として組み立てられている。
 ・負担も給付も定率である。負担を国民全体で分かち合う。
 ・積極的に労働市場に参加しなければ、最低限の給付しか得られない。

【参考】特集/世界経済大図解の記事「先進国 スウェーデンの社会保障」(「週刊東洋経済」2010年9月25日号)
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