原子力分野では、東大工学部、東大原子炉工学研究所、京大原子炉実験所が3大勢力だ。
京大には、原発の危険性を訴えている研究者グループもいるが、昇進やポスト配分で冷遇されている。研究費はつかない。電力会社の寄付はない。
原子力政策を支持、推進するのが「原発ムラ」の住民だ。原発ムラは、産・官・学一体となった共同体だ。
原発ムラの中心メンバーは、東大大学院工学系研究科で原子力を専攻した人たちだ。その中にもヒエラルキーがある。(1)大学、(2)日本原子力研究開発機構(旧・動燃)、(3)原子力プラントメーカー(日立・東芝・三菱など)、(4)電力会社、(5)官僚(経産省・文科省)・・・・だ。
原発を推進する側も規制する側も原発ムラの住民だ。
<例1>原発を推進する原子力委員会の委員長・・・・近藤駿介(東大大学院工学系研究科修了、東大名誉教授)。
<例2>原発を規制する原子力安全委員会の委員長・・・・斑目春樹(東大大学院工学系研究科修了、元東大教授)。
そして、原発をチェックする原子力安全・保安院(資源エネルギー庁の特別の機関)は、原発を推進する経済産業省の傘下にある。しかも、保安院発足に備えて、検査官の約半数に当たる52人が原発のプラントメーカーなどから中途採用された。ために、仲間意識から互いをかばいあうばかりで、まともな検査ができない。
ちなみに、もう一つの規制機関、原子力安全委員会の委員5人のうち、斑目委員長【注】、久木田豊、小山田修の3人が東大大学院工学系研究科出身だ。
経産省や文科省が所管する各種団体も、原発ムラの住民だ。
これら団体のトップたちは、経産大臣の諮問機関「統合資源エネルギー調査会」の原子力部会に所属し、原子力行政を左右している。
<例3>斑目原子力安全委員会委員長の先輩、鈴木篤之東大名誉教授は、原子力安全委員会の前委員長であり、10年8月に日本原子力研究開発機構理事長に就任した。同機構は、95年にナトリウム漏出事故を起こした高速増殖炉「もんじゅ」を管理する。規制する側のトップが推進する側のトップに横滑りしたわけだ。
<例4>石田徹は、資源エネルギー庁長官を辞職した4ヵ月後の11年1月、東電から顧問に迎えられた。6月には副社長に就く予定だった。
東電から東大に、約10年間で5億円が「寄付」されている。
その東大の、大学院工学系研究科の関村直人教授はNHKに出ずっぱりで、次のように解説している。
「燃料のごく一部が溶けて漏れ出たと思われるが、原子炉はすでに停止しているうえ、冷やされている状況だ。冷静な対応を」
「炉心溶融(メルトダウン)はありえない」
「冷却水が漏れている可能性は低い」
中島健京大原子炉実験所教授も、最近メディアへの登場回数が増えている。何を聞かれても、まず大丈夫でしょう、と繰り返す。プルトニウムの漏出についても、「プルトニウムは重いので、遠くまで飛ばないから安全」などと語っていた。
関村教授も中島教授も、核燃料サイクル安全小委員会の委員を務めたり、文科省の原子力安全技術アドバイザーをしていた。
御託はもういいから、あの「化け物」をと止めて来てくれ。
・・・・記事は、冒頭で然云う。
【注】斑目委員長は、東大教授当時、浜岡原発をめぐる訴訟に中部電力側の証人として出廷した(07年)。そして、地震などで非常用電源がすべて使えなくなる可能性を問われ、「すべての電源が喪失するようなことを想定していては、原発はつくれない」などと証言した。
また、地震発生直後に菅直人首相に呼ばれ、原発爆発の危険性を問われて、「大丈夫、水素はありますが爆発するようなことはありません」と答えた。その翌12日、水素爆発が起きたことは周知のとおり。
福島第一原発2号機から放射線により高濃度に汚染された水が漏れていることが判明した3月28日には、解決法を問われて、「どのような形で処理できるか知識を持ち合わせていない。原子力安全・保安院で指導していただきたい」などと答えている。責任のなすり合いが始まったのだ。
以上、記事「そんなに『安全』というのなら、テレビに出るのではなく 原発ムラ科学者たちは現場フクシマへ行け!」(「週刊現代」2011年4月16日号)に拠る。
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京大には、原発の危険性を訴えている研究者グループもいるが、昇進やポスト配分で冷遇されている。研究費はつかない。電力会社の寄付はない。
原子力政策を支持、推進するのが「原発ムラ」の住民だ。原発ムラは、産・官・学一体となった共同体だ。
原発ムラの中心メンバーは、東大大学院工学系研究科で原子力を専攻した人たちだ。その中にもヒエラルキーがある。(1)大学、(2)日本原子力研究開発機構(旧・動燃)、(3)原子力プラントメーカー(日立・東芝・三菱など)、(4)電力会社、(5)官僚(経産省・文科省)・・・・だ。
原発を推進する側も規制する側も原発ムラの住民だ。
<例1>原発を推進する原子力委員会の委員長・・・・近藤駿介(東大大学院工学系研究科修了、東大名誉教授)。
<例2>原発を規制する原子力安全委員会の委員長・・・・斑目春樹(東大大学院工学系研究科修了、元東大教授)。
そして、原発をチェックする原子力安全・保安院(資源エネルギー庁の特別の機関)は、原発を推進する経済産業省の傘下にある。しかも、保安院発足に備えて、検査官の約半数に当たる52人が原発のプラントメーカーなどから中途採用された。ために、仲間意識から互いをかばいあうばかりで、まともな検査ができない。
ちなみに、もう一つの規制機関、原子力安全委員会の委員5人のうち、斑目委員長【注】、久木田豊、小山田修の3人が東大大学院工学系研究科出身だ。
経産省や文科省が所管する各種団体も、原発ムラの住民だ。
これら団体のトップたちは、経産大臣の諮問機関「統合資源エネルギー調査会」の原子力部会に所属し、原子力行政を左右している。
<例3>斑目原子力安全委員会委員長の先輩、鈴木篤之東大名誉教授は、原子力安全委員会の前委員長であり、10年8月に日本原子力研究開発機構理事長に就任した。同機構は、95年にナトリウム漏出事故を起こした高速増殖炉「もんじゅ」を管理する。規制する側のトップが推進する側のトップに横滑りしたわけだ。
<例4>石田徹は、資源エネルギー庁長官を辞職した4ヵ月後の11年1月、東電から顧問に迎えられた。6月には副社長に就く予定だった。
東電から東大に、約10年間で5億円が「寄付」されている。
その東大の、大学院工学系研究科の関村直人教授はNHKに出ずっぱりで、次のように解説している。
「燃料のごく一部が溶けて漏れ出たと思われるが、原子炉はすでに停止しているうえ、冷やされている状況だ。冷静な対応を」
「炉心溶融(メルトダウン)はありえない」
「冷却水が漏れている可能性は低い」
中島健京大原子炉実験所教授も、最近メディアへの登場回数が増えている。何を聞かれても、まず大丈夫でしょう、と繰り返す。プルトニウムの漏出についても、「プルトニウムは重いので、遠くまで飛ばないから安全」などと語っていた。
関村教授も中島教授も、核燃料サイクル安全小委員会の委員を務めたり、文科省の原子力安全技術アドバイザーをしていた。
御託はもういいから、あの「化け物」をと止めて来てくれ。
・・・・記事は、冒頭で然云う。
【注】斑目委員長は、東大教授当時、浜岡原発をめぐる訴訟に中部電力側の証人として出廷した(07年)。そして、地震などで非常用電源がすべて使えなくなる可能性を問われ、「すべての電源が喪失するようなことを想定していては、原発はつくれない」などと証言した。
また、地震発生直後に菅直人首相に呼ばれ、原発爆発の危険性を問われて、「大丈夫、水素はありますが爆発するようなことはありません」と答えた。その翌12日、水素爆発が起きたことは周知のとおり。
福島第一原発2号機から放射線により高濃度に汚染された水が漏れていることが判明した3月28日には、解決法を問われて、「どのような形で処理できるか知識を持ち合わせていない。原子力安全・保安院で指導していただきたい」などと答えている。責任のなすり合いが始まったのだ。
以上、記事「そんなに『安全』というのなら、テレビに出るのではなく 原発ムラ科学者たちは現場フクシマへ行け!」(「週刊現代」2011年4月16日号)に拠る。
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